・四幕一場
荒野に気違い乞食のトムこと、エドガーがいた。
この場に盲目になってしまったグロスターが長年グロスター家に仕えてきた老人に手を引かれて登場する。
この老人は、狂人を装っているエドガーを知るはずもなく、エドガーも、誰かが見ているところでは、正体を現さないようにしている。もちろん、盲目になってしまったグロスターも気がつかない。
グロスターの望みはドーバーの崖まで行くことである。そこまで連れて行ってもらえればよいと考えいて、皮肉にもエドガー(ここでは気違い乞食のトム)に連れて行ってもらうことになる。
グロスターは生き恥をさらすよりは、せめてリアとコーディリアの近くで死のうと思い、ドーバーの崖で身投げしようと考えていた。
エドガーは、父の思いとは裏腹に、盲となってしまった父親の哀れな姿を見て、不憫に感じて、ドーバー行きを引き受けるのだった。
・四幕二場
オールバニー公爵邸の前、ゴネリルとエドマンドが登場。
ここで話またメイン・ストーリーに戻る。ここまでメイン・ストーリーとサブ・ストーリーとのつなぎ役を務めたグロスターがドーバーへ行ってしまったので、ここからは、エドマンドが引き継ぐ。
エドマンドは、コーンウォールの命令で、ゴネリルの護衛として彼女の夫オールバニーのところへ行くことになっていた。
その道中に彼はゴネリルに道ならぬ恋の罠を仕掛け、ここに新しい野心を抱き、さらに一歩を踏み出す。
ゴネリルは、明らかに夫のオールバニーよりもエドマンドの方に好意を寄せ、彼女はエドマンドに指輪を贈り、接吻を交わしてしまう。
ゴネリルは、明らかに夫のオールバニーよりもエドマンドの方に好意を寄せ、彼女はエドマンドに指輪を贈り、接吻を交わしてしまう。
'O, the difference of man and man ! To thee a woman's services are due; My fool usurps my body.' (ああ、同じ男でも、こうも違うものかしら! あなたのような人なら、女はどこまでも尽くしたくなるもの、 それを、今、うちの阿呆に私の体を横取りされているわ)
「うちの阿呆」とは、もちろん彼女の夫のオールバニー公爵のことだが、ゴネリルは、彼の性格が、物事に対し常に受け身で、消極的なことに大きく不満に思っていたのだ。
もともとオールバニーはリアのお気に入りで、国の分配により、コーンウォールと同格に座った。
彼は妻のゴネリルが父親を虐待するのを黙視していたが、残虐行為には加わらず、ゴネリルが父を追いかけてリーガンの元へ出掛けたときも、自宅に留まっていたのだ。
もともとオールバニーはリアのお気に入りで、国の分配により、コーンウォールと同格に座った。
彼は妻のゴネリルが父親を虐待するのを黙視していたが、残虐行為には加わらず、ゴネリルが父を追いかけてリーガンの元へ出掛けたときも、自宅に留まっていたのだ。
オールバニーは妻がいなくなると、別人のようになり、フランス軍が上陸したと聞くと、にっこりと笑い、オズワルドがグロスターの裏切りのことやエドマンドの忠勤のことを話すと、「おまえは馬鹿だ、ことを取り違いをしている」と叱った。
そして妻が到着すると、彼女を罵り、彼女がやり返すと、「おまえが女の形をしていなかったら、叩きのめしてやるところだ」と応酬する。
つまり、夫婦仲が悪かったということだ。
口論の最中に使いの者が来て、先に重傷を負ったコーンウォールが死亡したことを告げ、合わせて、グロスターが両目を抉り取られて追放されたことを告げる。
この知らせを聞いた夫婦は全く違う思いを馳せる。
ゴネリルは、夫を殺されて今は自由になったリーガンを思うと、彼女にエドマンドを取られはしないかと危惧し、じっとしていられなかった。そして彼女は、危険な考えを抱くことになる。
もちろん、夫の殺害を目論むのだ。
オールバニーは使者からグロスターを裏切ったエドマンドのことを聞くと、こう呟く。
'Gloucester, I live To thank thee for the love thou show'dst the king, And to revenge thine eyes.' (グロスターよ、この身は生き永らえて、 おまえが国王に尽くしてくれた忠義に報い、 抉られたおまえの眼の仇を取ってやるぞ)