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『とある化学(分子美食学)の調理法(レシピ)』Vol1.1

2012-01-19 01:25:36 | とある化学
一章:Ramen Wars Ⅰ《ラーメン戦争1》


 「ふだん何を食べているのか言ってごらんなさい、そしてあなたがどんな人だか言ってみせましょう」--ジャン・アンテルム・ブリア=サヴァラン




「はあ~~ぁ。不幸だ…… 」


 何度目だろうか。上条 当麻は冷蔵の中をのぞきながら、ため息を吐いた。


「はあ~~ ロクな物が入ちゃ~いねゼェ」


 何度、吐こうが状況は変わらない。


 短めの黒いツンツン髪に学生服といった、一見どこにもいるような少年は、人口230万の巨大な学園都市の中で、唯ひとり、どんな能力でも打ち消すことのできる『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を右手に宿している。


 ある意味、能力者ばかりの学園都市では無敵な力を有しているといえるが、定期的に行われる身体検査(システムスキャン)では、特殊さゆえにどんな能力でも打ち消してしまって、結果はいつも"0"―― 
 つまり無能力者(レベル0)であり、落ちこぼれのレッテルを貼られた平凡な高校生なのだ。


 そんな一人暮らしの、平凡な高校生の、レベル0(落ちこぼれ)の、夏休み前の、しかも月に1度の生活費(現金)支給される前日とあっては食いぶちに困る状況だった。


「はあ~~ あんとき、卵を全滅(皆殺し)させたのは痛かった…… 痛すぎるっ」


 実は数日前、スーパーの特売日の帰り道で転倒し、卵1パックすべてを割ってしまっていた。


「脱ぎ女に遭遇するし、ビリビリに絡まれるわ。ふ・ふこうだ…… 」


 しかもその日は、不幸な一日で、自分が止めた車の場所が分からずに迷っていた女性(お姉さん)に、親切にも場所探しを手伝ってあげたのに、その女性(お姉さん)が突然服を脱ぎだして、周りの人たちにチカンに間違われる。
 さらに学園都市に7人しか存在しないレベル5。『超電磁砲(レールガン)』の異名を持つ中学生少女、御坂 美琴に追いかけまわされるといった具合だった。


 当麻は、いまわしい記憶をふり払うかのように頭をふり、繰り返されるため息を吐きながら、残り物(残飯)をかき集めて冷蔵庫の扉を力強く閉めた。


「しかっ~し、これぐらいで上条 当麻様はめげません! こんなこともあろうかと秘密兵器を常備している」


 気をとり直して台所(キッチン)の下の扉を開け、ダンボール箱を取りだす。そしてダンボールの中からインスタントラーメンの袋を取りだした。
 インスタントラーメンは、ビンボー学生にとって、まさに命をつなぐ食料(マジック・アイテム)である。
 カップラーメンと比べ、まとめ買いすれば格安で、少し手を加えれば立派な料理として飢えを満たすことのできる素材だった。
 しかも保存が利くので、いざという時のために箱買い(大人買い)をしていた。
 ただこの数日間、朝は抜き、昼は学食、夜はラーメンというローテーションが続いている。


「今日までの辛抱。明日になれば口座から生活費(現金)を引き下ろすことができる」


 当麻は立ち上がり、おもむろになべに水を入れ火にかける。そして冷蔵庫にあった残り物(残飯)を適度の大きさに切り分け、フライパンを熱してごま油を引いた。


「ちゃちゃと、おっぱじめますかー♪」



【野菜ラーメンの調理法(レシピ)】 材料 (2人分)
 ラーメンの麺 2玉
 豚バラ肉 100g (下味)塩・こしょう・酒 各少々
 野菜(キャベツ・にんじん・もやし) 合わせて両手1杯
   ◇しょう油・オイスターソース 各小さじ1/2
   ◇塩・こしょう 少々


【スープ】
 ごま油 少々  にんにく・しょうが 各1片  湯 3・1/2カップ強
   ○中華スープの素 小さじ3
   ○塩・砂糖・酒 各小さじ1
   ○こしょう 少々


【作り方】
 1.スープ用と麺ゆで用のお湯を沸かし始める。
 2.野菜類は食べやすいように切る。
 3.まずはスープを作る。フライパンを熱し、ごま油を入れ、にんにく・しょうがのみじん切りを入れ炒める。
 4.にんにくの香りが出てきたら、○印の材料を入れ、味をととのえて、こしてスープの完成。
 5.つぎに.麺のゆでるお湯で、もやしをザルのまま、さっと湯どうしをして、麺をゆで始める。
 6.再びフライパンにごま油引き、熱して豚肉を強火で炒める。
 7.軽く炒まったら、にんじん・キャベツ・もやしの順に炒める。
  ◇の調味料を加え、味を見つつ、美味しい野菜炒めになるよう味をととのえる。
 8.先ほど作ったおいたスープを入れてアクを取る。
 9.麺がゆで上がったらよく湯きりをし、麺をどんぶりに移し、スープ・野菜を入れて完成!



「ふ・ふ・ふ~ん、ふ・ふ・ふ~ん♪ ふ・ふ・ふ~~~~ん♪♪」


 調理法(レシピ)には2人分の作り方が書いてあるが、当麻は1人暮らしなので、2人分も作る必要はない。
 材料の分量を半分に、さらにいえば豚肉などという高級食材があるべくもなく、魚肉ソーセージで代用するなど鼻唄まじりに、淡々と調理をこなしていた。
 小学生の頃から学園都市へ来て寮生活を始めた当麻にとって、調理(キッチンファイト)は、もはや日常となっていたのである。


 ―― そのとき、食卓テーブルの上においてあったケータイが鳴ったのだが、マナーモードにしておいたので音がしない。
 そしてバイブ機能のせいでケータイは振動し、徐々にテーブールの端へ移動していき床へ落下した。しかし調理(キッチンファイト)に熱中している当麻は、まったく気がついていなかった。