gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

『とある化学(分子美食学)の調理法(レシピ)』Vol2.1a

2012-01-23 12:39:12 | とある化学
一章:Ramen Wars Ⅱa《ラーメン戦争2a》


 『私はうまいスープで生きているのであって、立派な言葉で生きているのではない』--モリエール




 深夜のAIM解析研究所―― 


 AIM拡散力場を研究する機関であり、AIM拡散力場とは能力者が無意識に周囲へ発している微弱な力のフィールドのことで、これを計測することにより『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』や能力自体への解析や探索、干渉が可能とされている。


 そして、いま研究所のラボで、一人の女性が何かの実験をおこなっていた。


 均整のとれたプロポーションに栗色のロングヘアといった美人なのだが、たぶん日ごろから研究に没頭しているからなのか、残念なことに髪は、ボサボサで目の下にクマつくていった。あまり人目を気にしない性格らしい。


 彼女の名前は木山 春生。大脳生理学の研究者であり、AIM拡散力場を専攻している。


 なんらかの化学の実験のようで、彼女がいる台には、大型ビーカー、三角フラスコ、ろうと、ガスバーナーなどが、ところ狭しと並んでいて、まるで学校の理科実験室のようだった。


「そろそろ、沸とうしたようだ……」


 三脚に乗せて、バーナーで熱している大型ビーカーの中に入れた温度計が100度を指していた。


「たしか…… 次はこれを入れるのだったな……」


 彼女は、実験台のすみに置いてあったインスタントラーメンの袋をやぶり、中身をビーカーへと入れた。



【インスタントカレーラーメン】 材料 (1人分)
  インスタントラーメン(チキンラーメン) 1個
  カレー粉 ひとかけら
  刻み葱 適量


【作り方】
  1.沸騰した鍋にインスタントラーメンを入れ2分茹でる。
  2.一度火を止め麺をほぐしながら、カレー粉を入れよくかきまわす。
  3.中火で1分くらい煮る。
  4.どんぶりにスープの元を入れ、なべを注ぎながらよく混ぜる。
  5.最後に刻み葱を好みの量をトッピングして完成!


「う…… カレー粉などというものが無いな…… まあ、これで代用しよう」


 彼女は、今日の日中に公園の自動販売機で買っておいたスープ・カレーのジュースを入れたのだった。


 そして待つこと1分。ストップウォッチで時間を計りながら、ガラス棒でビーカーの中身をかき混ぜた。


「こんなものかな…… さあ、出来上がりだ……」







『とある化学(分子美食学)の調理法(レシピ)』Vol2.0a

2012-01-23 11:34:53 | とある化学
序章:Depression of Molecular Gastronomy Ⅱ《分子美食学の憂うつ2》


 「食卓の周りに座っている子供達がそのまま全人生なのである。
我々は彼らと同じに人生の最も些細な心掛かりと最も輝かしい希望とを再び見いだす」--フランソワ・モーリアック


 食育とは、様々な経験を通じ、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることである。


 マクロビオティック―― 日本では「正食」とも呼ばれる「マクロビオティック」という言葉は、3つの部分から成り立ち、MACRO(大きな)・BIO(生命の)・TIQUE(技術)をつなげ、「生命を大きな観点から捕らえた健康法」という意味を表している。
 内容は、食生活法・食事療法の一種であり、第2世界大戦前後に食文化研究家の桜沢如一が考案し「玄米菜食」、「穀物菜食」、「自然食」などと呼ばれる玄米を主に、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とした独自の食事法のことである。
 



 ここ総人口230万人弱、東京西部の大部分を占める『学園都市』の食べ物は、『農業ビル』と呼ばれる植物工場や畜産工場施設によって人工栽培、人工飼育、クローン食品などが作られ科学的に管理された都市単体の自給自足で成り立っていた。


 そしてここに暮らす全ての学生は親元を離れ、自立を余儀なく強要され、一部を除き、彼らは自炊している。 


 そんな学園都市に生きる者たちの日常を描いた物語である―― "調理"と"化学"が交差するとき、新たな物語が始まる。