四章:Ramen Wars Ⅰ Agin《ラーメン戦争1 再び》
「美味とは食物そのものにあるのではなく味わう舌にあるものである」--ジョン・ロック
その頃、上条 当麻の部屋では、調理(キッチンファイト)を終え、なべのラーメンをドンブリへ移し、きざんでおいた少量のネギを入れて野菜ラーメンを完成させていた。
「へへ…… 一丁あがり~」
そして熱々のラーメンを食卓テーブルに運んでいる、そのときに停電(ブラックアウト)した。
「なにっ!?」
部屋は一転して暗闇に包まれる。
「うっ!」
これが停電(ブラックアウト)だけなら、人並み以上の運動神経をもつ当麻には、何の問題がなかったに違いない。けれど、このときは足元にケータイが落ちていた。暗闇の周りが見えない状況で、不運にもケータイを全体重をかけて踏みつけてしまったのだ。
「いてーー! あちちちーーーーーーっ!!」
全体重をかけられたケータイは不気味な音を立てて破壊され、当麻は足を滑らして見事に転倒した。手に持っていた熱々のラーメンは空中に放り出されてシャワーとなって当麻に降り注いだのである。
全身ラーメンまみれになって、空になったどんぶりを頭に被った当麻は、暗闇包む部屋の中で叫ぶ。
全身ラーメンまみれになって、空になったどんぶりを頭に被った当麻は、暗闇包む部屋の中で叫ぶ。
「ふ・ふ・ふ・ふこうだーーーーーーー!!」
悲痛な叫び声は、寂れた部屋にむなしくこだまする。
だが、彼は知らない。転倒した拍子に、ズボンの後ろのポケットに入れていた財布の中身、生活費(現金)を引き下ろすためのキャッシューカードを割ってしまっていることに。
彼は知らない。先ほど掛かってきたケータイは、悪友にしてクラスメート土御門 元春からの夕食の誘いであったことを。
そして、彼はまだ知らない。翌日、部屋のベランダに引っかかっていた白い修道服を着た不思議少女(インデックス)と運命的な出会いをすることに。
彼は知らない。先ほど掛かってきたケータイは、悪友にしてクラスメート土御門 元春からの夕食の誘いであったことを。
そして、彼はまだ知らない。翌日、部屋のベランダに引っかかっていた白い修道服を着た不思議少女(インデックス)と運命的な出会いをすることに。