「夫婦喧嘩は犬も喰わないが…… 」
それは、ある日突然はじまった。たぶん些細なことだったと思うが、神さまだって夫婦喧嘩をするんですね。
――男と女、どちらが恋をして楽しいか―― (賢明なお方は、もっと深い意味を理解するでしょうが…… まったくのその通り!)。 しかし、これって不毛なテーマだよね。今さら性別を選べるわけでもないし…… 。
――男と女、どちらが恋をして楽しいか―― (賢明なお方は、もっと深い意味を理解するでしょうが…… まったくのその通り!)。 しかし、これって不毛なテーマだよね。今さら性別を選べるわけでもないし…… 。
「男の方が好いに決まっているじゃない」
「女はこんなに楽しんでおる」(あんたには言われたくないよ)
とヘーラーとゼウスの言い分は平行線、いつ果てるともなく続く泥仕合の様子だった。
「いいわよ、それじゃ有識者の意見を拝聴いたしましょう」
と言ってヘーラーが連れて来たのが、テーバイの偉大な預言者・テイレシアースという人。
この人もどこかミステリアスな人で、先ず盲目になったのが、アテーナーの水浴びを覗いちゃったからとか、もうひとつは、これから起こる出来事によるものだとか言われている。つまりこの時点では、彼は盲目じゃなかったかもしれないということだ(みんな伝説ですから、こまかい事は置いといて)。
この人もどこかミステリアスな人で、先ず盲目になったのが、アテーナーの水浴びを覗いちゃったからとか、もうひとつは、これから起こる出来事によるものだとか言われている。つまりこの時点では、彼は盲目じゃなかったかもしれないということだ(みんな伝説ですから、こまかい事は置いといて)。
テイレシアースは成人してから、交互に男女になる機会があった。それはかなり長い期間で、女である時は完全に女だったし、今は完全な男に戻っている。つまり双方で、それなりの経験を積んできているということです。
そんなわけで、ヘーラーとゼウスの審判として呼ばれたのだ(考えてみればヘンな人だよね……)。
そんなわけで、ヘーラーとゼウスの審判として呼ばれたのだ(考えてみればヘンな人だよね……)。
「それは女の方ですね。男と女、1対9ってところでしょうか」
もうほとんど即答。来たら10秒で判決が下ってしまった。ゼウスは自分の主張が認められたと、“勝訴”と書いたのぼりを持って外へ出て行った(そんなわきゃあないが)。
さて、問題は負けたヘーラーだ(こんな問題で勝敗なんて…… 、いい年して、子供じゃないんだから)。このままじゃ、到底気が収まらない。
彼女はテイレシアースに対して怒りをぶつけた(おーい、呼んできたのは、あなたでしょうが)
彼女はテイレシアースに対して怒りをぶつけた(おーい、呼んできたのは、あなたでしょうが)
「罰として盲目になりなさい」
戻ってきたゼウスはテイレシアースを見て不憫に思い、彼に予言の力を与えたのだった。
でも、これって、ただのとばっちりだよ。ただの夫婦のじゃれあいに付き合わされた挙句、眼まで潰されてしまうんだから、ギリシャ神話の世界は理不尽だよね。
でも、これって、ただのとばっちりだよ。ただの夫婦のじゃれあいに付き合わされた挙句、眼まで潰されてしまうんだから、ギリシャ神話の世界は理不尽だよね。