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「リア王」 舞台内容 二幕四場(2)

2010-03-11 09:25:24 | 「リア王」

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 リアがグロスターを伴い戻ってくる。
グロスターの言のよれば、コーンウォール夫妻は夜通しの旅で疲れており、病気であるからといって面会を拒否される。しかも城の中にも入れてもらえない。
 一ヶ月足らず前までは絶対君主であったリアが、今は自分の娘に門前払いを食わされるのだ。




 グロスターは「公爵はご存知のように激しい気性の持ち主、一旦こうと決めたら梃子でも動きませぬ」と、その場しのぎの口実が事態を一層悪くした。


 ただ、以前のリアであれば、極端に怒りを爆発させていたが、この間の試練によって自分を制することを学び、怒りながらも極端に走る前にぐっと抑える。ここはグロスターの口実は真実であるかもしれないと考えた。
Lear: The king would speak with Cornwall: the dear father
    Would with his daughter speak, commands her service:
    Are they inform'd of this ? My breath and blood !
    Fiery ? the fiery duke ? Tell the hot duke that――
    No, but not yet: may be is not well:
    Infirmity doth still neglect all office
    Whereto our health is bound; we are not ourselves
    When nature, being oppress'd, commands the mind
    To suffer with the body: I'll forbear;
    And am fall'n out with my more headier will,
    To take the indisposed and sickly fit
    For the sound man.

リア:国王がコーンウォール公と会いたい、父親が娘に会って
  話がしたい、その礼を尽くせと言っているのだ。
  二人にその様に伝えたか? ええい、我慢がならぬ!
  火のようにと? 公爵は火のような気性? その燃えやすい公爵に言ってやれ――
  いや、待て。本当に具合が悪いかも知れぬ、
  病になると達者であれば成さねばならぬ務めが、
    酷く煩わしくなるものだ。我ながら如何ともし難いこともある。
    人間も自然の摂理には逆らえず、心を体に委ねて、
    病むがままにするのは仕方あるまい。堪えよう、
  己の気持ちを性急に押通そうとするのが余の悪い癖だ。
  病のための苛立ちを健康な時の振る舞いと同じであると
  考えてはいけない。


 ここに至って、いささか遅かったのであるが、リアは彼なりに学んだということである。

 ここにシェークスピアの思想の一端が窺がえる。「人間も自然の摂理には逆らえず…… 」とあるように人間は自然の摂理に従って生きることが大事である、ということだ。





「リア王」 舞台内容 二幕四場(1)

2010-03-01 11:09:35 | 「リア王」

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 グロスター伯爵の居城の前。ケントが足枷をはめられ、さらし台に掛けられたままでいる。そこへリアが道化の一人のみを伴い現れた。


 彼に仕える百人の騎士は一人もいなかった。リアは、まだリーガンが親切に迎えてくれることを当てにしていたので、家来のケントがさらし台に掛けられているのを見ると大きなショックを受ける。
Lear:                           They durst not do't;
    They could not, would not do't; 'tis worse than murder,
    To do upon respect such violent outrage:
    Resolve me, with all modest haste, which way
    Thou mightst deserve, or they impose, this usage,
    Coming from us.

リア:        彼らがこのような事をするはずがない、
   出来もせねば、欲しもすまい。敢えて礼を無視して、
   かほどの暴挙を働くことは、人殺しにも過ぎる大罪だ。
   余が遣わしたおまえが、どういう仔細でこんな目に遭ったのか、
   いや、遭わされたのか、速やかに話して聞かせろ。


 ケントが受けた侮辱を、リアは自分に加えられたものと思った。しかも、それが偶然や誤解ではないことを思い知らされる。リーガンがゴネリルと示し合わせて事を行なっているのは言うまでもない。




 ケントから仔細を聞いたリアは、歓迎されるという希望を裏切られたと知ると、怒りが爆発しそうになったが、ここは我慢してリーガンに親しく会って話してみようと心に決め、城の中へと入っていく。


 リアが城の中に入っていている間に、ケントが道化に対し、
「どうして国王たるリアがお供の騎士を一人も連れずに出歩いているのか」と聞き、




道化は、

「大きな車が山を転がり落ち出したら、掴まっていると、首の骨を折るから早く手を離すに限る。但し、そいつが上に登る間は掴まって一緒に引っ張り上げて貰うに限る」と、




さらに

「欲得ばかりの上辺だけで仕える者は、嵐が来れば、見得もへちまもあるものかと、主人を見捨てて逃げていく」と答えるのだった。
 つまり、不忠のリアの騎士達は、落ち目の主人を見捨てて逃げ出した、ということだ。

 道化がこの事態の要約を述べるところは、詩になっていて、語呂が良く、リズムがある説明になっている。