リアがグロスターを伴い戻ってくる。
グロスターの言のよれば、コーンウォール夫妻は夜通しの旅で疲れており、病気であるからといって面会を拒否される。しかも城の中にも入れてもらえない。
グロスターの言のよれば、コーンウォール夫妻は夜通しの旅で疲れており、病気であるからといって面会を拒否される。しかも城の中にも入れてもらえない。
一ヶ月足らず前までは絶対君主であったリアが、今は自分の娘に門前払いを食わされるのだ。
グロスターは「公爵はご存知のように激しい気性の持ち主、一旦こうと決めたら梃子でも動きませぬ」と、その場しのぎの口実が事態を一層悪くした。
ただ、以前のリアであれば、極端に怒りを爆発させていたが、この間の試練によって自分を制することを学び、怒りながらも極端に走る前にぐっと抑える。ここはグロスターの口実は真実であるかもしれないと考えた。
Lear: The king would speak with Cornwall: the dear father Would with his daughter speak, commands her service: Are they inform'd of this ? My breath and blood ! Fiery ? the fiery duke ? Tell the hot duke that―― No, but not yet: may be is not well: Infirmity doth still neglect all office Whereto our health is bound; we are not ourselves When nature, being oppress'd, commands the mind To suffer with the body: I'll forbear; And am fall'n out with my more headier will, To take the indisposed and sickly fit For the sound man. リア:国王がコーンウォール公と会いたい、父親が娘に会って 話がしたい、その礼を尽くせと言っているのだ。 二人にその様に伝えたか? ええい、我慢がならぬ! 火のようにと? 公爵は火のような気性? その燃えやすい公爵に言ってやれ―― いや、待て。本当に具合が悪いかも知れぬ、 病になると達者であれば成さねばならぬ務めが、 酷く煩わしくなるものだ。我ながら如何ともし難いこともある。 人間も自然の摂理には逆らえず、心を体に委ねて、 病むがままにするのは仕方あるまい。堪えよう、 己の気持ちを性急に押通そうとするのが余の悪い癖だ。 病のための苛立ちを健康な時の振る舞いと同じであると 考えてはいけない。
ここに至って、いささか遅かったのであるが、リアは彼なりに学んだということである。
ここにシェークスピアの思想の一端が窺がえる。「人間も自然の摂理には逆らえず…… 」とあるように人間は自然の摂理に従って生きることが大事である、ということだ。
ここにシェークスピアの思想の一端が窺がえる。「人間も自然の摂理には逆らえず…… 」とあるように人間は自然の摂理に従って生きることが大事である、ということだ。