SF好きでありながら、カート・ヴォネガットは、今まで読んだことがなかったんです。
1980年代、ヴォネガットは村上春樹とか高橋源一郎とかが影響を受けたらしい、とか、橋本治が絶賛していたらしい、とか結構もてはやされていまして。
で、きっと小洒落たつまんねぇ小説に違いない、という若気の至り丸出しの、まあ、早い話が読まず嫌いだったわけです。
先月、亡くなったとのニュースを見て遅ればせながら『タイタンの妖女』を手に取ってみました。
で、どうだったかというと。
読み終わって、号泣。
世の中は無慈悲で不条理で生きることに意味なんかないけれど、それでも捨てたもんじゃない、って気持ちになる小説でしたよ。
特に後半部分は、視覚的にもなかなかに美しく、シニカルでありながら感動的な描写が続きます。
例えば、水星に棲むハーモニウムという架空の生物についてのエピソード。
振動を養分にし、黄水仙色の燐光を発する水星の洞窟の中で暮らす藍玉色に光る小さな生物、という設定なんですがね。
ちょっと引用しますと。
ね、たまらんでしょう。
しかも、主人公がタイタンに到着してからラストまではしみじみとしたエピソードが続く上に、ラストシーンは『フランダースの犬』だからね。
心して読め。うかつに読むとマジ泣きですぜ。
ヴォネガットは、もっと早くに読んでいるべきだったな。
自分の狭量さが悔やまれますよ。
でも今だから、主人公たちの身にかかる不条理さもしみじみと味わえるのか、とも思ったり。
恥ずかしながら、おチビのことも含めて自分の人生を振り返っちまいましたよ。
で、さらに『猫のゆりかご』と『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』も買ってしまいました。
しばらく読書三昧になりそうです。
1980年代、ヴォネガットは村上春樹とか高橋源一郎とかが影響を受けたらしい、とか、橋本治が絶賛していたらしい、とか結構もてはやされていまして。
で、きっと小洒落たつまんねぇ小説に違いない、という若気の至り丸出しの、まあ、早い話が読まず嫌いだったわけです。
先月、亡くなったとのニュースを見て遅ればせながら『タイタンの妖女』を手に取ってみました。
で、どうだったかというと。
読み終わって、号泣。
世の中は無慈悲で不条理で生きることに意味なんかないけれど、それでも捨てたもんじゃない、って気持ちになる小説でしたよ。
特に後半部分は、視覚的にもなかなかに美しく、シニカルでありながら感動的な描写が続きます。
例えば、水星に棲むハーモニウムという架空の生物についてのエピソード。
振動を養分にし、黄水仙色の燐光を発する水星の洞窟の中で暮らす藍玉色に光る小さな生物、という設定なんですがね。
ちょっと引用しますと。
彼らは弱いテレパシー能力を持っている。彼らが送信し受診できるメッセージは、水星の歌に近いほど単調だ。彼らはおそらく二つのメッセージしか持っていない。最初のメッセージは第二のそれに対する自動的応答で、第二のそれは最初のそれに対する自動的応答である。
最初のそれは、「ボクハココニイル、ココニイル、ココニイル」
第二のそれは、「キミガソコニイテヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ」
ね、たまらんでしょう。
しかも、主人公がタイタンに到着してからラストまではしみじみとしたエピソードが続く上に、ラストシーンは『フランダースの犬』だからね。
心して読め。うかつに読むとマジ泣きですぜ。
ヴォネガットは、もっと早くに読んでいるべきだったな。
自分の狭量さが悔やまれますよ。
でも今だから、主人公たちの身にかかる不条理さもしみじみと味わえるのか、とも思ったり。
恥ずかしながら、おチビのことも含めて自分の人生を振り返っちまいましたよ。
「キミガソコニイテヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ」
で、さらに『猫のゆりかご』と『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』も買ってしまいました。
しばらく読書三昧になりそうです。