みちくさをしながら

いろいろあって、生活を見直している日々。

薔薇とダイヤモンド

2007-02-15 18:20:18 | 天文
昨日はバレンタインでした。チョコとか、いつの間にか旦那にあげなくなっちゃったなぁ。
ま、せめてブログのネタだけでもロマンチックな話題を…というわけで。
かなり旧聞になりますが、2004年のバレンタインにこんなニュースがありました。ご存知ですか?

「宇宙からのバレンタインプレゼント:ばらの花束と巨大なダイヤモンド」(アストロアーツ天文ニュース 2004.2.14)

「バラの花束」はおよそ3300光年かなたのケフェウス座散光星雲NGC 7129。

NASAのスピッツァー赤外線宇宙望遠鏡でとらえられた画像です。
バラの花束というよりは開きかけた一輪のバラのつぼみのよう。
元の記事(CfA Press Release)でも、バラのつぼみとなっているようです。
この星雲では活発に星形成活動が行われているらしく、約130個の若い恒星が観測され、さらにその半分ほどにガスや塵の円盤が見られるらしい。もちろん、その円盤は太陽系のような惑星系に成長する可能性があるのです。
いわば、バラのつぼみの中は星々のゆりかごだった、というわけですね。

そして「巨大なダイヤモンド」は50光年かなたのケンタウルス座にある白色矮星。

白色矮星というのは、太陽ぐらいの大きさの恒星の終末の姿。
恒星の輝きは水素の核融合反応ですが、それにより生じたヘリウムは水素より重いので中心部に集まっていきます。
そして中心部ではヘリウムの核融合が始まり酸素や炭素などの重い物質が生成されます。
やがて(といっても、赤色巨星になったりと、いろいろあるんですがそこは割愛して)、外層のガスは吹き飛ばされ惑星状星雲を形成し、中心部には酸素や炭素でできた核が白色矮星になって残るわけです。

で、この白色矮星というのは大変な高密度の星(注1)なのですが、高密度と炭素といえばダイヤモンド、というわけですな。
この2004年の発表では、星のパルスを観測することによって内部が結晶化しているらしいことがわかった、ということらしい。
なので、「巨大なダイヤモンド」ということらしいです(注2)。

白色矮星の周囲に形成される惑星状星雲の形は様々なんですけれど、中には美しいリング状になるものもあります(注3)。
そうすると文字通り中央にダイヤモンドを戴くリングということになるのでしょうか。

それにしても、バラのつぼみの中で生まれ、ダイヤモンドリングとなって一生を終えるなんざぁ、星ってぇヤツはなかなかロマンチックじゃありませんか。


(注1)この星も直径は4,000km、重さは10の34乗カラット(2×10の30乗kg)ということなのですが、これは月(3,474.8km)ほどの直径の星が太陽(1.989×10の30乗kg)とほぼ同じ質量をもっていることになり、やはり相当の高密度なのだな、と納得したりして。ちなみに月の質量は7.349×10の22乗kg。桁違いもいいところ。

(注2)もっとも、これがダイヤモンドかどうかはまだ謎のようで。白色矮星のような超高圧下でどのような結晶構造が安定しているのかは、まだわかっていないようです。提供された想像図は大衆向けのイメージ画とはいえ、かなりミスリードだと思う。

(注3)こと座のリング状星雲(M57)が有名。

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2 コメント

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天文の世界って・・・ (ニャロメ)
2007-02-15 22:12:02
天文の世界って、桁違いにすごいですね。
化石の世界も尺度がすごいけど、天文には遠く及びません。すると、自分は何なんだ、ということになってしまいます。
薔薇とダイアモンド、タイトルばっちりですね。
そういえば、地球も中心部のほうにはダイアがたくさんあるのでは、という話は聞いたことあります。
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人の一生なんて一瞬ですね~ (くりず)
2007-02-17 17:47:03
本当に、宇宙や化石の世界の話をしていると、人がちっぽけな存在に思えてしまいますよね。
確か、地球の歴史を365日に例えた「地球カレンダー」を作ると農耕文明開始が年のかわる2分ぐらい前で、産業革命が2秒前とかそんな感じだったような。
でも、そのたった2秒で地球の気候をかえてしまうような影響力を持ってしまったのですからヒトというものはなかなかに侮りがたい存在です。

地球の中心部にダイヤ、という話は私もどこかで聞いたことがあります。
地震波などで観測した核の密度がFe-Ni合金より小さいので、軽元素が含まれるのではないかということだったかと。
軽元素の候補として炭素もあげられていたかと思います。
そうなると、地球の中心部にダイヤモンド、ということになるのかもしれませんね。
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