軍隊の中での上司と部下の関係は、日本人従業人の労働環境に大きな影響を及ぼしています。
日本の組織にも上下関係があります。それは、組織を動かすための仕組みです。上司は部下を動かし、部下は上司の指示に基づいて仕事をします。もし、上司の指示に疑問や誤りがあった場合はどうするのか?
誤りに気が着いてもそのままやるのがアメリカ軍流です。
この場合結果的に目標に到達しなかったり、苦情が生じたり、仕事が止まっても「責任者」は出てきません。なぜなら、誤った指示を出した兵隊は絶対誤りを認めません。時間の経過に伴い、事態はどんどん悪い方向に向かうのですが、付け焼き刃的に指示を出すのみです。指示を撤回するのは誤りを認めたことになるので、あくまでも付け焼き刃的な指示を出し、根本的な解決をしようとはしません。
日本人従業員は、経験からその結果が誤りにつながることは結構早い段階で分かります。その辺は、日本の教育水準が全体的にアメリカより高いからではないかと思います。
具体的な例は書けないのですが、私たちの職場では最後に部隊のコマンダーが現場に来て、失敗している状況を見て、その場で携帯電話で関係部隊に連絡を入れて解決しました。この方法は、コマンダーだからできたのであり、下っ端の兵隊が携帯で他の部隊に指示や連絡はできません。
日本人従業員としては、直接責任を取らされるわけではないのですが、目の前で起きている失敗にさらされながら仕事を続けることは、精神衛生上よくありません。職場の志気にも関わります。
このケースでもっとも駄目だと思ったのは、コマンダーさえ現場を見に来て判断したにもかかわらず、最後まで直の上司の兵隊が現場に来なかったことだと思います。自分の上司としての存在意義を自己否定してしまったのです。
本来であれば、指示が届いた時点で意見(結果的にコマンダーの判断と同じ)を言えば良いのですが、軍隊では上司の指示命令には従わなければならないようになっています。