楢篠賢司の『人間とは』

人間とは何かを研究しています。現在は経済学を自分のものにしたいと目下勉強中です。

貨幣が持つ保存機能は両刃の剣 Ⅲ

2014-12-29 07:43:43 | Weblog
貨幣が持つ保存機能は両刃の剣という題名をつけて書いてきたが、その意味は当然良い面もあれば悪い面もあるということになる。
では良い面とはどのような面なのかというと最初の文で書いているように、子供たちがお年玉を貰いそれを親が無駄遣いの癖を付けないように銀行または郵便局その他の金融機関に預金をさせる。つまり本来お金とは物(商品)を買うためにあるのであるから預金(保存機能を使う)してしまえば大きく言えばその分経済は停滞してしまう。老人が老後に備えてお金を貯めていくこともしかり。青年男女、大人になっても家を買うため車を買うため、ローンの頭金としていくばくかの貯蓄をしていく。それらは当然保存機能という機能の元に動いているといえる。
 
 そしてその機能つまり考え方は人が人として、いや、リスなり動物が冬の寒さを乗り切るために木の実を貯めているのと同じように、はるか昔から食べ物に限って保存機能が使われてきた。
 人が人の社会、人間社会になったときその機能は食物に限ったことにではなく全般的な保存に生かされてきた。そしてやがて人間だけが作り出すことができる貨幣へとその機能は引き継がれてきた。

 現代社会で人(子供から老人まで)がお金を貯めるという、または貯めたいという気持ちがあることに何ら不思議はない。大昔から続いてきた、貯めときたいという気持ちの継続が現代でも何ら不自然なものと感じなく自然と人々の行動なり心理に入り込んでいる。

 ただ上にあげた保存機能からお金を貯めたい(貯めることができればの話だけれど)という行動はどのように社会が変化しても否定できるものではないと私自身は考えている。つまり保存機能の両刃の良い面といえる。

 では両刃の悪い面とはどのようなことなのか。多分これを読み進まれている方は気が付いていることだと思う。

 交換価値から保存できるものとして金属貨幣に変わってきた。そしていくらでも印刷できる紙のお金、紙幣へと変わってきた。それは金融機関に持っていけばいくらでも保存することができる貨幣である。そしてそれは金額という数字の末尾にいくらでもゼロ(0)を付けることができる機能にと変化してきた。もてる者、富者は資産という形の中で+という数字を羅列させることにより、もっと儲けたいという心理が働き、より数字の羅列を誇るように行動をしていく。それは株であり先物でありその他のお金を増やす方法を考えだし、そこに自己の労働をつぎ込んでいく。お金を持つものはよりお金を増やすことができる仕組み、それが子供や老人のお金を何かあったときのために預金をしていくという保存方法、両者の考え方が同一の保存機能から出ているものである。当然後者の保存方法は両刃の件が持つ悪しき面の機能といえる。

次回はなぜ後者の保存方法が悪といえるのかを考察してみたい。