鮫島彩ちゃん元気届けた!“乙女走り”完封締め
女子サッカー・ロンドン五輪アジア最終予選 “乙女走り”で駆け抜けた。
DF鮫島彩は「なでしこ」でただひとり、全5試合にフル出場。
東日本大震災の発生から半年のこの日、
福島第1原発事故で活動を休止中の東京電力に所属していた不動の左サイドバックは、
全力プレーで中国戦の勝利に貢献。1位突破で被災地に元気を届けた。
りんと背筋を伸ばし、内また気味の“乙女走り”でかれんに駆けた。
前半13分、DF鮫島が切り返しからサイドを破ると、ゴール前に絶妙クロス。
同26分にはドリブルで攻撃の突破口を開いた。
後半23分には正確なクロスでFW安藤のヘッドにピタリ。
この日も90分間フル回転。
チームでただひとり、最終予選全5試合フル出場を果たした。
「五輪出場という最低条件をクリアできてよかった。
日本がボールを長く持てるだろうと思って、高いポジションをとることを意識しました」と
事前合宿から食事や睡眠の質に気を配り、11日間で5試合という過密日程を乗り切った。
中1日、中2日の試合をこなし「日本に帰ったらお湯につかりたい」と、
安堵(あんど)の表情で乙女の休息に思いをはせた鮫島。
2006年から5年間、東京電力に所属。
4月まで福島第1原発の技術部門で、庶務のデスクワークをこなしていた。
しかし、東日本大震災の影響で原発事故が発生。
東京電力は活動休止となり、米女子リーグに移籍した。
7月のW杯前には母に、自分がサッカーを続けていいのかどうか、
苦悩を打ち明けたこともあった。
「被災地の方々のことは常に考えています。
私たちのあきらめない姿勢を見せることで、
少しでも何かが伝わればと思います」。
東日本大震災からちょうど半年。
この日の試合前ミーティングでは被災地の映像を集めたビデオを見て、
「思いが届くように戦いたい」とピッチに飛び出した。
米女子リーグは来春まで試合がないため、
今後は仏リーグの強豪モンペリエを有力候補に、
再び新天地に旅立つ。
「個人としては、ひとつひとつの質をもっと上げていきたい」と鮫島。
たおやかさに芯の強さを持ち合わせるなでしこが、
ロンドンの左サイドにも鮮やかな花を咲かせるのかも。
★今後のなでしこ
12日に帰国。
23日にはリーグ戦が再開され、11月20日まで続く。
12月3日からは全日本女子選手権が開幕し、
来年1月1日に決勝が国立競技場で行われる。
このほか年代別代表では、
10月6日にU-19アジア女子選手権、
11月3日にはU-16アジア女子選手権が開幕。
年内には、なでしこジャパン候補合宿も検討されている。
まだまだ「なでしこフィーバー」は止まらない。