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八王子夢美術館で開催されている「ますむらひろしの北斎展」、観てきました。
宮沢賢治作品の登場人物を猫に置き換えて漫画化している、ますむらひろし氏。有名どころでは、鈴木ギサブロー監督のアニメーション映画「銀河鉄道の夜」でしょうか。私も、この作品はたまたま知っていたのですが、ますむら氏が手掛けていたということは知りませんでした。
そして、「アタゴオル」シリーズ。立って歩く太った猫のヒデヨシが主人公の空想世界を描いた漫画。こちらは、まったく知らなかった私です。
今回の展示は、「アタゴオル」シリーズに登場するヒデヨシをはじめとするネコのキャラクターが、北斎の浮世絵に入り込んでいる、いわばコラボ作品。
たとえば、北斎の富嶽三十六景のうち、「遠江山中」。
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これが、ますむら氏とのコラボになると、はい、このとおり。
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これらの作品は、2008年から2013年にかけて、雑誌で52点が発表されているそうです。
展示作品には、創作するにあたってのエピソードも添えられていて(かなり長文のものもあります)、けして中途半端に、おふざけで描いているわけではないことが察せられます。
というより、かなり北斎と彼の作品について造詣が深いようです。
北斎の作品に忠実に、でも独自の解釈や作品の見栄えから、ここの部分はカットしようとか、継ぎ足してみようとか…。
北斎が好きでなければ、なかなか描ききれない作品の数々。北斎への「愛」あってこそ誕生したコラボなのだと思います。観ていて、ひしひしと感じました。