歴史・音楽・過ぎゆく日常のこと
日日の幻燈




【熊野神社・鳥居】


本宿村の常夜燈から、そう遠くないところに熊野神社があります。
ガイドブックによると、神社の裏手に古墳あり、とのことだったのですが、実際に見てびっくり。こんもりとした丘があって、はい、これが昔の古墳です…という、ありがちなものかと思いきや、きちんと在りし日の姿に復元されていました。

それはそれとして、まずは熊野神社。

【熊野神社・社殿】


熊野神社は本宿村の総鎮守で、江戸時代初期に創建され、現在の地には江戸中期に遷ったと伝わります。
とくにお参りする人がいるわけでもなく、ひっそりとしていました。

【江戸時代の鳥居】


神社の裏の古墳をぐるっと廻っていくと、ちょうど神社の真後ろにあたる場所に、江戸時代に寄進された鳥居が残っています。
この位置にあるのは、何らかの事情で移されたのでしょうか?古墳の発掘調査・復元のためかな?


【武蔵府中熊野神社古墳1】


さて、古墳。
神社の社殿の後ろにあるのですが、正式名称は「武蔵府中熊野神社古墳」だそうです。
国の史跡。
上円下方墳。その名の通り、四角い土台の上に円形の頂上部がのっかている造りです。全国的にも珍しい形の古墳で、それゆえの国史跡指定なのでしょうね。
実は3段造りで、墳丘部として見えているのは2段目と3段目で、地面の部分が1段目にあたるようです。1段目の一辺の長さは32メートル。上円部の直径は16メートル。
発掘調査が行われ復元されたのは、ここ最近のことだとか。2段目と3段目は川原石で覆われています。

【武蔵府中熊野神社古墳2】


古墳が築かれたのは7世紀中ごろ。埋葬されているのは武蔵国の首長クラスと推測されますが、残念ながら人物を特定するような出土品はないようです。
なお、熊野神社との関連はまったくなさそうとのこと。上円下方墳かどうかは別として、江戸時代の村人たちの間でも
ありゃ、昔の大王さまのお墓らしいべさ…
くらいの言い伝えはあったのでしょうね。


【武蔵府中熊野神社古墳展示館】


神社の鳥居(表の方です)横に、古墳の展示館があります。
せっかくだから、お邪魔してきました。入館は無料です。古墳の出土品の展示、府中の歴史や近隣の遺跡の紹介などなど。
館外には石室が復元されていて、窓口でお願いすると案内してもらえるとのこと(普段は施錠されているようです)。
残念ながら、先を急ぐ私たちは石室の見学は断念しました。

【ひとやすみ】


それにしても、こんなところで古墳に出会えるとはインパクト大でした。
でも、気づいていないだけで、案外、身近にも古墳はあるのかもしれません。ここまで綺麗に復元されていれば、すぐわかるんですけどね。


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