風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

楽書き雑記「名古屋市美術館の『シャガール展』へ」

名古屋市美術館で開催中(2月18日まで)の「シャガール展」を見てきました。

12年余前、南仏のニースにあるシャガール美術館に入ったことがありますが、当時の僕にはアートはさっぱり。作品に見入る家内の傍らで「子どもの作品みたい」と思ったものです。
でも、絵を老後の趣味としてから、少しは理解できるようになり、シャガール展を取り上げた先日のテレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」を見て「これは行かねば」と名古屋市美術館へ向かいました。

マルク・シャガール(1887~1985)は、ロシア(現ベラルーシ)出身のユダヤ人画家。フランスや亡命したアメリカで創作。絵画だけでなく彫刻や陶器をも手掛け、97歳て亡くなるまで鮮やかな色彩と大胆な着想で新しい表現を追求、幻想的で独自性豊かな作品を生み出したと言われています。

今回展に展示されているのは約170点。まず、よく知られている油彩画「誕生日」が迎えてくれます。

花束を手にシャガールの誕生日祝いに訪れた恋人のベラを迎え、喜びを素直に表現した絵は、見る側も幸せに包まれます。会場でも、しばらく絵の前から離れない若い姿を見かけました。

人物を描いた絵には、子どものころ過ごした村の思い出からでしょうか。馬や牛、羊、鳥、花などが描かれています。さらには家や家具、パレットなど、およそ無関係に思える物が小さく、時には大きく描き込まれています。

空を飛ぶ二人、羽がある時計、鳥に抱かれた女性、空を飛ぶニワトリ・・・。十字架から降ろされたキリストと一緒に描かれた母子像も。
絵画教室だと「こんな物を入れるのはおかしい」と注意されそうですが、シャガールの絵には違和感がありませんから不思議なものです。

自由奔放、小さなことにはとらわれないで創作した三次元の世界は、亡命からフランスへ帰り、60代に入って手掛けたという彫刻や陶器にも見られます。花瓶なのか水指なのか見分けがつかない陶器には、女性や動物、花などが入っています。彫刻もさまざまな物が彫り込まれており、見る側を楽しませてくれます。

喜びを思いっきり描いたり、陶器に思いつくまま動物や花を貼り付けたり。
戦争や亡命を経た長い創作活動の中で、モチーフに変化はあっても、創作・表現に向かうシャガールの素直な気持ちと独創性は一貫しているのを感じました。

それに飛躍しすぎと言われるかもしれませんが、正月明けに見た児童画展を思い出しました。
その意味では、冒頭に書いたニースのシャガール美術館での印象「子どもの作品みたい」は間違いではなかったのかも、と思っています。




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