美しく懐かしい調べが、ホールに流れます。同業他社の先輩で、学ぶことの多い人生の先輩でもある愛知県岡崎市在住の早川伸さんが、岡崎市のコンサートホール「コロネット」で22日催された第9回三河地区ハーモニカ発表会で、83歳になった今年も元気な演奏を聴かせてくれました。
昨年6月23日更新のブログ「82歳のハーモニカ演奏」でも書きましたが、早川さんはNHKの元報道記者。主に地方のニュースを地元目線で追い、とことん掘り下げることを身上とする姿勢を学ばせてもらったものです。
現役時代に奥様を亡くしましたが、タバコの「ピー缶」(ピース50本入りの缶)を持ち歩く愛煙家は卒業したものの、やや大きめの盃を重ねる毎日は今も続いているようです。
ハーモニカを手にしたのは8年ほど前。まさに75歳からの手習いでしたが、先生や仲間たちの励ましと持ち前の粘り強さで、今では「中級」に。「なかなかうまくならないけど、吹いていることが楽しくて」と話します。
今年の発表会では、弘田龍太郎が1920年に作曲した「叱られて」を独奏。楽器を扱った経験の乏しい僕は、テンポがゆっくりした曲は、速い曲に比べて難しいのではと思っていました。でも、1930年に生まれ、この曲が制作された時はちょうど10歳だった早川さんは、少年時代の風景や口ずさんだ歌詞を思い起こすように演奏し、会場の温かな拍手に包まれていました。
また、所属する「ハッピーフレンズ岡崎土曜会」のメンバーとして「あの素晴らしい愛をもう一度」と「ゲゲゲの鬼太郎」の合奏も聞かせて切れました。
そういえば、以前お会いした時、早川さんが「我々のハーモニカ演奏と、聞きに来てくれた人たちの合唱や手拍子が一体となって、会場が盛り上がるようなことをやったら楽しいだろうなあ。例えば・・・」と挙げたのが、「ゲゲゲ」でした。僕も「いいアイデアですね。さすが」と賛同したものです。
この日は会場に合唱や手拍子の呼び掛けはありませんでしたが、場内では演奏に合わせて小さな声のハミングが聞こえていました。
「下手なうえに、自己流、自我流が出てしまい、先生の失笑をかっています。90歳、いや100歳になってもハーモニカをやっていたら、記念祝賀演奏会を開いて欲しいなあ」と早川さん。
「このごろトシを感じるようになった」と言いながらも、意気軒昂です。