窓ガラスにセロファンが貼られ、眼下の「オアシス21」もこのように
8月に始まったあいちトリエンナーレも、10月23日の閉幕まで1カ月を切りました。猛暑やオリンピックのために立ち上がりは低調に思われた客足も、秋口に入って伸びているようです。
愛知県内9会場をひと通り回った僕も週末の24日、決して落穂ひろいではなく時間が足りずに十分に見ていなかった作品の再発掘やリピート鑑賞のために、メーン会場の愛知県美術館へ出かけてきました。
例えば中村裕太の「民俗と建築にまつわる工芸」という視点から陶磁器にスポットを当てた作品。
米国人動物学者の日本滞在記にある訪問地の空き地や道端などで採取した陶片を、その地の絵ハガキなどとともに展示して明治から現代にいたる社会や文化の変遷をたどっています。
モロッコやエジプトの盲学生らと交流しながら、陶磁器やブロンズの制作に当たっている松原慈の作品もなかなかの力作と思いました。
美術館11階の展望回廊も、タイルの絵柄研究をもとに制作している田島秀彦の作品と、緑やピンクのセロファンで色付けされた美術館の窓ガラスからの光がマッチして魅力的です。
海外の映像作品や、東北地方山村や漁村で取材を重ねた田附勝の写真集も、生活感のある見ごたえある作品。
放射能除染のために伐採された巨木の年輪を鉛筆で擦って写し取った岡部昌生の作品からは、原発事故の教訓を忘れまいというメッセージが改めて伝わってきました。
美術館前の「オアシス21」広場では、一般参加型企画の「虹のカーニバル」(24・25日)も開催。みんなで日本舞踊やフラメンコ、サンバなどを楽しむプログラムも、初日は時おり降りしきる雨に盛り上がりはいまひとつでした。25日は秋雨前線が弱まりそうとか。とにかく天候が回復しますように。