「カムシャフトを確認してみた」で我がYBR125のカムシャフト
を外してみたので、いよいよハイカム化を実行する事にしたよ。
引き抜いた純正カムシャフトはこの状態なのだ。
そして先日輸入した品々の中にハイカムがあるのだ。
ベアリングの製造元が中国製は98元、台湾製は128元。
30元(約600円)の違いなら当然台湾製を選んだよ。
さて、問題は普通に純正カムを外した時には奥にベアリングが
残ってるわけで、純正と入れ替えてポン付けできない事。
また、奥側ベアリングを抜くにしても、手前のロッカーアーム摺動
パドルが邪魔して、素直に抜けないだ。
正攻法としてはロッカーアームを一旦外してからベアリング抜きを
する。
ところが、排気側ロッカーアームのシャフトを抜く時にシリンダー
ヘッドのボルトが1本邪魔して抜けない。
ヘッドボルトを抜こうとすると、今度は上部が車体フレームに
引っかかって抜けきれないのだ。
抜くにはヘッドを外す感じで全部の固定ボルトを緩めてからヘッド
を斜めに傾けるしか無い。
このためにはキャブやらマフラーを外し・・・と、大仕事になって
しまう。こんな暑い季節に炎天下で長時間作業したくない!!
ならば、ハイカムに付いているベアリングを抜けばいいのか?
それなりの専用工具は必要になるのだ。
外掛け式プーラーが必要で、これの出番は他の個所にはほとんど
無いから1回限りの高額出費になってしまう。
プーラーを借りるかバイク屋さんに頼む方法もあるけれど、これ
だけじゃ済まない事情が他にあるのだ。
先人さんが実際にやっていたので、頼んで画像を頂いた。
上が純正、下がベアリングを抜いたハイカム。
純正にはOリングがあるけれど、ハイカムには溝だけ。
Oリングの圧入抵抗が無い分、ハイカムの軸はベアリングの内径
ギリギリの隙間で仕上げている関係で、簡単にはエンジン側の居残り
ベアリングに挿入できない問題が出てくる。
純正カムの軸は実測14.98mmだがハイカムは少し太いはずだ。
先人さんは叩きこんでセットしたとの事だけど、ベアリングに強く
叩き入れるのは構造上「やってはいけない作業」でもある。
背に腹はかえられない事情だから仕方がない。
また他の先人さんはハイカムの軸を研磨して純正同様に挿入しや
すくしていたが、肝心の「どうやって研磨したのか」は公開して
居ないから、参考にならなかった。
どうしよう?
こんな感じでM8ボルトナットを組んで、ドリルで回転させながら
軸をオイルストーンや布ヤスリで削ればいいのか?
ブレの事を考えると高回転で動作するカムの加工にしては精度
低すぎるし、いくらベアリングがC3精度だから微妙なブレは吸収
するとは言え、賭けに近い加工だと思う。
追記:後に自作ベアリングプーラーで抜く事が可能だと分かる。
リンク 自作ベアリングプーラー
別の方法を探してみた。
アメリカのBBR社が同型エンジンのTT-R125用にボアアップ・
ハイカムキットを発売しているので、その組立説明書を見る。
付属のハイカムは今回輸入した仕様と同じでベアリングが両端に
圧入されている。
作業方法例がすごい。
バルブを大きなドライバーか何か適当な工具をテコで押してロッ
カーアームのパドルを避けるようにしながら、カムを抜き差ししろと
説明していた。
合理的ではあるものの、ヘッドが単体になってるので、そのまま
ロッカーアームを一時的に外せば済む話なので、実にアメリカン
な作業と言える。余計な作業はしたくないのだな。w
こんな感じに色々と作業の予習などをしてたんだけれど、機械科
の学生などとあれこれ妙案を考え出したものの、これだ!という
結論は出ず、数日間頭を悩ませていたのだ。
とにかく、加工精度確保や無駄に高額な工具の出費を避けたい。
だが、避けて通れないので、奥側の純正ベアリングを抜く方法
も考えておいた。
正攻法は左のスライディングハンマー・内掛け式プーラー。
右の踏ん張り・内掛け式プーラーでもよいだろうが、ヘッドの
カムシャフト穴が狭いので、色々工夫する必要があるはず。
これら、内掛け式はカムの他にエンジン内部やホイールのベアリ
ングにも使えるので、少々高くても素人には一生使えるプーラー
でもある。
自作したらどうか?
建築用資材を利用して安価に揃えられるのだが・・・
こんな感じのスライディングハンマー式の自作プーラーで大丈夫か?
材料は揃えてみたけれど、やった事が無いので確証は無い。
結局輸入をきっかけに中国製の筒型・内掛け式プーラーを入手した。
カムベアリングでダメでも、他の場所で使えるから無駄な出費では
無いのだ。
こうした経緯で、ハイカム化の作業や工程上の問題点が色々露見
していて、安易にやり方を公開できなかったのだ。
最後に結論を書くと、すでにハイカム化、成功してました!
次回はその様子だよ。