★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇アメリンクのモーツァルト:「踊れ、喜べ、幸な魂よ」/シューベルト:ゲーテ歌曲集

2023-01-19 09:44:47 | 歌曲(女声)


モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸な魂よ」
シューベルト:ゲーテ歌曲集

       ミニヨンの4つの歌

         君よ知るや南の国
         ただあこがれを知る者だけが
         私に言わせないで
         この装いを許したまえ
           
       恋人の手紙
       恋人のそばに
       野ばら
       美しい恋人

ソプラノ:エリー・アメリンク

オルガン:レスリー・ピアーソン

指揮:レイモンド・レパード

管弦楽:イギリス室内管弦楽団

ピアノ:ダルトン・ボールドウィン

発売:1975年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) PL‐1330(6598 114)

 エリー・アメリンク(1933年生まれ、本名:エリザベート・サラ・アーメリング)は、オランダのソプラノ歌手で、1996年に引退してしまったので、現在は、その歌声を聴くことはできないが、現役時代のその澄んだ歌声を、このLPレコードでは存分に聴くことができる。アメリンクは、ソプラノ歌手といっても、オペラではなく、リートやカンタータ、それにオラトリオといった分野で活躍した歌手であり、比較的地味な存在ではあった。当時、同じソプラノ歌手のシュワルツコップ(1915年―2006年)などは、オペラでの目を見張る活躍は、常に楽界の耳目を集めていた。一方、アメリンクの活動の場は、リートを中心としたものであったため、マスコミなどで派手に扱われることは、ほとんどなかったように記憶している。しかし、一方では熱烈なリート愛好家からは高く評価をされ、特にリートファンの多かった日本では、当時、シュワルツコップに劣らない人気を有していたと思う。シュワルツコップもリートのLPレコードを残しているが、あくまで正当性の高い、ある意味では裃を纏ったその歌唱力に圧倒されたように感じていた。それに対し、アメリンクの透明感の中に柔らか味のある歌声は、常に強い親近感が持てたように思う。何か自分のすぐ側にいて歌ってくれているような感じが常にしていたのである。また、コレギウム・アウレウムやイェルク・デムスなど、草創期の古楽器団体や古楽器奏者と共演して、バッハのカンタータやモーツァルトおよびシューマンのリートを録音した。このほか、山田耕筰や中田喜直などの日本の歌曲までも日本語で歌うという、当時としては稀有の存在の歌手でもあったのだ。アメリンクは、古楽界における女性歌手の第一人者カークビーの先駆けとも言うべき声の特徴から、明らかに古楽むきで、 ヘルムート・ヴィンシャーマン指揮のドイツ・バッハ・ゾリステンとバッハのカンタータで度々共演し、日本にも共に来日しCDも残している。そんなアメリンクが、誰もが知っているモーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸な魂よ」と、有名な「野ばら」を含むシューベルト:ゲーテ歌曲集を歌ったのがこのLPレコードなのである。いずれの曲もアメリンクの暖かみ溢れた透明感漂う歌声に聴き惚れてしまう、珠玉のようなLPレコードに仕上がっている。モーツァルト:モテット「踊れ、喜べ、幸な魂よ」は、第3次イタリア旅行に旅立ったモーツァルトが、その期間中の1773年1月に、ローマのカストラートとラウッツィーニのために作曲した作品。初演は1773年1月17日、ミラノのテアーテ教会で行われた。このLPレコードに収められたシューベルトの歌曲の作曲年代は、次の通りとなる。君よ知るや南の国(1815年)、ただあこがれを知る者だけが(1826年)、私に言わせないで(1826年)、この装いを許したまえ(1826年)、恋人の手紙(1819年)、恋人のそばに(1815年)、野ばら(1815年)、美しい恋人(1815年)。(LPC)

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◇クラシック音楽LP◇デ・ロス・アンヘルスが歌う珠玉の歌曲小品集

2022-12-19 09:43:17 | 歌曲(女声)


~デ・ロス・アンヘルス 歌の世界~

メンデルスゾーン:歌の翼
グリーク:汝を愛す
ブラームス:子守歌
ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌(「ジプシーの歌」より)
マルティーニ:愛の歓び
アーン:恋する乙女
ドリーブ:カディスの娘
古謡:アイルランドの子守歌
サデロ:シチリアの子守歌
イラディエール:ラ・パロマ
オヴァーレ:青い鳥
ルーナ:スペインからやってきた娘(サルスエラ「ユダヤの若者」より)
チャピ:カルセレラス(サルスエラ「セベテの娘」より)

ソプラノ:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス

指揮:ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス

管弦楽:シンフォニア・オブ・ロンドン

LP:東芝EMI EAC‐30187

 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス(1923年―2005年)は、スペイン・バルセロナ出身の名ソプラノ歌手。1947年のジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝して一躍脚光を浴びる。その後、ザルツブルク音楽祭、メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など国際舞台で活躍し、名声を得る。1992年、バルセロナオリンピックの閉会式ではカタルーニャ民謡「鳥の歌」を歌った。その歌声は、透明感があり、美しく気品に溢れ、その上暖かさを持った表現は実に見事なものである。このLPレコードの第1面は、歌曲の珠玉の小品を収めてあるが、そんな彼女の歌声の特質が存分に発揮されている。例えば、第1曲のメンデルスゾーン:歌の翼を聴くと、その伸びやかで気品のある歌声にうっとりと聴き惚れてしまい、暫し間、時の経つのも忘れてしまいそう。第2面は、民謡をベースとした歌が多く集められているが、やはりスペインものになると、その説得力は一層輝きを増すようである。伴奏オーケストラの指揮は、同じくスペイン出身のラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(1933年―2014年)。ウィーン交響楽団およびモントリオール交響楽団の音楽監督のほか、スペイン国立管弦楽団の音楽監督も長く務めた。2004年からはドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者を務め、さらにベルリン・ドイツ・オペラ音楽監督、ベルリン放送交響楽団首席指揮者などを歴任。2012年からは、デンマーク国立交響楽団の首席指揮者を務めていたが、病気のため引退することになる。ここでのラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスの指揮は、伴奏という枠を越えて、デ・ロス・アンヘルスとの共感に溢れた演奏を聴かせている。特にスペインものの歌曲では、2人の呼吸はピタリと合い、極上の香りがする音楽を送り届けてくれる。このLPレコードのB面には、「ラ・パロマ」のほかは、普段あまり聴くことのない曲が収められている。「アイルランドの子守歌」はチャールズ・スタンフォードがアイルランドの民謡を採譜・編曲した曲。「シチリアの子守歌」は、ジェニ・サデロがシチリア民謡から採譜・作曲した曲。「青い鳥」は、ハイメ・オヴァーレがハンディラの詩に作曲したブラジルの民謡風の曲。「スペインからやってきた娘」は、パブロ・ルーナのサルスエラ(スペイン独自の軽歌劇)「ユダヤの若者 EI Nino Judio」のヒロインが歌う歌。「カルセレラス」は、ルペルト・チャピのサルスエラ「セベデの娘」の中で歌われるアリア。(LPC)

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◇クラシック音楽LP◇カスリーン・フェリアー&ワルターによるシューマン:歌曲集「女の愛と生涯」/マーラー:リュッケルトの詩による3つの歌

2022-08-22 09:44:37 | 歌曲(女声)


シューマン:歌曲集「女の愛と生涯」

        1.彼に会って以来  
         2.彼は誰よりも素晴らしい人
         3.分からない、信じられない
         4.わたしの指の指輪よ
         5.手伝って、妹たち
         6.やさしい人、あなたは見つめる
         7.わたしの心に、わたしの胸に
         8.今、あなたは初めてわたしを悲しませる

マーラー:リュッケルトの詩による3つの歌

        1.わたしはこの世に忘れられ 
        2.ほのかなかおりを 
        3.真夜中に

コントラルト:カスリーン・フェリアー

ピアノ&指揮:ブルーノ・ワルター

管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1949年9月、エディンバラ音楽祭のBBC放送による

発売:1978年

LP:キングレコード MX 9044

 このLPレコードは、世界のクラシック音楽界の声楽と指揮をそれぞれ代表する2人が歴史的な出会いの後に生まれた貴重な録音である。英国生まれのコントラルト(アルト)歌手のカスリーン・フェリアー(1912年―1953年)は、普通高校において勉学し、卒業後に郵便局に入り、電話交換手の職にありつく。この時、高校で習っていたピアノ演奏で、地方のコンクールに入賞したり、音楽放送に出演するなどの余技的な活動を続けていたが、ある歌手の伴奏をしたことで、歌手としてのレッスンを受けることになる。1940年、ヘンデルの「救世主」の独唱者として公式に歌手としてのデビューを飾る。そして、1947年のエジンバラ音楽祭が2人の運命の出逢いとなる。ワルターはこの時、マーラーの「大地の歌」を指揮することになっており、推薦人を介してカスリーン・フェリアーと出会い、この時ワルターは「幼時の無邪気さと貴婦人の威厳を併せ持ち、そしてこと芸術に関しては、謙虚さと自信と同時に、常に初心者のような感動を忘れない人」とカスリーン・フェリアーを高く評価したのである。しかし、その後カスリーン・フェリアーは、当時はまだ不治の病であった癌に罹り、1953年、41歳の若さでこの世を去ってしまう。このため残された録音は、数こそ多くはないが、その1曲1曲が不朽の名盤揃いなのである。このLPレコードでも、シューマン:歌曲集「女の愛と生涯」とマーラー:リュッケルトの詩による3つの歌において、コントラルトならではの深い情念を持った、類稀な表現が聴くものに感動を与えずにはおかない。歌曲集「女の愛と生涯」は、シューマンが“歌曲の年”といわれる1840年に作曲した連作歌曲で、詩はアーデルベルト・フォン・シャミッソーによる。当時のシューマンは、クララ・ヴィークとの結婚という、自らの経験が作曲の背景にあったのは確かなこと。ピアノの独立性が高く、声楽と対等な立場で音楽表現が特徴で、シューベルトの影響を離れて新しい時代に入ったことを印象付ける作品。一方、マーラーは、フリードリッヒ・リュッケルトの詩により、当時としては画期的なオーケストラ伴奏による歌曲集「亡き子をしのぶ歌」に続き、「最後の七つの歌」を作曲したが、このLPレコードでは、よく歌われる「わたしはこの世に忘れられ」「ほのかなかおりを」「真夜中に」の3曲が取り上げられている。ワルターはピアノと指揮とで、カスリーン・フェリアーの伴奏役に徹し、見事な一体感をつくり出している。(LPC)

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◇クラシック音楽LP◇名ソプラノ エリー・アーメリングが歌うシューベルト・リート・リサイタル

2022-06-20 09:54:54 | 歌曲(女声)


~シューベルト・リート・リサイタル~

シューベルト:夕映えの中で D.799
       星 op.96-1 D.939
       夜と夢 op.43-2 D.827
       愛らしい星 D.861
       ロザムンデのロマンス op.26 D.792,3b
       孤独な男 op.41 D.800
       子守歌 op.24-2 D.527
       シルヴィアに op.106-4 D.891
       少女 D.652
       愛の歌 D.429
       愛は裏切った op.23-1 D.751
       リュートに寄せて op.81-2 D.905
       花の便り D.622
       男というのは悪者よ! op.95-3 D.866
       至福 D.433

ソプラノ:エリー・アーメリング

ピアノ:ダルトン・ボールドウィン

録音:1973年8月21日~22日、アムステルダム、コンセルトヘボウ

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) 18PC‐84(6500 704)

 シューベルトのリートを歌う、このLPレコードのエリー・アーメリングの透明度の高い、美しい歌声を最初に聴いた時、私はそのあまりの美しさに一瞬言葉を失ってしまった程である。シュワルツコップも美しい声の名ソプラノであったが、アーメリングの声は、透明で純粋な美しさの点では、シュワルツコップのさらに上を行くのではなかろうか。ヴィブラートをあまりかけない歌い方なので、このことが倍化してリスナーには聴こえるのである。シューベルトのリートは、何処かに翳りがあるが、アーメリングがシューベルトを歌うとそんな翳りは引っ込んでしまい、シューベルの純粋なキラキラと輝く宝石のような美しさだけが顔を覗かせる。こんなソプラノは、現在に至るまで一人も聴いたことがないし、果たしてエリー・アーメリングに比肩しうるソプラノがこれから出て来るかどうかである。アーメリングの歌うシューベルトのリートを聴いている時だけは、一瞬この世のわずらわしいことを忘れ、暫し天国的な雰囲気の中に迷い込む思いがする。エリー・アーメリングは、1933年オランダのアムステルダムに生まれている。1996年に引退した後も来日して、若い歌手達へ公開講座を開くなどの活動を続けていた。このLPレコードは、30代後半という歌手として最も脂の乗り切った頃の録音であり、実に生き生きしたリリックソプラノの声の美しさに加え、円熟期を迎えた卓越した歌唱技術が一段と冴えわたって聴こえる。このエリー・アーメリングの歌声を聴いていると、一時、古き良き時代へとタイムスリップしたかのような感覚にもとらわれる。エリー・アーメリングは、主にリート歌手としての演奏活動を続けたが、このことはヨーロッパの歌手としては珍しい存在であったであろう。ドイツ・リートがレパートリーの中心にあったが、古楽や宗教曲のほかフランスの歌曲やガーシュウィンなどの英語の歌曲も歌った。さらには山田耕筰や中田喜直などの日本人がつくった歌曲を日本語で歌うなど、そのレパートリーの広さは歌曲専門の歌手として面目躍如たるものがある。このLPレコードでピアノ伴奏しているダルトン・ボールドウィン(1931年―2019年)との息もぴたりと合っている。ダルトン・ボールドウィンは、ジェラール・スゼーなどのピアノ伴奏を担当し、その名脇役ぶりは当時一目置かれた存在であった。このLPレコードでもダルトン・ボールドウィンのピアノ伴奏によって、エリー・アーメリングの歌声の美しさが一層際立ったものに仕上がっている。(LPC)

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◇クラシック音楽LP◇往年の名コロラトゥラ・ソプラノ リタ・シュトライヒの愛唱歌集

2022-05-26 09:43:59 | 歌曲(女声)


ヨハン・シュトラウスⅡ世:円舞曲「春の声」
サン=サーンス:「うぐいすとばら」
ヴェルディ:「煙突掃除夫」(歌曲集「6つのロマンス」の第4曲)
ゴダール:「ジョスランの子守歌」(歌劇「ジョスラン」から)
アルディーティ:「パルラ(語りたまえ)」
ヨハン・シュトラウスⅡ世:「侯爵さま」(喜歌劇「こうもり」op.56から)
ヨハン・シュトラウスⅡ世:田舎娘の役ならば(喜歌劇「こうもり」op.56から)
ヨハン・シュトラウスⅡ世:円舞曲「ウィーンの森の物語」
スッペ:愛はやさし(喜歌劇「ボッカチオ」から)
ドヴォルザーク:月に寄せる歌(歌劇「ルサルカ」から)
マイアベーア:影の歌(歌劇「ディノーラ」から)

ソプラノ:リタ・シュトライヒ

合唱:RIAS室内合唱団

指揮:クルト・ゲーベル

管弦楽:ベルリン放送交響楽団

録音:1958年5月19日~23日/28日~30日、ベルリン、イエス・キリスト教会

LP:ポリドール(ドイツ・グラモフォン) MGW 5250

 これは、往年の名ソプラノ、リタ・シュトライヒ(1920年―1987年)の名唱を、寛ぎながら聴ける、誠にもって楽しくもあり、懐かしい香りがするLPレコードである。シュトライヒは、旧ソ連ウラル地方パルナウルで、ドイ人の父、ロシア人の母のもとに生まれた。幼時に両親ともどもドイツへ戻り、声楽の勉学に励む。1943年にデビューし、1945年ベルリン国立歌劇場の舞台を踏んだのだが、その時に注目を浴びることになる。透き通るような美しいコロラトゥラの声と知的でチャーミングな容姿は、たちまちにして聴衆の心を掴んだのだ。彼女の絶頂期は、1950年代から1960年代にかけてであり、この録音はその真っ只中に行われたもの。このため、このLPレコードでは全盛期の彼女の美声を心置きなく堪能することができる。ここで取り上げられている曲の多くがお馴染みの曲であり、古き良き時代の雰囲気に溢れ返っている。昔は、こんな楽しい曲がしょっちゅうラジオから流れていた。私などはリタ・シュトライヒという名を聞いただけで、昔のことが走馬灯のように浮かんできてしまう。そのリタ・シュトライヒの清々しい歌声が、LPレコード独特の柔らかい音質で今でも鑑賞できることは何とも幸せなことだ。最初の曲のヨハン・シュトラウスⅡ世:円舞曲「春の声」は、ヨハン・シュトラウスⅡ世の後期の代表作でもともとは声楽付きの円舞曲。サン=サーンス:「うぐいすとばら」は、ヴォカリーズ形式による歌詞なしの曲。ヴェルディ:「煙突掃除夫」は、歌曲集「6つのロマンス」の中から第4曲目の曲。ゴダール:「ジョスランの子守歌」(歌劇「ジョスラン」から)は、甘美な旋律で親しまれている曲。アルディーティ:「パルラ(語りたまえ)」は、ワルツで書かれている軽やかな愛の歌。ヨハン・シュトラウスⅡ世:「侯爵さま」「田舎娘の役ならば」(喜歌劇「こうもり」から)は、小間使いアデーレ役を十八番としたシュトライヒがチャーミングに、しかも洒脱に歌う。ヨハン・シュトラウスⅡ世:円舞曲「ウィーンの森の物語」は、1868年に作曲されたウィンナワルツのお馴染みの名品。スッペ:愛はやさし(喜歌劇「ボッカチオ」から)は、わが国では昔からお馴染の曲。ドヴォルザーク:月に寄せる歌(歌劇「ルサルカ」から)は、抒情的で清らかなアリア。マイアベーア:影の歌(歌劇「ディノーラ」から)は、コロラトゥラ・ソプラノの名アリア。このLPレコードは、これらの名品を絶頂期のリタ・シュトライヒが清らかに歌い上げる、今となっては誠に貴重な録音だ。(LPC)

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