シューマン:合唱曲「ロマンス」第1集 作品69
①タンブリーンを打ち鳴らす女
②森の乙女
③修道女
④兵士の花嫁
⑤海の精
⑥聖堂
合唱曲「ロマンス」第2集 作品91
①ローズマリーの花
②陽気な狩人
③水の精
④見捨てられた乙女
⑤布を漂す女の夜の歌
⑥海の中に
3声の女声のための3つの歌 作品114
①挽歌
②トリオレット(三行詩)
③箴言詩
合唱曲「ロマンスとバラード」第3集 作品145
①鍛冶屋
②尼僧
③歌手
④ジョン・アンダースン
⑤鷲鳥の番をする少年のロマンス
指揮:フリーダー・ベルニウス
合唱:シュトゥットガルト室内合唱団
ピアノ:ハルトムート・ヘル
ソプラノ:クリスツィーナ・ラキ
フルート:コンラート・ヒルツェル
ホルン:ヨハネス・リツコフスキー
LP:東芝EMI EAC‐40146
シューマンは、1847年から幾つかの合唱団の指揮を手掛け始めるが、そうした指揮者としての実用的意味合いと、合唱団から受けた刺激が基になり、幾つかの合唱曲を書き遺している。このLPレコードでは、これらの作品が収められている。シューマンの合唱曲は、元来は重唱用の曲であるが、現在では合唱として歌われることも多く、このLPレコードにもそのような例がある(菅野浩和氏のライナーノート。以下曲の概要は同氏による)。「ロマンス」第1集op.69は、6曲からなる女声四重唱ないしは五重唱(あるいは重唱でなく合唱)の曲集で、ピアノは任意と記されている。6曲目の「礼拝堂」では伴奏について、「ピアノ、またはフィスハルモニカ」と記されている。フィスハルモニカはリード・オルガンのような楽器であったが、現在では廃れてしまっていて、その詳細は不明という。「ロマンスとバラード」第4集は、第5集と同様、5曲からなるが、その5曲目にはフルートとホルンが加わっている点が珍しい。3声の女声のための「三つの歌」op.114は、作曲年代が遅く1853年。この曲集では、ピアノが任意でなく、外すことが出来ない。もっとも、1曲目の「挽歌」では、常に声と重ねて使っているが、2、3曲目では、声とは異なったピアノ特有の動きが出て来る。「ロマンス」第2集op.91は、5曲目までは4部合唱でピアノ伴奏が付いているが、省略可能。6曲目の「海の中に」は、最初からピアノは登場せず、合唱は6部。指揮のフリーダー・ベルニウス(1947年生まれ)は、南ドイツのルートヴィヒスハーフェン出身。シュトゥットガルト音楽院とチュービンゲン大学に学び、在学中の1968年にシュトゥットガルト室内合唱団を組織、以来、40年以上にわたって活動を共にし、来日も果たしている。シュトゥットガルト室内合唱団は、指揮者ベルニウスが学生時代に創設した合唱団。メンバーはバロック音楽のスペシャリスト、18~20世紀のオラトリオやオペラを専門とする歌手などで構成されており、プロジェクトに応じて選抜されていく。1970年から2年連続で「ヨーロッパ合唱コンクール」において優勝し、1982年には第1回「ドイツ合唱コンクール」で第1位となった。このLPレコードでの演奏は、清冽なアンサンブルの響きが誠に美しく、神聖な雰囲気も濃厚に漂わせ、シューマンの合唱を心から堪能することができる。(LPC)