★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ワルター&ベアトリス・クリーン夫妻によるフランス4手ピアノ作品集

2020-05-04 09:40:47 | 器楽曲(ピアノ)

ミヨー:“スカラムーシュ”(ピアノ2台用)
フォーレ:“ドリー”(ピアノ連弾)
ビゼー:“子供の遊び”(ピアノ連弾)

ピアノ:ワルター・クリーン
    ベアトリス・クリーン

LP:ワーナー・パイオニア H‐4529V
 
 このLPレコードは、ワルター・クリーン&ベアトリス・クリーン夫妻による“フランス4手ピアノ作品集”である。ワルター・クリーン(1928年―1991年)は、オーストリアのグラーツに生まれ、ウィーン音楽アカデミーで学び、またイタリアではミケランジェリに師事した。1951年「ブゾーニ国際コンクール」で入賞を果たす。1953年ウィーンでデビューし、同年「ロン=ティボー国際コンクール」で入賞。また、1953年には「ベーゼンドルファー賞」を受賞している。1969年アメリカでデビュー。初来日は1980年2月。モーツァルトやブラームスのピアノ独奏曲全集のほか、シューベルトのピアノソナタの全曲録音などの録音を残している。夫人のベアトリス・クリーンは、アルゼンチン出身のピアニスト。ウィーンで学び、ヨーロッパ各国で活躍した。このLPレコードの最初の曲は、ミヨー:“スカラムーシュ”。この2台のピアノのための“スカラムーシュ”は、3曲からなる小規模なピアノ曲。簡明でありながら機知に富んだ色彩感覚溢れる曲想が、今に至るまで広く愛好されている。スカラムーシュとは、もともと7世紀のナポリに生まれた喜劇役者の名前だが、彼の死後、普通名詞のように使われるようになったという。1曲目は、民族的な色彩をもつ道化の踊りをイメージさせる。2曲目は、牧歌的な叙情性が印象的。3曲目は、ミヨーが体験した中南米的なリズム感が特徴。次のフォーレの4手用(連弾でも2台でもよい)ピアノ曲“ドリー”は、フォーレが40歳代の後半に書いた曲。後にドビュッシー婦人となったエンマ・バルダックの子供で、エレーヌという少女に贈られている。エレーヌの愛称である“ドリー”が曲の名前に付けられた。①子守歌②ミアウ(猫の言葉のこと)③ドリーの庭④キティのワルツ⑤優しさ⑥スペインの踊り―の6曲からなっている。如何にもフォーレらしい、優しい愛情のこもった曲集となっており、現在でも愛好者を多く持つ曲として有名。最後のビゼー:“子供の遊び”は、5曲からなる管弦曲として知られるが、もともとは12曲からなるピアノ連弾用の曲。管弦曲版は色彩豊かな曲だが、もとのピアノ連弾版では、素朴な味わいと機知に富んだ雰囲気を漂わせる。これらの曲を弾くワルター&ベアトリス・クリーンは、二人の息がぴたりと合い、明るく、明快な表現がリスナーを魅了して止まない。どの曲の演奏も、二人のそれらの曲に対する愛情が、キメ細かく表現されているところが素晴らしい。(LPC)


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