マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

余市29

2012-09-06 12:04:39 | グルメ

29とは樽番号の下2桁とのこと。熟成年数ではございません。

yoichi29.jpg

ニッカウヰスキーくらい大きな会社になると、樽番号は8桁とか
10桁とか、そのくらい大きな数字になる筈ですが、そうはいっ
ても反って混乱の素になるだけなので、識別が出来ればよいとい
う配慮でしょう。

ブレンダーの方が作られたリストには、こうあります。

「余市29 1988年蒸溜 熟成23年 新樽 アルコール61%
余市蒸溜所の骨太で力強い味わいが楽しめる。潮っぽく、
とてもスモーキー、とても正露丸。新樽熟成のバニラ香と適度な
渋味。余市モルト愛好家であれば、必飲の一杯。」

ニッカにおける余市というのは、蒸溜所の場所を表すと共に、
商品名でもあり、通常「ニッカの余市」といえば後者を指すで
しょう。

すると、直ちに「ヘヴィピートの新樽10年熟成」の「あの味」が
思い出される訳ですが、それはウィスキー市場におけるポジショ
ニングを意図して作られているものですので、カスクの味わいと
いう点では若干個性が丸められています。

その点、ブレンド用と称して販売されている12年熟成のピー
ティ&ソルティの方が、前者の意味から生み出される、本来の
ニッカのウヰスキーのイメージに近いと考えているのは、私だけ
でしょうか。

その私にとっての「本来の余市モルト」の王様が、この余市29
というカスクです。テイステイング・ノートの後半は、そういう
意図ではないかと意を強くします。

幸いなことに、ブレンダーズ・バーを訪れれば誰でも機会がある
ので、まさに"余市モルト愛好家であれば、必飲の一杯"でしょう。

もし青山まではとても行かれない、という方がいらっしゃれば、
アードベッグのカスクとラガヴーリンのカスクを1:1で混ぜる
と近い印象だと思いますが、コスパは青山の勝ちですね(笑)

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Berry's Own Selection Port Ellen 1982

2012-09-05 12:14:25 | グルメ

前々回のグレンフィディックを出してくれたバーに戻って、
今年一番のお宝級モルトでした。

portellen1982.jpg

こういう1本になると、大変申し訳ないのですが、誰かのために
書くのではなくて、自分のために書く記事になってしまいますが、
蒸溜所閉鎖前年の貴重なカスク・ストレングスで、しっかりとした
アイラピートがやってきますが、ピートが全体を主張するので
なくて、オイルやソルト、ヘザー、ヴァニラ等々、極上な
スモークサーモンを食しているような感覚。

現代のコンピュータ管理された蒸溜技法では、なかなかこういう
複雑な味は作れないだろうと思います。まさに古き良きアイラが
もっていたアイラ・マジックがここにありました。

ローズバンクなどと共に、歴史の1ページになってしまったディ
アジオの蒸溜所ですが、遠く極東の島国でもアイラのなかのアイ
ラを愛でる文化が存在することを、エレン港の寒村の人々に伝え
られたら、どんなに素晴らしいかと思います。

portellen-islay.jpg

この記事は、アイラ島の人々に捧げることにします。

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GLENMORANGIE SIGNET

2012-09-04 12:22:44 | グルメ

とあるバーで「ハイランドを」と言って頼んで、出てきた一本。


GLENMORANGIE SIGNET

先日のグレンフィディックと共に、グレンモーレンジはマイナーな
シングルモルト界ではメジャーと言い切ってもいいくらいの巨人で、
UK市場では一番人気なのだとか。

それを聞いた青い子どもだった私は、どんなに美味しいのだろう?
と期待を膨らませて買ってみたものの、文字通り蓋を開けてみたら
際立った個性とは正反対の凡庸な印象の味に、大いに落胆した思い
出があります。

しかもグレンモーレンジは、様々なブレンドによるラインナップを
取り揃えて世界中で販売しているので、それらのうちのいくつかを
試した結果が先の通りで、それ以来10年以上ひと口も手をつける
ことはありませんでした。

さて、このバーでのハイランドといえば、これしかなかったという
のが実情だったのです。他にはブレンデッドやアイラとかそんなの
ばかり。

それで止む無く頼んでみたのが、10年以上ぶりのグレンモーレンジ
でした。

でしたが、このシグネットというボトルは、おそらく他全てのグレン
モーレンジとは一線を画する最高級クラスの上等な一本ではないか
と思います。でなければ、わざわざ取り上げません。

グレンモーレンジに共通する痩せた風味とはまったく対極の、香り、
味、風味、フィニッシュ、これらのどれもが極上というくらいリッチ
なのですが、同時にしつこさはなく消えるべきタイミングで消える
マジックのようなウィスキーです。

例えていうと、コーヒークリームのロールケーキのような麦の焦げた
香りに、マイルドなシェリーが乗り、モルト自体の甘みが顔を出して、
リフィルカスクの若干押さえ気味なヴァニラテイストがバターのよう
に一体となって流れていく。

ちょっと乱暴な例えを許していただければ、焼きたてパンにバターと
マーマレードを塗り、完璧な抽出のダージリンを飲みながらひと口
いただく、とでも言えばいいのでしょうか。

完全にグレンモーレンジの印象を覆す1本です。

こういうモルトというのは、長く歴史を刻んできた蒸溜所の、マス
プロダクトとしてもブレンドからは離れて、ウェアハウスで長く
沈黙を保ってきたお宝のような樽を厳選するから生まれるブレンド
でしょう。

ただ混ぜるだけでなく、無理に化けることも追いかけない。

極上の素材が極上の料理人によって至高の作品が生み出されるプロ
セスを想像させます。

孤高の舌と腕をもつブレンダーに乾杯。

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