マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

天使の分け前

2013-04-26 13:12:44 | グルメ

銀座テアトルシネマの《さよなら興行》として、公開されている
作品を観てきました。

angelsshare.jpg

観る前は、もちろんモルトウィスキー好きとして本作に興味を
もったのですが、実際に劇場に足を運ぶと映画として、さらに
銀座テアトルシネマさんが閉館になると聞くと、人生ドラマと
して興味を抱くように、その心境が変化した作品です。

モルト好きとしては、まず初めて耳にするモルト・ミルという
蒸溜所、それから同じく初めて見るというべきか、まだ訪れて
いないというべきかのディーンストン蒸溜所、さらによく知って
いるにも拘らずこれまた初めてみるグレンゴインとバルブレア
の両蒸溜所。これらに触れられるだけで満足なところを、コレ
クター垂涎というモルト・ミルがオークションに掛けられる等、
彼の地のモルト文化の深遠の一端を覗かせてもらう幸せ。

映画好きとしては、スコットランド版「フル・モンティ」との
触れ込みの通り、あの荒涼とした緑の大地とすっかり落ち着いて
ゆったり時間が流れるハイランドの景色、これまたいかにも
というようなスコットランドの社会習俗と、同じ英語とは思え
ない強烈なスコットランド訛りの英語。とくに英語は、私が
蒸溜所めぐりをしたときにはまったく困らなかったのに、この
映画の中で話されていることばは半分以上聞き取れず、とき
おりドイツ語か?とさえ思いました。

最後に、現代の資本主義の社会を通してみる「何もない」偉大
な田舎のスコットランドと、そこで生まれる希少価値が高値を
呼ぶ年代物のモルト原酒、その狭間で漂流するようにゆっくり
流れる時間と、どうすることもできない巨大な歴史のなかで
生かされている人間との、そのコントラストが、通常なら何も
起こらずに時間だけが過ぎているところを、上手に脚本として
映画に仕立て上げた映画人の手腕。さらに、それを「さよなら
興行」に選ぶ銀座の映画館の見識眼。

これらが混ざり合ったブレンドというのは、スモーキーなのか
ピーティーなのか、シェリーか、フルーティか、ヴァニラか、
樽香か、エステル香か、見る人によってそれぞれ味わいが異なる
に違いないというテイストでした。

万物は流転するのがこの世のルールですが、また一方で流転を
名残惜しむのが人間の一面でもあります。きっと、銀座テアトル
さんと本作は、そういう記憶に長く残り続けることでしょう。

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地球の歩き方の秘密

2013-04-23 14:16:48 | グルメ

1日空いてしまいましたが、LOCHSIDEのお話。いよいよ本家で
ございます。

と、その前に、日本での外国ガイドブックの草分けである、
地球の歩き方は、国別あるいは地方別に世界中の国々のものが
できあがってシリーズになっていますが、UKについては、
アメリカのように広大な国土があるわけでもないのに、イギ
リスとスコットランドで分冊となっています。一等最初は
まさか、地球の歩き方はスコットランド派なのかと思ったり
しました(笑)。

地球の歩き方.jpg

さて、スコットランドと湖水地方だけで分冊ですので、中身は
小さな村までよく網羅されており、そのなかにはスコッチで
おなじみのモルト・ウィスキーについても特集されていたり
します。

その特集ときたら、タイトルが「シングルモルトウィスキーの
聖地を訪ねる。」という具合ですから、その内容は推して知る
べしでしょう。表紙の写真はモルトバーのカウンターです。

しかし、極東の島国から眺める極西の島国にある垂涎のモルト
バーは一帯何処なのだろう?と想像力を逞しくして訪れるのが
聖地巡礼の楽しみというものだろうと思いますが、その実そう
いうモルトバーは存在しません。

いえ、厳密に言えば存在しますが、バーではなくホテル併設
のレストランの一部なのです。その場所こそがLOCHSIDEホテル。
オーナー、ダフィーの店です。

LOCHSIDE-HOTEL.jpg

おい、ボウモアのボトルを持たせてやる、と言って持たせて
くれた右側のオヤジがオーナーその人です。

面白いのは、地球の歩き方の表紙ページでもしっかりと客の
ようにして写っており、バーカウンターにいったときには
「お前、日本人だろ?この本知っているか?」というので、
ああ、知ってるよ、1冊持ってるよ。日本に置いてきた、
と言ったら、このバーがここだよと言って壁の裏側(笑)を
指差して笑う連中だったのです。

ロッホサイド・ホテルは、アイラ島ボウモア蒸溜所前で
今日も当地の酔っ払いがワイワイ飲んでいるでしょう。



 

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LOCHSIDE

2013-04-19 13:01:12 | グルメ

スコッチ・ウィスキーの「CH」は読み方が難しいものが多く、
LOCHSIDEと書いて、ロッホサイドと読みます。


LOCHSIDE 1991 19y 50% 70cl Old Malt Cask by Douglas Laign

ちなみに、このLOCHSIDEのように、日本語で言う「は行」で
読むもの、「か行」で読むもの、まったく読まないもの等々、
覚えるしかないでしょう。

私は、ロッホサイドと聞くと、アイラ島ボウモア蒸溜所前にある
ホテル兼バーを思い出します。その名前のウィスキーがあると
聞いて、バーテンダーさんに出してもらってきて驚きました。
1992年の閉鎖蒸溜所だそうです。

そのときは、ローズバンクが飲みたい気分で、尋ねてみたら
以前飲んだギリシャ文字ラベルのもので、あれはちょっとアル
コールが強かったので、もっとメロウなでもオーヘントッシャン
ではないものが飲みたいとオーダーして出てきた一本でした。

調べてみたら、元々ビールの醸造所だったところだそうで、東
ハイランドの蒸溜所ですが、ある意味でハイランドらしくなく、
穏やかな風味とエステル香に守られた果実味豊かなスコット
ランドの丘陵をイメージするようなスケールの大きい、しかし
ながら芯の一本通ったフルボディの良酒でした。

市況をみると、閉鎖蒸溜所ということもあり、ローズバンク程
ではありませんが、供給が非常に限られているからか、一本
1万円は下らない値段になっていますけれども、その価値はある
だろうと思います。

ボトラーズを選べるような方におすすめの上級モルトです。

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