接しました。訃報と書いてよいでしょう。
なぜならば、竹鶴政孝がブレンドを決定した最後のウィスキー
だからです。

NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の好評と高視聴率が波及
して、製品の製造が追いつかなくなっていると報道され絶好調の
ニッカ・ウヰスキーですが、その裏側で経営戦略の組みなおしが
進行しているようです。その余波と思われます。
テレビドラマのなかの台詞にも出てくることですが、ウィスキー
は仕込みから出荷までの期間が数年から数十年もかかる特殊な
商品のため、需要を予測して製品を製造することが難しい、と
いうか殆ど無理に近いものです。商売や経営としては無茶苦茶と
いえなくもないでしょう。
だからこそ、経営理念とかアイデンティティが重要になる。サン
トリーでいう「日本人の舌に合ったウィスキー」。ニッカでいう
「本場スコットランドのウィスキー」というものです。
その竹鶴政孝が目指した最高のブレンドが、皮肉にも自身をモ
チーフとしたテレビドラマの好調とブランド認知向上のタイミ
ングで廃止となりました。
ニッカ・ウヰスキーは、ウィスキーが売れなかった90年代から
余市をコンテストに出展したり、一般客がウィスキー作りを実
体験できるイベントを開催したり、顧客作りに取り組んできま
した。
製品ポートフォリオとしても、竹鶴の名前を使用したり、高
評価の余市をブレンドに使用する割合を高めたりして、市場の
動向へ適合する努力も行われてきました。
しかし、今回のテレビドラマの効果はそれらを遥かに上回る
宣伝効果によって、一気に市場の地合いが高まったとみること
もできます。
このウィスキーとブランドにとって追い風が吹いている今こそ、
全速力でアクセルを踏むべきタイミングであることは、経営上
間違いのない意思決定といえるでしょう。こうして「ザ・ニッカ」
という新しい看板商品をリリースして、幅・奥行き・価格帯
ともに新しいインフレ時代に適合しようとしています。それ
こそが、ニッカ・ウヰスキーの新しい社史になるでしょう。
だから、もし今あなたがマッサンで竹鶴政孝に共感したとする
ならば、記憶に刻むべきは新しい時代に豊富に入手できる、
新時代のブレンドではなくて、日本中の流通在庫を当たり尽く
して手に入るかどうかギリギリのところにある、この終売と
なった「鶴」なのです。
感謝!