マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

We'll tak a cup o' kindness yet.

2015-05-22 09:44:15 | グルメ
とあるバーの奥の壁に貼られたプレートの文字。

wewilltakacupofkindnessyetforauldlangsyne..jpg

英語とゲール語が混ざって書かれていますし、英語ですら口語が
含まれているので、日本人には難しいのですが、おそらく次の
ようなことでしょう。

We will take a cup of kindness yet.
For auld lang syne.

”我々はもうちょっとまだ優しいワンショットをやります。
懐かしい遠い昔を愛でるために。”

最近のウィスキーメーカは、このような人手の温もりのある世界
から、どんどん離れていってしまう方向にありますが、ウィスキーは
作るのも人、飲むのも人ですから、いつまでもこのような温かさを
失わないでほしいと願います。
 

感謝!

 


MACALLAN 1987

2015-05-21 10:30:30 | グルメ
ここまでの数回をお読みになるだけで、容易にお分かりになると
思いますが、シェリー樽仕込みのウィスキーは好みではありません。

よくモルト・ウィスキーが好きだというと、「マッカランだ」とか、
あるいは007が好きだとというと、「やはりマッカランですか」
とか言われるわけですが、シェリー樽熟成のウィスキーが苦手な
ため、普段はまったく飲みません。

しかし、ゴールデン・プロミス種のもつきめ細やかな美味しさは
ティピカ種では到底追いつけるものではなく、ゴールデン・プロ
ミスで作ったハイランドのホッグズヘッド樽熟成など、飛び上が
らんばかりに素晴らしいと思います。

今回は、バーボン樽のをという希望を出したら、ご提案いただいた
のが、たまたまマッカランだったという話でした。

macallan1987.jpg

とはいっても、やはり作り手という意味では一流の蒸留所が仕込んだ
酒ですので、味わいは非常に豊かで複雑であり、昔ながらの古き
よき伝統を今に伝える、職人気質の一本だったといっていいで
しょう。

ちなみに裏面のラベルをみると、

1987年蒸留、2008年瓶詰めの21年熟成。樽はジェームズ・
マッカーサーのバーボン樽熟成、アルコール度数は46度

ノートを転記しますと「マッカランには珍しいバーボン樽での21年
長期熟成。マッカラン特有のナッティでバタースコッチのような香り
と、蜂蜜のような味わいが、長熟ながら原酒の素性を損なうことない
バーボン樽で、よく表現されている。ふくよかでリッチなシングル
モルト」とあります。

そうですね。ブレンダーとしては、バタースコッチのような香りと
いうのを、作ろうと思ってもなかなか作れるものではありませんので、
このあたりは流石はマッカランというところだろうと思います。
 

感謝!
 
 

BAR ARGYLL SELECTION Rosebank 14yo

2015-05-20 11:19:31 | グルメ
これまたアーギルという名のバー向けにボトリングされたローズ
バンクです。

ですが、何が貴重かって、1983年に操業を停止した蒸留所の
14年物のウィスキーが、とあるバーの4周年記念で2003年に
ボトリングされたというストーリーです。

もし最終年の蒸留だとすれば、14年熟成させると1998年に
ボトリングされたことになります。しかしラベルには2003年に
ボトリングされた14年物とあります。辻褄がありません。なぜ?

その答えは、シェリーで14年という表記でしょう。その前は
何年熟成したか分かりませんが、1998年から14年のあいだ
シェリー樽で寝ていた原酒ということです。

それにしても、閉鎖されてもう手に入らない蒸留所の原酒を、途中で
別の樽にリフィルし、14年熟成させるというのは、どういう計画
なのでしょうか?私にはよく分かりませんが、スコットランドでは
もしかすると、このような意図がよく分からないものも含めて、
多種多様なモルト原酒が選びきれないほどあるのかもしれません。

ローズバンクをシェリー・フィニッシュする感性を、私は持ち合わ
せていませんが、そういうこともやってみなければ分からない
というのが実践主義の英国文化の一側面なのだろうと思います。

それにしても、バーの4周年でオリジナルボトルを作るなんて、
やることが派手ですね。

rosebank_sherry14yo.jpg
 

感謝!

 


JINBOTOWN Caol Ila 10yo

2015-05-19 12:09:53 | グルメ

私はお邪魔したことはありませんが、ラセットというバーの記念で
ボトリングされたカリラのカスクストレングス10年でした。

caol_ila_barrusset.jpg

こちらも記憶があいまいなのですが、確か1杯目に辛いものを、と
お願いしてご提案いただいたものだったと思います。

カリラで辛いといえば、かつての花と動物シリーズの16年物と
相場は決まっているのですが、こちらはもう幻ですので、飲み手の
こちらが判断の基準を変えなくてはいけない蒸留所のひとつですね。

という経緯があっての一杯でしたので、あまりしっかりとした記憶が
残っていないと言うことは、いろいろと確認した飲み方をしたという
ことだと思います。

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感謝!

 


Blackadder BLACK SNAKE

2015-05-18 09:49:52 | グルメ

すみません!美味しかったことだけ憶えているのですが、詳細は
完全に失念してしまいました。

ブラッカダーが作ったと思われる、ピュアモルトウィスキーです。

blacksnake-whisky.jpg

ラベルを読むと、バーボン樽熟成の原酒とシェリー樽熟成の原酒を
ボトリング前にバッティングしたとあります。

それぞれ、まったく違う蒸留所の原酒だったはずですので、ブレ
ンドの妙味が味わえる貴重な一本で、そのかけ離れた個性に驚いた
ことは記憶しています。

こう書いていて、久しぶりにまた飲みたくなりました。
まだ流通在庫はあるのでしょうか?(笑)

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感謝!

 


BOWMORE TEMPEST

2015-05-15 11:35:12 | グルメ
数量限定が惜しいくらい素晴らしいクリーンヒット。

サントリーの子会社になっているアイラ島のボウモアが、バレル樽
仕込みのピーティなウィスキーを出しました。

これがスパイシーで素晴らしいです。

bowmore-tempest.jpg

最近は全世界でウィスキーブームとなっており、昨年比40%と
いう、ちょっと信じられないというかバブルではなかろうか?と
思うような市場環境です。

この全世界での市場環境で好まれるのは、いわゆる万民向けの
「ウィスキーって美味しいね」という分かりやすく、かつ宣伝
効果を兼ねて備えた、味と商品特徴の際立ったものになりがちで
すべからくシェリー風味という答えに行き着くことになります。

いわゆる「香りが豊かで飲みやすい」味を、ウィスキーでも
作るわけですね。

しかし、そうなってくるとシングルモルトの特徴である、蒸留所
毎の個性というのはどうしても失われることになるわけで、どれを
飲んでも大同小異になってしまうのは、従来のウィスキーの”幅”を
知っている者にとっては詰まらない世の中になったということです。

ボウモアが美味しいのは、アイラ島の数あるピーティーなウィス
キーのなかで、バーボン樽に由来するナッティなバニラ風味が
出汁のような芯を作るからで、カラフルで甘いシェリー樽原酒
とは一線を画するコクのようなものがあるからです。

それが、じつはサントリー買収後のブレンドからは見られなく
なっていました。それがこのテンペストで復活したのです。

だからこそ、本来のボウモアを祝うべき一本であり、限定発売が
惜しい一本ということになります。

そして、もしできればレギュラーラインナップの1本として通年
発売していただくことで、販売価格もこなれたもになるはずで
しょう。

その期待を抱かせる祝い酒でした。


ボウモア 10年 テンペスト
 

感謝!
 
 

KILKERRAN

2015-05-14 10:21:08 | グルメ
かつてウィスキーの蒸留所が建ち並び、業界の中でも一大産地だった
といわれるキャンベルタウン。現在は随分とカズが減って有名どころ
としてはスプリング・バンクくらいになってしまいました。

私の持つ印象ではメロウでソルティーという、いかにも玄人好みの
ウィスキーができる場所という印象で、スコッチウィスキー産地の
聖域的な性格を持つ場所と捉えています。

そんなキャンベルタウンのなかで、面白いのがあるというので、さっ
そくいただいたのが「キルケラン」です。

kilkerran-glengyle.jpg

最近流行の、蒸留所名がついたシングルモルトではなく、蒸留所名の
オフィシャルボトルとは違う名前を付けた、まったく別の個性を
特徴とするウィスキーです。

ちなみに、こちらはグレンギール蒸留所が作ったヘヴィ・ピート
タイプの原酒をシェリー樽でフィニッシュさせたもの。アルコール
度は46度と理想的です。

飲んでみると、最初はもちろんピートがガツンと来ますが、その後は
キャンベルタウンのメロウさとソルティーさがゆっくりと流れて
きて、シェリーはあくまで全体をコーティングするようなバランス。

繊細かと言われればそうでもありませんが、だからと言って大味
ではなく、ひとつひとつの味わいをしっかり伝えながら、姿かたち
の印象を変えていく、まるで上手な役者さんの演技を見ているかの
ような味わい。

こういうウィスキーは、作り手の遊び心が満載で楽しいウィスキー
です。

コンテストで金賞を受賞したとか、ピートやシェリーがどうだとか、
モルトウィスキーの分野は、色々と細かい能書きが多い世界ですが、
所詮楽しむために飲む酒なのですから、美味しかったり楽しかった
りすればいい、という諒解を持っておく見識がここにあります。

珍しい1本なので、なかなか手に入らないようですが、家飲み用の
一本としては最適ではないでしょうか。
 

感謝!

 


スーパーニッカ原酒復刻プロジェクトのチェックメイト

2015-05-13 12:23:36 | グルメ
今日は何の日?によると本日はカクテルの日だそうで、混ぜ物の
話です。とはいっても、テーマはウィスキーですから、こちらは
ブレンドといいますね。

さて、2009年まで発売されていた旧スーパーニッカのモルト
原酒が「スーパーニッカ原酒」でした。

supernikka-genshu.jpg

この商品は、モルト原酒だけをバッティングしたもので、スーパー
ニッカを製造する過程でグレーン原酒と水で割る前の、いわば
「原液」のようなお酒です。それが500ml入りで2700円
程度で買えたのですから夢のような話でした。

しかし、スーパーニッカのリニューアルによってブレンドが変更
されたため、この「原液」も手に入らなくなってしまいました。

ちょうどその頃、私はアイラ島巡りにうつつを抜かしておりまして、
帰国して秋になった頃に、もう手に入らないことに気づき、すぐ
全国の酒販卸業者に当たりましたが、日本全国を当たって1本
しかありませんでした。もちろん、今でも未開封で大切に持って
います。

そういう毎晩のナイトキャップだった酒が失われてしまったので、
なんとか同じようなブレンドが作れないかと、ニッカが販売する
キーモルト・シリーズを使って、あれこれブレンドテストを行っ
てきましたが、ようやく完成しましたのでご披露させていただき
ます。

■スーパーニッカ原酒のブレンドレシピ
Peaty&Salty   0
Woody&Vanillic 5
Sherry&Sweet  31
Fruity&Rich   60
Soft&Dry    4

supernikka-genshu02.jpg

前回は、シェリー原酒とソフト原酒の割合が、それぞれ30と5の
ところまで詰められたのですが、そこで原酒切れになってしまい、
次回に持ち越しとなっていたものを、今回は改めて仮説の通りに
1%の調整を行ってチェックメイトとなりました。

いやはや、かれこれ6年掛かりましたけれども、このような経緯
ですので特段の達成感はなく、ほぼほぼ確認するためにブレンド
しただけという感じでした。 

実際の製品の方は、熟成年数の長いシェリー原酒が少しだけブレ
ンドされていますし、ベースとなるフルーティ原酒も、もしか
したらもう少し若い原酒かもしれませんので、まったく同じ味
ではありませんが、ブレンドの骨格としては合っているはずで、
ブレンダーズ・バーのスタッフが二人とも同意してくれたので、
これで了としていいでしょう。

長らくお待ちいただいた方もいらっしゃるようですので、もし
機会がありましたら、このレシピで作ってみて楽しんでいただけ
たらと思います。

また、レシピを公開してしまっていいのか?という質問をいただき
ますけれども、下記のいくつかの理由で構わないと思っています。

1.社外の素人が趣味として行っていること
2.旧スーパーニッカの美味しさを知る機会ができること
3.スーパーニッカ原酒の愛好家の方に懐かしんでいただく機会が
できること
4.実際に自分でブレンドしてみる人は殆どいないこと
5.ブレンド原酒のキーモルト・シリーズの味に幅があるため、
もしレシピをパクろうと思っても、実際にはレシピを修正する
能力が要求されること

です。

最近、スーパーニッカ原酒の初号復刻版というのも発売されました
ので、もしお好きな方がいらっしゃったら、両方お試しいただけたら
と思います。

supernikka-genshu03.jpg
 
 
感謝!

 


Dalwhinnie 15yo

2015-05-12 11:11:55 | グルメ
ダルウィニーのオフィシャル15年です。

dalwhinnie.jpg

「ハイランドのバーボン樽熟成を」と言って頼んだ一杯だったと
思います。ハイランドは大好きですが、じつはダルウィニーは
初めてでした。

日本語のカタカナ表記で書くと、ダルウィニーとバルヴィニーが
似通っているので、バーで頼むときにも混同しやすい銘柄のひとつ
ですが、これまでどちらかひとつという場面になると、どうしても
バルヴィニーを頼んでしまって、ご縁がなかった蒸留所でした。

それが、今回はバーテンダーさんのおすすめで出てきたので、飲む
ご縁を頂いた次第です。

オフィシャルだからということもあるのでしょうが、非常にまろ
やかで角が取れたブレンドに仕上がっており、丸い口当たりの後で
レンゲや水仙を思わせるような淡いフラワリーな風味が爽やかに
流れていく優しいモルト・ウィスキーです。

昨今は、スモーキーやらハイ・ボールやら、パンチの強いタイプの
ウィスキーが流行していますけれども、本当はこういうタイプこそ
初めての方や、ウィスキーに興味を持った女性の方などに、トゥ
ワイスアップで飲んでいただきたい一本です。

私個人の好みとしては家飲み用の常備酒ではありませんが、バー
で見かけてリラックスしたいときには、ぜひ進んで頼みたい一本
ですね。


ダルウィニー15年
 

感謝!
 

CHIVAS REGAL MIZUNARA

2015-05-11 11:38:35 | グルメ
先日来、新聞などで大々的に宣伝広告されている「シーバス・
リーガルのミズナラ」を飲みました。

chivasregal-mizunara.jpg

飲んだファースト・インプレッションは、オリジナルのシーバスの
ブレンドのうち、シェリー樽原酒の部分をミズナラ樽原酒に置換え
つつ、バランスを取った味わいというものでした。

ミズナラ樽原酒といえば、サントリーの山崎が有名ですけれども、
梅酒のような甘さと華やかさの両方の特徴を具備したウィスキーに
なるので、ブレンデッド・ウィスキーを作るときのベースモルト
としては使い勝手がいいのではないかと思います。

とはいえ、歴史と伝統(と格式)のあるシーバスが、突然ミズナラを
新製品としてバーンと出すと、既存製品のイメージとのコンフリ
クトや愛好者からの反発も想定されるからか、広告宣伝のクリエイ
ティヴは「ミズナラ原酒でブレンドを作ってみました」というもの
になっています。

chivasregal-mizunara01.jpg

実際にもウィスキーを口に含んでみると、ミズナラ原酒の熟成年
数は10年前後と思われますので、ベースとして使われている他は、
味を決めたり個性を出すためのスパイス的な使われ方はしていない
ようですので、それ以上古い原酒は持ち合わせていないのでしょう。

ということでしたら、もしこの商品が売れるようならば、今後の
看板商品として育てていき、ミズナラ原酒も増やしていきたい、と
そういうことではないでしょうか。

なぜなら、ウィスキー商品とは製品ポートフォリオにおける収益の
最大化プロジェクトに他ならないからです。

UKの老舗の新しい挑戦が、上首尾に発展することを祈っています。
 

感謝!
 

Caol Ila 1992

2015-05-08 10:00:09 | グルメ

もう随分と古いウィスキーです。かれこれ10年ほど前のものに
なるでしょうか。

カリラのシングルカスク、1992年のヴィンテージです。

caol_ila1992.jpg

当時は、高値の花だった花と動物シリーズが流通在庫から消え、
「カリラ」の名前が幻だった時期でした。

そのなかで忽然と現れたヴィンテージ物。

それまで知っていた15年物とは違い、ピートに加えて焦げ臭い
風味も加わった、カリラのなかの真打ちのような味わいに、想像を
越えたノックアウトを受けたものです。

わずか200mlしか入っていないものでしたので、確か何かの
記念日に開封し、その後も極々限られたタイミングで味わって
きました。それが、今回最後の一滴となったものです。

さすがに時間が経過していますので、52.9%のカスク・ストレン
グスは失われて45度前後になっていたと思われますが、アイラの
大地と風を髣髴とさせるピートが前面に出てきて強調され、ソル
ティでオイリーなミドルがボディの大半を占めるなど、いかにも
アイラ島のウィスキーであることを主張するかのような、王者の
風格を表していました。

もう、このようなカリラは樽買いでもしない限り再会できない
でしょう。

ふたたび幻に戻る時がきたようです。

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