マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

竹鶴21年ピュアモルト ポートウッドフィニッシュ

2014-05-30 13:55:45 | グルメ
これはニッカ・ウヰスキーの最高峰なのか?
幻の最高金賞現る。

世間様ではモルトか否か、というフレームワークが確立しつつあり、
それはそれでウィスキーに対する理解が進んだ証左なのだろうと
思われますけれども、グレーン原酒だって長期熟成させれば深い
味わいを身に纏うことができることは、ごく一部の長期熟成ブレン
デッドを飲めば分かります。その代表例が、この竹鶴と鶴の関係で
言えるでしょう。

ニッカのフラッグシップといえば、鶴というのが確立された評
価であり、そのバランスの高さと味わいの深さは、この評価に
異論を挟む余地はないように思われます。


ニッカ 鶴

しかしながら、最高のブレンデッドを求めてブレンドを磨くと
いう方向性が正攻法だとして、それとは別にブレンドの幅広さと
モルトのパワーとの二つの価値を同時に成立させる方法として、
マリッジも確かに使える技術ということを証明したのが、この
竹鶴21年 ポートウッドフィニッシュでしょう。

taketsuru21port01.jpg

ニッカが時々リリースする限定企画の商品で、もうすでに流通在
庫は非常に限られると思いますが、これが至高のピュアモルト・
ウィスキーとして出色の出来栄えです。

竹鶴というモルト・ウィスキーは、ここ10年程度のニッカの基本
ブレンド路線を敷いたシリーズで、フルーティな宮城峡にシェリー
の甘いトップノートと余市のピーティな新樽を隠し味にしている
構成ですが、いわゆるオーソドックスなバレルのボディが足りな
いため、果実味に乏しく、ときどき思い出して飲みたくなるよう
なクセのある特徴はありませんでした。

ところが、今回のこの企画は竹鶴21年のブレンド原酒をポート
樽でマリッジさせることで、トップノートとボディと熟成感を
3つ同時に手に入れた、極上の称号に相応しい味わいとなってい
ます。ポート・マリッジの効果として、南国フルーツのような
ジューシーな甘さと、干し柿のような熟成した砂糖と舌に重く
まとわりつかない天然の爽やかな渋み、ナッティなチョコレー
トの風味などが全体をコートすることとなり、ひと回りスケール
の大きなパワフルなウィスキーに成長しています。

もしこの製品が、スコットランドのウィスキーコンテストに出品
されたら、非常に高い可能性で受賞できるだろうこと請け合いで
すが、とても残念なことに、ウィスキーコンテストはレギュラー
商品が出品条件らしく、この竹鶴21年ポートウッドフィニッシュ
が最高金賞を受賞するのは幻です。

とはいえ、コンテストで受賞するかどうかではなく、目の前にあ
るこの一本に価値があるかどうかの方が重要ですから、今ここに
ある事実を認めて、感謝しありがたくいただくことにしましょう。

アルコール度は46%(意味は分かるでしょう?)
 
 
感謝!

 


Ben Nevis Single Blend 40yo

2014-05-29 13:11:13 | グルメ
ベン・ネヴィス蒸溜所の単一蒸留所ブレンデッドボトル。40年
熟成です。

bennevis04.jpg

このボトルは幻のような存在でしょう。多分おそらく滅多にお目に
掛かれない、あるいはもうすでに無くなっているであろう、コレ
クターズ・アイテムのようなウィスキーです。ちなみに1962年
蒸溜2002年瓶詰の40年物でした。

ウィスキーの業界にあって、ブレンデッド・ウィスキーというのは、
通例個性ある複数の蒸溜所のモルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合
わせて作られるもので、製法上の制約というよりは、味わいの幅の
広さと高いバランスを求めて選択されるものですが、しかしながら
いわゆるメジャーブランドの高級ウィスキーが軒並みこのブレン
デッド・ウィスキーのため、ブレンドといえば複数蒸溜所の原酒
から作られるものという先入観のようなものが確立されてしまって
います。

ところが、今回のこのベン・ネヴィスは単一蒸留所で作ったモル
ト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせて作られた、シングル・ブレ
ンドであるところが商品上の特徴です。

そういう経緯が興味を引くところですが、飲んでみたテイストは
ブレンドよりも原酒のよい熟成を感じさせるロング・ノートの
ウィスキーとなっており、まるでシェリー原酒を思わせるような
ホッグズヘッドの熟成感は感動の一言です。

また、グレーン原酒も長期熟成で角がとれて鏡面仕上げのように
スムーズな滑らかさを持っており、あたかも清流が流れるかのよ
うに口のなかで消えてなくなりました。

裏面のラベルをみると、ロックバンドのローリング・ストーンズに
影響を受けたとユニークなことが書かれていますが、音楽の由来は
ともかく、確かにこのボトルほどユニークなものはなく、貴重な
一本に触れることができました。
 

感謝!

 


NEVIS DEW

2014-05-28 17:26:28 | グルメ
ベン・ネヴィスのオフィシャルに気をよくしたので、気分を
変えたくて飲んでいるのだからとばかりに、普段は手を付け
ないブレンデッドにいってみました。

その名もネヴィス・デュー。ベン・ネヴィスのシングル・
ブレンデッドです。

bennevis06.jpg

そもそもベン・ネヴィスとは、スコットランドの最高峰として
有名な山ですが、その麓だけあって水が美味しいであろうこと
は容易に想像できます。

それに加えて、単一蒸留所でのブレンデッドというのは、個性の
幅に限界を感じてしまうであろうところを、非常にカラフルで
マイルドなブレンドに仕上がっており、裏面のラベルを読むと
数十種類の原酒を使用しているとのことです。

これなら、バレルとシェリーをバッティングして「シングル
モルト」と称して売っているものよりも、よっぽどバランスよく
熟成感もあり、価格も良心的で、いわば早くて安くて旨い酒を
実現していることになります。身近な量販店で容易に買えるのも
素晴らしい企業努力でしょう。

この製品は、ニッカのブレンダーが日本人の繊細な味覚にかなう
ようブレンドしたものだとかで、非常にフルーティーな印象を
ナッティなボディが支えています。

そういえば、オフィシャルシングルモルト10年の裏面には、
エールビールの酵母を使用していると説明されていますが、これは
裏を返せば、個性的なウィスキーを求めて積極的に実験をしている
ということであり、この豊かな個性が充実した原酒構成に貢献
していることは間違いありません。

ベン・ネヴィスは、日本のニッカ傘下ですが、ニッカがバレルを
作らないので、宮城峡と余市のあいだの中間をカバーする個性と
して、もっとベン・ネヴィスを前面に出したら良いのではないか?
と思いました。
 

感謝!
 

BEN NEVIS 10yo

2014-05-27 17:14:09 | グルメ
六本木の竹鶴ミュージアム・バーに出向いた際に、ちょっと
物足りないなと思ってそのまま骨董通りへ行って仕切り直し。

仕切り直しだけれども、気分も変えたいと思ってベン・ネヴィス
にしました。もちろんオフィシャルです。

bennevis01.jpg

しかしながら、結果的にだったのですが、チョイスとしては
正解で、最近ご無沙汰していた、干した枯草のような枯れた
風味とリッチな味わい、ソルティーなミドルが充実している
私好みのウィスキーであり、うれしくて小躍りしたいくらい
でした。

昨今のモルト・ウィスキーのブームのお陰なのかせいなのか、
どうも顕著な特徴を前面に打ち出すパワーゲームのようなウィ
スキーが増えているような印象を感じますが、これは正直に
作って正直に熟成させた正直な製品だけがもつ純粋さに満ちて
いて、救われた気分となりました。

最近は、私自身が他人様にウィスキー講義をするようになり、
辛いか甘いか、クセが強いかマイルドか、といったステレオ
タイプなポジションマッピングの上でウィスキーを評価する
クセというか罠に捉われてしまっていましたが、このシンプル
なのに奥深く、飾り気がないのにカラフルなテイストに惚れて
しまったことを告白しなければなりません。

これで、当面の信頼できるナイトキャップを見つけることが
できました。感謝しかありません。
 


感謝!

 


CADENHEAD BOWMORE 13yo

2014-05-26 16:45:09 | グルメ
インディペンデントとして有名なケーデンヘッド社のスモール
バッチシリーズにラインナップされる13年物のボウモアです。

jsbar06.jpg

このシリーズは、顕著な特徴をもつカスクをリリースすることで
知られていますが、このボウモアの特徴はヘヴィ・リチャーした
バレル樽ということでしょう。ほとんど炭そのものといった
飲み口が特徴です。

こういう、一見どう考えても「美味しい」と表現するには躊躇
われるようなものがあるのも、モルトの世界では散見されます
ので、特段珍しい事でもなんでもなく「ときどきアル」という
話でしかありません。

そこを踏まえた上での特徴を問われたのだとしたら、ここまで
完全に煤のような風味となりながら、奥底にバレルの甘みが穏
やかに漂っていることではないでしょうか。だからこそのボウ
モアなのであるし、ボウモアの名を付して世に出したいと考え
たボトラーなのだろうと思います。

当の蒸溜所がオフィシャルボトルで漂流を続けるなか、現地の
事情をよく知るボトラーがこういうものを「発掘」してくれる、
その文化を我々は伝えてもらっている、という側面を感じさせる
一本だったのです。

13年熟成でアルコールは59%でした。
 


感謝!

 


Glen Elgin 27yo

2014-05-23 16:34:38 | グルメ
こちらもスペイサイドの王道で27年物。



私は普段スペイサイドをほとんど飲まないのですが、どちらか
といえば自分の嗜好にあったテイストで、先の”スペイサイド”
と共に、すでに酔っぱらっているにも拘わらず、比較しながら
飲んだ一本です。

ラベルにはリフィルバーボンと書かれており、1984年蒸溜
2011年瓶詰、207本、45.1%というスペックですが、
先に比べ比較的低いアルコール度数と長い熟成期間が、より充実
したバランスを構成しており、蒸溜所の特徴であるハチミツや
麦芽の味わいも良質のウィスキーであることを穏やかに主張して
います。

私はひと口飲んだ時には、反射的にハイランドだと思ったので
すが、ミドルに広がるハチミツとエステルの組み合わせは、や
はりスペイサイドなのでした。

そういうハイランド・チックなウィスキーは、ややもすると、
こちらの気分の問題もあって、中途半端や凡庸、間違った選択、
とステレオタイプに捉えてしまうことがありますけれど、これ
ほど愚かで誤った評価もないでしょう。個性は個性であって、
そのまま受け止めるべきものであります。

そう、そのまま受け止めたときに、はじめて姿を現す素性の良さ
というものがあって、それを見つけることができたら、また新
しいウィスキー体験というものができますね。

それをこれまでも積み上げてきたのだし、これからもドアをオー
プンにして楽しみたいのです。それがモルト好きの人生という
ものでしょう。
 

感謝!
 

SPEYSIDE DISTILLERY 18yo

2014-05-22 16:18:52 | グルメ
ウィスキーの世界で”スペイサイド”というと、スコットランドは
スペイ川流域のウィスキー蒸溜所密集地帯のことを指すのが一般
的で、私もそういう認識でいたのですが、その名もスペイサイド
という蒸溜所があるのを初めて知りました。

jsbar04.jpg

そこの18年物シングルカスクですから、少なくとも19年以上
前からあった訳で、ということは、私がウィスキーを飲み始める
前からあったわけですから、また不明を恥じることを忍んで、備
忘録としてアップします。

ラベルを読むと1995年5月2日蒸溜、2013年10月29日
瓶詰めとありシェリー樽熟成です。アルコールは52.3%

シェリー樽仕込みというと、昨今は「とにかくシェリーです!」と
いうような風潮がありますけれども、これはあくまでスペイサイド
のウィスキーをシェリーで熟成させました、というオーセンティッ
クな一本で、丸く、口当たり柔らかく、甘く、フラワリーで広がり、
清流が静かに流れ続ける、あのスペイサイドの正統派であることを
物語っています。

今回は、至極残念なことに、このウィスキーの前にフルボディーの
ウィスキーを飲んでしまっていたため、分かるのはここまで。これ
以上はわかりませんでした。

個人的には、いつもそばに置いておきたいというタイプではあり
ませんけれども、一般論で言えば「まず一本」としておすすめする
タイプの秀逸な一本であることは間違いありません。

生産地と蒸溜所の名前の関係だけであっても、購入するだけの理由
になるでしょう。
 
 
感謝!
 
 

ニッカウヰスキー80周年おめでとう

2014-05-21 16:31:20 | グルメ
今年はニッカウヰスキー社の創立80周年にあたる記念年だそう
です。それにしても、80年も続く会社というのは、企業の平均
寿命が7年ですから11倍以上の長寿企業であり、それだけ人々に
愛された会社ということでしょう。素晴らしいという他ありません。
本当におめでとうございます。

しかしながら、これも90年以上前に広島の造り酒屋の三男坊が
「オレは洋酒がやりたい」といってスポンサーを見つけ出し、スコッ
トランドに単身留学して技術を身に着け、その技術と文化を日本に
伝えたからです。

そういう意味で、竹鶴政孝氏があったからこその日本のウィスキー
でしょう。

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人間社会の歴史とくに資本主義社会では、最前線で功を挙げた張
本人ではなく、スポンサーや企業の名前が前面に出るものですが、
きちんと張本人に焦点を中てるという点で、ニッカウヰスキー社の
取り組みは正しいと評してよいのではないでしょうか。

その想像を絶して余りある歴史の最後尾にいる私たちは、簡単に
製品を購入して酔っ払い、あーでもないこーでもないと評論して
楽しんでいる訳ですが、それもこれもすべてこの偉大な歴史の先
駆者が己に正直に夢を追い、扉を開いてくれたからこそです。

taketsuru-museumbar06.jpg

今年の後半には、竹鶴政孝とリタ夫人のストーリーがNHKの連
続テレビ小説として放送される予定ということですから、今年の
余市は観光客で溢れ賑やかになるだろうことが目に浮かびます。

しかし、雲の上でのんびり暮らす御大ご本人は、おそらく下界を
眺めながら楽しく酔っ払い、豪快に笑って「もっと己に正直に生
きよ」と話しているのではないかと思います。

「ウィスキー一筋で生きてきた。その意味では一行で片づく男である」

「ウィスキーのために生き、後に”日本のウィスキーの父”と呼ば
れた男・竹鶴政孝。
その人生を振り返れば、ウィスキーで苦しみ、ウィスキーで喜んだ
人生であった。
ウィスキーの仕事は恋人のようなもので、恋をしている相手のため
なら、どんな苦労も幸せだった。
孤独と戦いながらも学び続けたスコットランド留学時代、理想の
蒸溜所設立のために奮闘した時代。
本物のウィスキーをつくりたい、その夢がすべての力となった。
時の流れを経てウィスキーが琥珀色に変化するように、
夢を追う竹鶴政孝の人生もまた美しく色づいていったのだった。
晩年の竹鶴政孝は、自分の作ったウィスキーを時間をかけてゆっくり
楽しんだという。
ウィスキーに人生を捧げた男にとって、これにまさる幸福はないで
あろう。」

ウィスキーの製造と販売を事業として営む会社を経営するには、
変えないモノづくりと、変わる商品づくりの高度なバランスが要求
される。

余市のオフィシャル10年がコンテストに入賞し、ニッカといえば
余市、余市といえば竹鶴政孝という時代を経て、現在はニッカとい
えば竹鶴という時代に入ったように思われる。この現象が余市が
社会に消化されて成熟した結果ならば素晴らしい。しかしながら、
もし余市が不完全消化のまま竹鶴ということになるのなら、それは
晩年の政孝がゆっくり楽しんだウィスキーとは異なるものになって
しまうだろう。

だからこそ、これから将来のニッカウヰスキーの歴史を紡ぐために
も、製品からマーケティングに至るまでの温故知新を求めたい。

それこそが、創業80年をして竹鶴政孝の魂に報告すべきすべてで
はあるまいか。
 

感謝!
 

宮城峡 12yo

2014-05-20 15:53:02 | グルメ
ニッカウヰスキー社が宮城県仙台市に保有するウィスキー蒸溜所が
仙台工場ですが、業界的な呼び名を宛てて宮城峡蒸溜所というのが
妥当でしょう。

その宮城峡蒸溜所のオフィシャル・シングルモルトウィスキーが、
宮城峡12年です。


ニッカ 宮城峡12年

ニッカウヰスキーにおける宮城峡蒸溜所とは、サントリー社で
いう白州にあたるNo.2工場のため、余市と比べると日陰の
印象が強いのですが、どうしてニッカの主力製品を飲めば宮城峡
の原酒が多く使われていることが明確に分かるはずです。それ
なのに、私は余市ばかりを好んで飲んでいて、宮城峡のオフィ
シャルを飲んだのは、今回の六本木が初めてでした。しかし、
これが飛んだ間違いで、これまでの時間の浪費を深く反省する
に至った事件でした。

けだし、今はなきスーパーニッカ原酒を強く想起させる味わい、
または基本的に同じ構成のブレンドだったからです!

これを10年前に飲んでいれば、私のブレンダー人生は随分と
違ったものになっていたでしょう。灯台下暗しとはこのことで、
自分の不明に恥じ入るばかりです。

とはいえポジティヴな面も確かにあり、同じタイミングと場所
でキーモルトのノージングと宮城峡のテイスティングが出来た
ことで、これまで夫々が独立した点であったのが、線として繋
げることができたのです。

ここでいうスーパーニッカは、現在発売されているブレンド
ではなく旧製品の方ですから、今から原酒を再現するのは難しく
とも、このオフィシャル宮城峡+αという形で追いかけることが
可能となり、個人的な趣味のブレンドにイノヴェーションの道
筋を見つけることができました。

お陰さまで、新たな探究心のモチヴェーションがふつふつと
沸き立ってきています。こういうことにこそ、感謝しなければ
なりませんね。
 

感謝!
 

TAKETSURU MUSEUM BAR

2014-05-19 16:15:47 | グルメ

六本木ヒルズに出店されていた、ニッカウヰスキーの竹鶴ミュー
ジアムバーを訪問しました。期間限定ショップでした。

taketsuru-museumbar01.jpg

全体の構成は、ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝と会社の歴史、
イートインでキーモルトのノージングと、スペシャルメニューで
のテイスティングというもので、都心の真ん中で広報と体験を行
うには丁度良い構成だったと思います。

taketsuru-museumbar03.jpg

taketsuru-museumbar04.jpg

前半のミュージアムコーナーには、竹鶴政孝がスコットランドに
単身留学し、日本人初のウィスキー蒸溜技術者として、日本に
ウィスキーももたらす先駆けとなったストーリーや、さまざまな
資料が展示され、なかでも白眉だったのは1962年に英国ヒュー
ム副首相をして“一人の青年が、万年筆とノートでウイスキー
製造技術の秘密を全部盗んでいった”と云わしめた、ウィスキー
蒸溜ノートが再現・復刻されていたことでしょう。

こう言っては失礼ですが、こんなものは門外秘以外のなにものでも
ない、出すところに出せば値千金の物種だと思われるものまでが
手に取って見られる形態で展示されており、私などは抱きついて
オイオイ泣きたいほどでした。

taketsuru-museumbar02.jpg

それに比べると、ウィスキーの試飲コーナーは若干凡庸な印象だっ
たと思われますけれども、それでもキーモルトのノージングは、
一般にはなかなか機会のないことですし、このタイミングに限定
発売された竹鶴21年のポート・フィニッシュバージョンは、
同社のピュアモルト製品の中でも至高の一本といっていいだけの
ポテンシャルを持っており、期間限定ショップに華を添えていた
と思います。

個人的な収穫は別のところにあったのですが、それはまたの折りに。

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3Rivers BOWMORE 2000

2014-05-14 13:36:51 | グルメ

春のモルト会、いよいよ酉を取るのは、いつもユーモアあふれる
ラベルで楽しませてくれる三河さんのボウモア12yoです。
52.6%

maltclub-spring24.jpg

今回のラベルは恐竜シリーズなのだそうで、瓶のルックスから
入ると一瞬躊躇してしまいがちですが、ふたを開けてみると、
煙臭く、アルコール辛く、フルーティな、古き良きボウモアを
味わうことができます。

考えてみると、2000年のころのボウモアって、ちょうど
過度期になるところだと思いますので、そういう意味では
伝統的なボウモアの味を味わえる機会としては、そろそろ
最期なのかもしれません。

リーマンショック前の金融バブル時期には、世界の珍しい酒を
求めてシングルモルト・ブームが起こったわけですが、金融
危機後に終わったブームは、また別の形の新しい戦略展開を
みせ、日本ではハイボール・ブームが、世界ではシングル
カスク・ブームが起こっているようです。

しかし、金融危機から業績を回復してきたメーカは、それは
それで別の新展開をするのが想定された事態であり、グロー
バル経済のなかのアルコール飲料プレーヤーとして、ビールや
ワインなどと同様に、世界市場でのブランド浸透が要求されて、
その要求に応えるべく、さらに一定の品質に規格化され巨大
化したオフィシャルボトルへ進もうとしています。

それが良いかどうかは市場が決めること。それが好きかどうか
は自分が決めること。

そのあいだにあって、オリジナルボトルを作ろうと積極的に
動かれる三河屋さんのような会社は本当に素晴らしく、ぜひ
これからも美味しいカスクをユーモアあふれるパッケージで
ご披露いただきたいと思います。

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GLEN CADAM 22yo

2014-05-13 11:16:13 | グルメ

もうとっとくアイラ島に上陸を果たしておったのですが、これも
美味しいよとアドバイスをいただいて飲んだのは、こちらも
初めてのグレンカダムでした。

maltclub-spring21.jpg

バレル仕込みの22年物で、アルコールは55.2度。僕は普段
バレルをあまり飲みませんが、熟成年数やアルコール度数は
理想的です。

テイストは、非常にフルーティでふわっと果実香が口の中に広が
り、後からドライなアルコールが追いかけてきて切れ上がって
いくタイプ。

バーボンバレル仕込みですから、洋ナシのような香り豊かで甘く
上品な美味しさが風のように吹き抜けます。

蒸溜所を調べてみると、なんとハイランドに区分されるのだそう
で、こういうハイランドもあるのかと思うと、自分自身の無知を
恥じ入るばかりです。

自分ひとりで飲んでいたら、決して頼むことのないボトルですが、
貴重なアドバイスをいただいたお陰で、酒飲み人生の幅が広がり
ました。

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J's Bar 20周年おめでとう

2014-05-12 14:05:15 | グルメ
池袋西口にあるモルトバーのJ's Barが、本日で開店20周年を
お迎えになりました。おめでとうございます。

先立つ4月29日には、開店20周年を記念した記念ボトルの
テイスティング・パーティが開かれまして、光栄にもお呼ばれ
に預かりました。

jsbar01.jpg

jsbar02.jpg

オリジナルラベルを貼付されたボトルは、ベンリアックの20
年物で、いかにもベンリアックというフルーティで香り高く、
バーボンバレルのバニラ香がボディとなっている、構成の美しい
構造は三角形なのに味覚は丸い、絵に描いたように美しいウィ
スキーでした。

会場には、ラベルのデザインを描かれた、その筋では有名な
画家さんがいらっしゃって、カウンターの一番奥で静かにその
時間を味わっていらっしゃたのが好印象でした。

テイストは、アールグレイ紅茶のようなベルガモットの上品な
香りが立ち上がり、マンゴーやパパイヤ、バナナといった南国の
フルーツが広がって、水仙や蓮華のようなフローラルな香りが
爽やかに駆け抜けていく、20年という熟成と、時間の流れと
重みが、バーの歴史を称えていました。

ラベルの最下部には14.1という数字が入っていますが、
これは2014年の「14」と、プライベート・ボトルの
1番目で「.1」。今年もう一本瓶詰めできるなら「14.2」
になるとのこと。毎年一本づつのリリースでも10年後に
「24.10」をお届けしたい、という気持ちが込められて
いるそうです。

こんな貴重な機会にご縁をいただけて感謝しかありません。
改めてお祝い申し上げます。

jsbar03.jpg
 

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PORT CHARLOTTE 2001

2014-05-09 11:26:26 | グルメ
トバモリーのヘヴィ・ピート版がレダイグなら、ブルックラディの
ヘヴィ・ピート版がポート・シャーロットなのは、このブログを
ご覧になる皆さまでしたら先刻ご承知でしょう。

ブルックラディのオフィシャルは、シェリーが40%近くブレン
ドされている上品な甘みとアルコールの辛さが売りのウィスキー
だが、ポート・シャーロットはとにかくスモークの強さと臭さの
ヘヴィなボディを食らわせるヘビー級の王様のような一本です。

maltclub-spring20.jpg

以前、メーカのブレンダーの人と話をしたことがあるのですが、
「ピーティ」と表現されるウィスキーの味わいは数種類あって、
純粋なピートフレーバーの香りと味の2つと、煙臭いスモーキー
と呼ぶべき香りと味の2つがあって、合計4種類の違う表情を
十羽一絡げでピーティと呼んでしまっている現状がありますが、
このポート・シャーロットは、どちらかといえば煙臭い方の
香りと味のヘヴィ・ピートです。

例えば、クセの強いウィスキーがお好きだとして、ピーティとか
スモーキーとかが飲みたい。一番強いのを持ってきてくれ、
とバーテンダーさんに頼んだりすると、じつはできるバーテン
ダーになればなるほど、そこにはバリエーションがあって困る
ということになるわけです。

もし私がバーテンダーで、一番強いの、と言われたとしたら、
上記の4種類を全て兼ね備えるアードベッグを出すでしょう。
しかし、一番スモーキーなやつ、あるいは煙臭いの、と言われた
としたら、このポート・シャーロットを出すでしょう。両者は
まったく違う味わいです。

しかしながら、スモーキーが美味しいという嗜好も確かにあり、
その王者がハイランド・パークだとしたら、世界中が襟を正して
姿勢を改めるのではないでしょうか。

だから、ポート・シャーロットはそういう姿勢のウィスキーなの
です。
 

感謝!
 

LEDAIG 16yo

2014-05-08 11:41:09 | グルメ
エスクルーシヴ・ブランドのレダイグ16年物です。1997年
蒸溜、2013年瓶詰の58%。

maltclub-spring17.jpg

私は、お恥ずかしながら、レダイグという蒸溜所を知らなかったの
ですが、トバモリーと聞いて「ああ」と思いました。

トバモリーは、スカイ島とジュラ島の間にあるマル島の蒸溜所で、
ジュラと同じくアイランズとしては穏やかさが特徴のウィスキー
でした。

同じ穏やかなものにも拘わらず、ジュラと比較されることがない
のは、あちらがピートを焚き込んだモルトであるのに対して、
こちらはノンピートのモルトだからでしょう。非常に大雑把な
比喩表現としては、ハイランド・パークに対するスキャパの
ような印象でした。

しかし、このレダイグはピートを焚き込んで作られたウィスキー
で、こうなってくるとジュラとの比較対象に上ってくるという
わけで、また今回のモルトの会ではジュラを飲んでいますから、
それならとりわけ比べ易いということでした。

結論的には、ジュラの方がソルティで荒々しく、こちらの方が
メロウでやわらかで、一般にピーティというとクセが強くて、
臭くて、場合によっては煙っぽくて、飲みにくいけど一度嵌まっ
たら止められないという個性ですが、こちらは味覚の中央部分で
程よいピートが姿をのぞかせており、素朴でマイルドでいかにも
スコットランドの田舎、あるいは島という風景が立ち上がって
くる旅をしているかのようなデジャ・ヴを感じる、味わいのある
ウィスキーでした。

こういうウィスキーこそ、気合や根性やアクの強さで勝負する
初心者向けを乗り越えて、しれっと「こんなのもあるよ」と、
その存在を忘れずに主張するあたり、とても玄人好みだと思い
ます。

58度なのに飲みやすいのも秀逸。ウィスキーがお好きな方に
おすすめです。
 

感謝!