誰が言ったか「モルトの聖地」ことスコットランド・アイラ島。
佐渡島程度の小さな島に8軒ものウィスキー蒸溜所があって、
しかも煙臭い正露丸のようなウィスキーを作っていることで有名
という理由ですから、いいことなのかどうなのか微妙ではないか
と思っております。
さて、その正露丸のようなクセの強いウィスキーを作る島のなか
でも、一番はどれだ?という話になれば、アードベッグをおいて
他にない。
島南側のエレン港から、A846号線という、国道なのにもかかわ
らず中央線のない両側一車線の田舎道を東進すると、1km足らず
で次々と3軒の蒸留所に遭遇する。その一番奥がアードベッグ蒸留所
だ。
アードベッグの規模は小さく、手前のラフロイグやラガヴーリンには
スチルが6基もあるのに、ここは2基しかない。従業員も少ない。
まるで田舎者が気合と根性で酒を作っているというような印象だ。
だから、一番クセの強いウィスキーが聖地の”らしい”イメージに
合うのではないだろうか。
さて、極東の島国・首都東京のオシャレなエリアとして有名な青山に
ニッカ・ウヰスキーの本社ビルがあって、地下にはメーカの名前を
冠したバーがある。もちろん、ここもまるで聖地のように巡礼者が
やってきて感激している様子が繰り広げられている。
そんななか、決して白眉ではないが、いかにも”らしい”ウィスキーが
コスパ良く楽しめる。それがブレンダーズ・ウィスキーの12番。
例えば、余市蒸溜所を工場見学するとテイスティングできるヘヴィ
ピートな10年物を髣髴とさせる”秋田の燻りがっこ”のような印象
のウィスキーだ。レシピは、Sherry&Sweetが9%、Peaty&Saltyが14%
Woody&Vanillicが7%、Fruity&Richが15%、Malty&Softが25%、そして
グレーンのWoody&Mellowが30%となっている。
予め断っておきたいのだが、これを飲んでもアイラ島のウィスキーを
思い起こすことはない。強いて言えばラガヴーリンが近いか。それは、
麦の種類から製造プロセスまでが良く似ているからという理由だと
思われる。
しかし、今ここで、先のレシピのうち、Sherry&SweetとFruity&Richの
割合を入れ替えたら?
Sherry&Sweetを15%にし、Fruity&Richを9%にしてみたら、あら不思議
お隣の気合と根性で作られているようなアードベッグに早変わりして
しまう。これで面白いのは、より甘いはずのSherry&Sweetを増量して
いるにもかかわらず、よりクセの強い正露丸のような風味が増すことだ。
つまり、ウィスキーのブレンドにおいて、最終形のイメージに近づく
ためには、より近い印象の原酒を選べばよいとは限らないということ
である。
ふ~ん。ということは、もっと枠を広げて考えれば、シーバス・リーガル
もバランタインも、ジョニー・ウォーカーも、そこそこ似たウィスキーは
ブレンド次第で作れるということ。
じつは、これがウィスキーの美味しさの秘密です。
だから、聖地とか地酒とかラベルとかブランドとか一切(というと言い
過ぎだけれども)関係ないんです。少なくとも、炭酸水で割って飲むの
にはまったく関係ないでしょう。
そんなもんです。日本人は求道精神が強いのでこだわりすぎ。
世界はもっと質より量ですよ。世界の広さに感謝しましょう!
感謝!
佐渡島程度の小さな島に8軒ものウィスキー蒸溜所があって、
しかも煙臭い正露丸のようなウィスキーを作っていることで有名
という理由ですから、いいことなのかどうなのか微妙ではないか
と思っております。
さて、その正露丸のようなクセの強いウィスキーを作る島のなか
でも、一番はどれだ?という話になれば、アードベッグをおいて
他にない。
島南側のエレン港から、A846号線という、国道なのにもかかわ
らず中央線のない両側一車線の田舎道を東進すると、1km足らず
で次々と3軒の蒸留所に遭遇する。その一番奥がアードベッグ蒸留所
だ。
アードベッグの規模は小さく、手前のラフロイグやラガヴーリンには
スチルが6基もあるのに、ここは2基しかない。従業員も少ない。
まるで田舎者が気合と根性で酒を作っているというような印象だ。
だから、一番クセの強いウィスキーが聖地の”らしい”イメージに
合うのではないだろうか。
さて、極東の島国・首都東京のオシャレなエリアとして有名な青山に
ニッカ・ウヰスキーの本社ビルがあって、地下にはメーカの名前を
冠したバーがある。もちろん、ここもまるで聖地のように巡礼者が
やってきて感激している様子が繰り広げられている。
そんななか、決して白眉ではないが、いかにも”らしい”ウィスキーが
コスパ良く楽しめる。それがブレンダーズ・ウィスキーの12番。
例えば、余市蒸溜所を工場見学するとテイスティングできるヘヴィ
ピートな10年物を髣髴とさせる”秋田の燻りがっこ”のような印象
のウィスキーだ。レシピは、Sherry&Sweetが9%、Peaty&Saltyが14%
Woody&Vanillicが7%、Fruity&Richが15%、Malty&Softが25%、そして
グレーンのWoody&Mellowが30%となっている。
予め断っておきたいのだが、これを飲んでもアイラ島のウィスキーを
思い起こすことはない。強いて言えばラガヴーリンが近いか。それは、
麦の種類から製造プロセスまでが良く似ているからという理由だと
思われる。
しかし、今ここで、先のレシピのうち、Sherry&SweetとFruity&Richの
割合を入れ替えたら?
Sherry&Sweetを15%にし、Fruity&Richを9%にしてみたら、あら不思議
お隣の気合と根性で作られているようなアードベッグに早変わりして
しまう。これで面白いのは、より甘いはずのSherry&Sweetを増量して
いるにもかかわらず、よりクセの強い正露丸のような風味が増すことだ。
つまり、ウィスキーのブレンドにおいて、最終形のイメージに近づく
ためには、より近い印象の原酒を選べばよいとは限らないということ
である。
ふ~ん。ということは、もっと枠を広げて考えれば、シーバス・リーガル
もバランタインも、ジョニー・ウォーカーも、そこそこ似たウィスキーは
ブレンド次第で作れるということ。
じつは、これがウィスキーの美味しさの秘密です。
だから、聖地とか地酒とかラベルとかブランドとか一切(というと言い
過ぎだけれども)関係ないんです。少なくとも、炭酸水で割って飲むの
にはまったく関係ないでしょう。
そんなもんです。日本人は求道精神が強いのでこだわりすぎ。
世界はもっと質より量ですよ。世界の広さに感謝しましょう!
感謝!