マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

Tomatin & Portellen

2013-02-21 12:42:31 | グルメ

飲んでから随分と時間が経過してしまったので、もはや細かい
テイストはすっかり忘却の彼方になりましたけれども、せっかく
ですから、ご紹介しておきましょう。

tomatin-celebrationofthecask.jpg

ひとつ目は、CARN MORというブランドのシングルカスクで
蒸溜所はトマーティン、アルコール度49.8というもの。

私は、このときトマーティンを本当に久しぶりに飲んだのですが、
以前の機会というのは、何も知らない学生のときに、ただ「安い」
という理由だけで購入したオフィシャルの印象があまりしっかり
したものでなかったので、ただ酔いたいというときに消化した
記憶があって、バーテンダーさんから勧められたときも、いまいち
乗り気ではなかったのですが、ボトラーズのアルコール度がウリ
ではないという点に興味をそそられ飲んでみましたら、思いのほか
フルーティでまろやか、スペイサイドの良さが出ている一本だと
思いました。このことは、私自身があまりスペイサイドは好み
ではないということを改めて発見する機会でもありました。

もう一本はポートエレン。26年もので、56.9%

portellen1979.jpg

ポートエレンを頼んだということは、ピートと樽熟成の高いバラ
ンスを求めたということなのですけれども、1979年の蒸溜
というのは、その後の蒸溜所閉鎖直前に比べてピート濃度は高く
なく、むしろソルティな風味の方が前面に出た味わいでした。

考えてみれば、昨今はビールの分野ではホップの香りを利かせ、
ウィスキーの分野ではピートやシェリーの香りを利かせた風味を
強調する味が多いのですが、本来の味わいの方に特徴のある
ウィスキーというのはあまり見かけません。

そういう意味で、大変貴重であり、いつまでも無くなってほしく
ない、ゆっくり味わいたい一本だと思います。さすがはブラッ
カダーと嬉しくなりました。

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美味しいウィスキーのもうひとつの秘密

2013-02-20 13:07:13 | グルメ

シングルカスクの試飲会では、実際にテイスティングをする前に
「シングルカスク」の説明が行なわれました。これも、マニア
垂涎の企画です。

whiskycask-seminar01.jpg

シングルモルトが好きだと仰る方がバーに通ったりするように
なると、そのうちに変わったボトルとか、珍しい銘柄を珍重する
ようになることは、自然なこととしてよくあります。

それは例えば、オフィシャルボトルの12年からスタートして、
17年、20年、25年と単一蒸溜所のバリエーションを試し
たい、あるいは様々な蒸溜所のオフィシャルボトルを試したい
というところから一歩進んで、限定生産の商品を試したい、ボト
ラーズの商品を試したいのと同様に、単一の樽の強い個性に
興味をそそられるのは自然なことでしょう。

そのジャングルの奥地にある秘境のようなところが、シングル
カスク愛好だと思います。私もすっかり虜になってしまっている
と白状します。

whiskycask-seminar02.jpg

ここまで来ると、この先は独自ブレンドしかフロンティアが
残されていませんので、シングルカスク好きこそが通だという
ような雰囲気がありますが、それは落とし穴であって、さらに
ブレンドに進むとか、カスクの個性違いからウィスキーをデザ
インする嗜好に進むというオプションもあると思います。

とはいえ、いかに樽の種類で分類ができたとしても、厳密に
考えればひと樽ひと樽違いがあるわけですから、整理は仕切れず
管理の分野になってくるわけです。

その整理と管理の最大活用が、美味しいウィスキーを作る
もうひとつの要素でしょう。

一般に、スモークやピートの香りとか、シェリーの甘さとかが
個性の代表のように語られることが多いですけれども、味わい
のうち大きな部分を占めるボディやミドルのテイストは、酵母や
樽が作っているからです。

酵母によるバリエーションは作り手だけが知る特権ですが、樽の
バリエーションは、先の整理の知識で素人でも対応が可能になる
はずですので、その引き出しを多く持てると、飲み手の経験値
だけでなく、ブレンダーの基礎素養としても大切な財産になる
と思われます。

whiskycask-seminar03.jpg

セミナーでは、シングルカスクができる工程を教えていただいた
のですが、これは先の管理の知識ですね(笑)

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試飲会レポート

2013-02-19 14:03:42 | グルメ

少し前のことになりますが、友人とバーへ飲みに出掛けたら、
その日はウィスキーセミナーの開催日でした。

whisky-seminar01.jpg

バーにはキャパシティというものがあり、セミナーは申込み制
ですので、当然その日は貸切状態になっているわけです。しかし
そこをマネージャーが機転を利かせて、なかに入れてくれました。

当日はどうやら試飲会だったようで、2本のシングルカスクを
前にブレンダーがその商品の解説をしてくれるという、業界の
仕組みを知っている人なら垂涎のような企画で、我々はなんと
ラッキーかと喜んで会場の人となったのでした。

今回の試飲の対象は、余市の18年ものと宮城峡の10年もので、
あえて特徴を分かりやすくするために、蒸溜所も熟成年数も
大きく振ったものを提供したようです。

whisky-seminar02.jpg

細かいティスティングノートは、私も書き出したのですが、
いま手元にありませんので、ブレンダーのノートを写して
おきましょう。

■シングルカスク余市 1994
樽番号:400749 樽詰日:1994年2月2日
アルコール分:62% 樽種:リフィルバット

香り:しっかりとしたボディと樽熟成香。甘いオークの香りと
ビスケットのような麦芽の香ばしさが豊か。クリーミーで
スィート、穏やかなピート香が全体を包み込む。
陽だまりのガーデン。

味わい:オーキーでバニラのような甘さ。
あたたかでわずかに土っぽい。厚みのある味わい。
ほろ苦いビター感が心地よい。

フィニッシュ:穏やかで塩あめのようなピートの余韻。


■シングルカスク宮城峡2002
樽番号:102949 樽詰日:2002年12月13日
アルコール分:62% 樽種:リフィルバット

香り:トップに華やかなフルーティさと薔薇のようなフラワ
リーな芳香が立ちのぼる。マスカットを思わせる爽やかさ
とふくらみ。モルティでやわらか。エレガント。
優雅で貴婦人のようなたたずまい。

味わい:シルクのようななめらかな舌ざわり、軽快で
スイート。ドロップのような甘さと麦の香りが口中に広がる。

フィニッシュ:すっきりとしたフィニッシュ、ややドライなキレ。

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CLYNELISH 38yo - vintage1972

2013-02-18 13:38:41 | グルメ

チョコレートに合うお酒といえば、ブランデーとウィスキーが
代表格ですが、なかでもウィスキーは「ボンボン」という名前の
ついたお菓子があるくらいですので、おなじみでしょう。

ハーフ・ビターの、フレッシュで複雑なチョコレートに似合う
ウィスキーといえば、若いピートでモルティングしたヘザー香
豊かな、例えばハイランド・パークのようなものが最適ですが、
かのボトルはデザインを刷新してから原酒も若めになったよう
ですので、今回のチョコレートに負けてしまいます。

そこでご登場願ったのが、海を隔ててメインランド側、ハイ
ランドのなかでも最北端に近い、クライヌリーシュ蒸溜所の
ヴィンテージ38年ものでした。

clynelish38yo.jpg

これならば、フレッシュで複雑なチョコレートと自信を持って
ベストマッチといえるでしょう。フレッシュなチョコレートが
求める熟成感と、甘いチョコレートが求めるキレのよいアルコー
ルとが同居しています。

ここまでは、チョコレートとウィスキーのマリアージュの話
ですが、個人的なことを記すのを許していただけるのならば、
こういう味わいこそが、私の好みの味だと改めて教えてもら
える機会でもあるのです。

すなわち、風味豊かで、素材の甘みがほんのり薫り、しっかり
熟成した味わいがフルボディの上で踊りつつも、その過程では
ヘザーの蜂蜜のようなアロマと、トーストブレッドのような
乾いた麦の味わいが彩り、フィニッシュは長すぎず短すぎず
ドライに切れ上がる。どこか、田舎にでも帰省したような、
温故知新を感じさせる味覚です。

それは、焙煎による不均一な焦げ臭さであり、手作りによる
手間のかかった熟成感であり、忘れたころに再び強かに感じ
させてくれる新鮮さそのものです。

しかし、こういったものこそが、長年人間が生活する過程で
蓄積してきた文化というもの、また洗練を経たその頂点では
ないかとも思えます。

世界の極西で作られたものを、極東にいて頂けるというのは
だから今生の幸福であるに違いありません。

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ザ・ディスティラーズ・エディション/ラガヴーリン・ダブルマチュアード

2013-02-08 14:15:53 | グルメ

穴があったら入りたいと申し上げた私めのために、T社長が
ご馳走して下さったウィスキーというのがこれです。


ザ・ディスティラーズ・エディション/ラガヴーリン・ダブルマチュアード

オークラのバーというのは、モルト・ウィスキーのボトルが
200本以上もズラッと並ぶ、それは壮観な風景のカウンター
なのですが、高鳴る胸の興奮をなんとか抑えて冷静に見回すと、
それは錚々たる高級なボトルばかり(例えばカリラの32yoとか)
なので、簡単に「それ美味しそうだね、じゃあよろしく」という
わけにも参りません!

そんななかで久しぶりに出会って懐かしかったのが、このラガ
ヴーリンのディスティラーズ・エディションです。

ラガヴーリン・ダブルマチュアード.jpg

日本で出会うのは初めてで、前回は蒸溜所を訪問したときに、
蒸溜所限定ボトルとして説明を受けたものでした。ひと口含んで
そのことを思い出しました。

現在では定期的に日本にも入ってきているようで、検索すると
ペドロヒメネス仕上げとか何とか表現されていますが、ペドロ
ヒメネスって何だ?と思ったら、シェリー酒の銘柄のことだ
そうですね。

ラガヴーリンのオフィシャル16年は、ピート強くヨード香
強くアルコール強い、プロボクサーのストレート・パンチの
ような破壊力抜群のウィスキーですが、こちらはシェリーの
甘さが上品にコートされた逸品で、蒸溜所限定として幻性を
出してもいいのではないかと思います。

テイストとしては、ダブル・マチュアードのラベルの通り、
いつものラガヴーリンの原酒をシェリーバットに詰め替えて
マリッジさせたものでしょう。シェリー原酒特有のシェリー
ボディともいうべき舌に纏わり付くような甘いコクはなく、
あくまで全体の印象を上品にするギリギリの割合で熟成して
います。

これは、ラガヴーリンの個性を知り尽くしたうえで、さらに
その上をいく装飾を施すことができる一級のブレンダーや
蒸溜長の技術の賜物です。穿った見方かも知れませんが、
蒸溜所限定モルトが一般の市場に流通するようになったことを
考慮すると、これはディアジオの商品企画力と製造管理能力と
マーケティング力の総合力の勝利かもしれません。

それが証拠かどうか、改めて同社のクラシックモルト・シリー
ズを眺めてみると、私の好みのボトルばかりが並んでいるでは
ないか!

だから、これぞプロの見識だと恐れ入るのです。

lagavulin-dublematured.jpg

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ホワイトオーク シングルモルトあかし

2013-02-04 13:25:59 | グルメ

「あかし」という名のウィスキーのことは、お恥ずかしながら
今まで存じ上げませんでした。ひょんなことから寄り道した
酒売り場で見つけたもので、何か珍しいシングルモルトはないか
と思っていたら、正に珍しいものを見つけた!という具合です。

ホワイトオーク・シングルモルトあかし.jpg

あかしというのは兵庫県明石市のことで、ご当地にある江井ヶ嶋
酒造というマルチ酒造メーカがウィスキーを製造しています。

メーカの名前は、購入してからそういえばと思い出したのですが、
シングルモルトを出しているところまで調べていませんでした。

裏ラベルをみると「瀬戸内海を望むウィスキー蒸溜所で造った
モルト原酒をシェリー樽、バーボン樽等で貯蔵し、バッテイング
しました。地ウィスキーならではの、特徴のある味と香りのシン
グルモルトウィスキーです。」と書かれていて、確かにシェリー
の甘さとバーボンのバニラテイストが順番に現れるウィスキー
です。

あまりの珍しさに目を奪われてしまって即買いをしたのですが、
よく看るとラベルにも外箱にも熟成年数の表示はなく、若い原
酒おそらくは3~5年程度の熟成のものを多く使っているので
はないでしょうか。アルコール度数は46度ですが、エステル
香が非常に強く舌の上で未貯蔵原酒の特徴であるパチパチと
跳ねるような刺激感がします。

しかし私個人的には結構好みのタイプで、一般に美味しいウィ
スキーといえば熟成年数長くシェリー原酒で甘い風合いをつけた
「飲みやすいお酒」というワインの販売ストーリーのような
ものが多いなかで、原酒樽の甘い風味はするものの野趣溢れる
強い酒を主張する個性は昨今では貴重な存在です。

このウィスキーをベースにハイボールを作れば、きっと新しい
感覚の大人向け本格ハイボールができると思いますし、ブラ
ンデーやカルヴァドスと同じように考えればスィーツに使う
新用途もみつかるでしょう。

改めて調べてみたら、シェリー樽熟成の14年というオフィ
シャルがあるそうですが、それはそれとして、この原酒を使っ
た14年熟成のブレンドなら、もっと本格的な地ウィスキー
として名乗りを上げられる実力は十分に兼ね備えています。

そういえば「あかし」というのは、蒸溜所のある地名でしたね。

この無限の可能性を秘めた新しいモルトウィスキーにもっと
注目していきたいです。

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