マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

Port Ellen

2009-08-10 19:12:47 | グルメ

アイラ島のウィスキー蒸溜所巡りの番外編は、ポートエレン。

ポートエレンは、Port Ellenと書きますので、日本語ではエレン港
ですね。このポートエレンは地名にもなっており、もちろん蒸溜所
の名前にもなっていたわけです。

「なっていた」のはモルトファンの皆さまにはご存知の通り。ここ
の蒸溜所は1980年代には操業を停止して蒸溜所廃止になり、現在は
ディアジオ社のモルトスター(麦芽製造工場)になっています。

Port Ellen

ただし、かつて蒸溜所だった面影はあちこちに残っており、キルン
塔やウェアハウス(貯蔵庫)は今すぐにでも操業再開を待っているか
のように残されています。

Port Ellen

Port Ellen

さて、現在の麦芽工場はどういう感じかといえば、ご覧の通り。

Port Ellen

麦芽製造の自動化を感じさせる工場の外観と、大規模な製造能力を
示すかのような強烈な燻製作りの匂いの煙が、新時代のウィスキー
作りを伺わせるものでした。

工場の奥の方には、乾燥中のピートが山積みになっており、ここだ
け原始的な農産物2次加工工場の様相。

Port Ellen

このギャップの大きさが今後のウィスキー製造にどのような影響を
与えるのか、大いに興味のあるところです。

アイラ島ポートエレンにて。

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Bowmore Distillery

2009-08-09 19:10:47 | グルメ

Bowmore, Isle of Islay, Argyll PA43 7JS

アイラ島蒸溜所巡りの8ヶ所目。すなわち現在稼動中の蒸溜所として
は最後になるのがボウモア蒸溜所です。

ボウモア蒸溜所は、モリソン・ボウモア・ディスティルリーという独
立した会社ですが、この会社の筆頭株主は日本のサントリー。蒸溜所
の入口には、日本の日の丸がスコットランド国旗、ボウモア蒸溜所の
旗とともに掲げられていました。

Bowmore Distillery

ボウモア蒸溜所は、アイラ島にあるウィスキー蒸溜所の中で最古の歴
史をもつ蒸溜所であることから「THE ORIGINAL ISLAY SINGLE MALT」と
差別化していました。

最古であるとともに最大規模を誇っていますので、レセプションセン
ター非常に充実しており、ボウモアの各製品やアパレル、日本の山崎
なども購入できます。

本当は、ここの蒸溜所名産のジャムをお土産に買いたいと出発前に考
えていたのですが、もうすでに荷物はパンパンで、さらに重くなるジャ
ムは泣く泣く諦めざるを得ませんでした(泣)。次回訪れるときには絶
対に買おうとここに誓っておきます(笑)。

さて、蒸溜所ツアーはさすが大手だけあって、映像を見るところから
スタートします。その後はすぐに蒸溜所のなかに入っていって、その
立派な設備を拝見しました。

私は、ボウモア蒸溜所がもっと誇ったらどうかと思っていることにフ
ロアモルティングを行っていることが挙げられます。フロアモルティ
ングを行うということは、同時にキルン塔で大麦を乾燥させオリジナ
ルのモルトを製造しているということですから、現役のキルン塔に入
らせてもらえたときは少し特別な感情になりました。

Bowmore Distillery

ボウモア蒸溜所は、前述の通りアイラ島最大規模のウィスキー工場で
すので、日本からも多くの方が見学をされていて少し調べればたくさ
んの情報があるのと、サントリーが開設している日本語のサイトがと
ても充実していますのでスペックだけ。

マッシュタンは巨大なものが1器、ウォッシュバックは5器。ポット
スチルは4器です。

興味深かったのは、スピリットセイフを詳しく説明してくれたことで、
スチルマンが蒸留中にウィスキーをチェックするバルブを操作して、
わずかに香るウィスキーの甘い香りが漂ったときは、ああなんていい
仕事だろう!と思ってしまいました。

Bowmore Distillery

ウェアハウス(貯蔵庫)は2段積み。このあたりは歴史の古さを感じさ
せ、伝統と蓄積した技術の重みを感じるところでもありました。

そのウェアハウスの脇には、これまでの歴代のウィスキー樽が展示さ
れており、創業当初のものから現代のものまでさまざまなウィスキー
樽を眺めることができるのは、シングルモルトウィスキーがお好きな
方でしたら是非一度見てみたいところではないでしょうか。

Bowmore Distillery

ツアー終了後には、もちろんオフィシャルのテイスティングがあって、
ボウモア湾を眺めながらアイラ島蒸溜所巡り最後の余韻を味わいました。

Bowmore Distillery

アイラ島ボウモアにて。


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Lagavulin Distillery

2009-08-08 19:08:44 | グルメ

Port Ellen, Isle of Islay, PA42 7DZ.

アイラ島の純米吟醸、ラガヴーリン蒸溜所です。

Lagavulin Distillery

一般にアイラ島のモルトウィスキーはピート香が強い、焦げ臭いフ
レーバーのウィスキーとして知られていますが、蒸溜所をひとつひ
とつ細かく見ていくと、実は個性豊かだということが分かります。

では、アイラモルトのなかのアイラモルトは何か、と言われれば、
私はラガヴーリンが適役なのではないかと思っています。

ただ、上記はアイラモルトのうちから比較しての話ですので、一般
に他の地域のモルトウィスキーと一緒に突然ラガヴーリンが登場し
てしまうと、その強力な個性に人間の方が負けてしまうかもしれま
せん(笑)。

そういう意味で、本当の真打というアイラモルトではないでしょう
か。

現在のラガヴーリン蒸溜所はディアジオ社傘下にあり、お話ではカ
リラ蒸溜所とマネジメント情報をシェアしたりもしているそうです。

訪問した日は、朝から強風が吹き荒れる雲天の天候で、7月下旬だ
というのに日本の暮れのような寒さです。

Lagavulin Distillery

「寒い寒い」と言いながらヴィジター・センターに駆け込むと、そ
こは心地よい温かな空間で、まるで暖炉でも焚いているのかのよう
に錯覚します。

一角には、創業当初の古い写真が飾ってあり、当時の蒸留釜や直火
蒸留だったころのポットスチルが大変貴重です。

Lagavulin Distillery

蒸溜所ツアーは、さすがディアジオ社というべきもので、キルン塔
でのモルティングの説明の時には、生大麦と麦芽の比較試食なども
あって35PPMのモルトを美味しくいただき、グリストと呼ばれる麦
芽を挽いたものまで試させてもらいました♪

Lagavulin Distillery
ラガヴーリンのポットスチルは4基。ちょうど夏季メンテナンス期
間中で足場が組まれてしまっていて、残念ながらスチルハウスには
入れてもらえませんでしたが、このポットスチルの形状をみると、
なぜラガヴーリンで強力なモルトが出来るのか、なんとなく分かる
ような気がしました。

Lagavulin Distillery

ツアーの最後では、こちらでもやはり限定のカスクストレングスが
提供されて、ここだけは何とか買って帰りたいと思ったものくらい
素晴らしいものでした。

レセプションセンターに帰ってきたら、受付のお嬢さんがメッセー
ジを書いてくれて、「いつでもまた来てください♪」と言ってくれ
ました。

Lagavulin Distillery

う~ん。

こちらは、その限定のカスクストレングスを日本で販売してほしい
のですが~!!!

スコットランド・アイラ島にて。

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Laphroaig Distillery

2009-08-07 19:06:39 | グルメ

Port Ellen, Isle of Islay, Argyll PA42 7DU

アイラ島のウィスキー蒸溜所は、どこも海辺に建てられているのは
以前に書いたとおりなのですけれど、ラフロイグ蒸溜所近辺は、道
路が海から少し離れているので、蒸溜所へのエントランスロードは
まるでサントリーの白州蒸溜所を思わせる風景です。

Laphroaig Distillery

ラフロイグといえば、チャールズ皇太子御用達のウィスキーとして
有名なところですので、蒸溜所には使用を許されたプリンス・オヴ・
ウェールズの紋章が誇らしく掲げられていました。

Laphroaig Distillery

ラフロイグのウィスキーは、よくヨード臭がすると評される海草臭
さがあって、日本では人によってはヨードチンキの匂いとか、秋田
名物いぶりがっこと評する人(これ私ね)もいます。

昨今はシングルモルトを置いているお店も多く、ちょっと小洒落た
お店のアクセサリーのように取り扱われていたりするのですが、例
えばそういうお店で、

-ね、これ飲んでみない? これラフロイグって読むんだよ。
「へぇ~どんな味なの?」

-う~ん。ヨードチンキみたいな感じかな。
「えー、そんなお酒じゃなくて、もっと飲みやすいのがいい!」

とまあ、そういった具合になることが多く、万民向けというよりも、
男らしい男のための酒です。それが証拠にというわけではないので
しょうが、ピート指標は50~70ppmでアイラ島で1番。

もっともピートを炊いて出来上がるウィスキーは海草臭いのですか
ら、一方的に日本から思い描く英国王室のイメージと実態とのギャッ
プの一端を実際に感じてみるのも、世界見聞の一興かと思ったり
します。

さて、ラフロイグ蒸溜所ではいくつかの点で他の蒸溜所と差別化を
図っており、蒸溜所ヴィジターセンターの入口には、次のような
解説がなされていました。

・独自にフロアモルティングをしている。
・自社のピートベッド(ピート田)を持っている。
・7つのポットスチルで蒸留している。
・新樽だけで貯蔵している。
・伝統的なウェアハウス(貯蔵庫)で貯蔵している。

Laphroaig Distillery

ハイランドパークでも解説がありましたけれど、独自にフロアモル
ティングをしているというのは、やはりウィスキーの個性を出う
えで、ある程度の影響があるようです。

ただ、このフロアモルティングは非常に労力のかかることですので、
今や中小のほとんどの蒸溜所では行われておらず、モストスターと
呼ばれる、ディアジオのようなモルト供給業者からウィスキー蒸溜
用のモルトを購入しています。

その点では、現代のウィスキー産業は、もはや大麦生産農家の納屋
で作られる自家用酒のマニュファクチュアではなく、むしろ現代の
大手ビールメーカーのビール工場のように、工業製品に近い製造プ
ロセスが取り入れられています。

これはウィスキーメーカーの資本・経営体制を診てみれば、容易に
分かることでもありますね。

Laphroaig Distillery

しかしながら、ラフロイグでは独自のピートベッドを保有し、フロ
アモルティングを続けている。また、それを蒸溜所やウィスキーの
特徴として高らかに主張している。

この点は、だからこそユニークなウィスキーが出来上がるんだと言
いたいところなのでしょうか。

ラフロイグ蒸溜所は、アードベッグ蒸溜所とラガヴーリン蒸溜所に
隣接しており、気候や環境的条件はほぼ同一なのにも拘らず、出来
上がるウィスキーがどれも個性的で異なるのは、やはりそれ以外の
要素、例えばポットスチルの形状や樽の種類などの方が影響が大き
いのかもしれません。

そのポットスチルは上記の通り7基。

真夏の時期でメンテナンス期間に入っていたためか、ポットスチル
の周囲に足場などが組まれていたのが残念でしたが、これだけの数
のポットスチルが直列で並ぶ眺めは壮観の一言でした。

Laphroaig Distillery

スコットランド・アイラ島にて。

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Ardbeg Distillery

2009-08-06 19:04:38 | グルメ

Port Ellen, Isle of Islay, Argyll PA42 7EA.

アイラ島の南側にやってきました。日本にいてピーティーで潮臭いウィ
スキーができる所というと、なんとなく陸奥のイメージからか島の北の
方をイメージしがちですけれど、実際には島の南側にある蒸溜所のウィ
スキーの方が、揃ってピーティーなウィスキーを作っています。

Ardbeg Distillery

そんなアイラモルトのなかでも群を抜いて強力な大将が、このアード
ベッグ。

Ardbeg Distillery

ほとんど100%のオプティック種大麦を、50~60ppmまでス
モークした麦芽を使って蒸溜しており、コンクリートの壁がぶつかって
くるような強いウィスキーが出来上がります。

ポットスチル(蒸溜釜)は2基。真夏でしたが蒸溜の真っ最中で、作業の
途中にもかかわらず写真撮影をOKしてくれました。

Ardbeg Distillery

その数から蒸溜所の規模が分かりますが、まるでクォリティとスケール
はトレードオフの関係にあると主張するかのように、スチルマンは誇り
高くフレンドリーなよい人々です。

Ardbeg Distillery

それから、アイラ島の蒸溜所を訪ねて気づいたことがあります。

日本のウィスキー書籍を読むと「アイラ島の蒸溜所はどこも海辺に沿っ
て建てられている」とだけ記載されているのですが、蒸溜所の裏側(つ
まり、皆さまが広告などでよくご覧になる蒸溜所の名前がペイントされ
たウェアハウス側)の海辺に出てみると、どこの蒸溜所も例外なく小さな
埠頭を持っています。

出来上がった製品の出荷物流を考えれば、現在はもちろんトラックによ
るのでしょうが、かつてはこの埠頭から海運でスコットランドのメイン
ランドへ運んでいたと考えるのが自然です。

そういえば、日本の余市もかつては小樽まで馬車で運び、そこから海運
だったと解説されています。

そういった製品の出荷の利便性という出口の都合もあって、アイラ島の
蒸溜所は海辺に建てられているのではないでしょうか。

そんな小さなことに気づかせてくれたのも、アードベッグ蒸溜所でした。
Ardbeg Distillery

スコットランド・アイラ島にて。

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Bunnahabhain Distillery

2009-08-05 19:02:24 | グルメ

Port Askaig, Isle of Islay, PA46 7RP

カリラ蒸溜所の一つ北側の湾に沿って建てられているのがこのブナ
ハーブン蒸溜所で、カリラに向かう手前に「ブナハーブンはこちら」
という標識があったので、訪れてみました。

スコットランドを移動して感じたのは、おそらくは英国内で共通な
のだろうと思うのですが、「○○ →」という形式の標識があると
その先は曲がる必要があったり、目的地に到着するまでは、次の標
識や案内看板の類が一切なく、日本のように500mおきに看板がたっ
ていてナビゲートしてくれるということがないので、日本人の感覚
のまま進んでいくと「本当に大丈夫か?」と不安になります。

裏を返せば、自動車のラリー競技で使うマップと同じ考え方なので、
「ああ、ラリーマップの起源はここにあるのだな」と感じました。

カリラ蒸溜所の手前を左折してすぐ近く、の筈のブナハーブン蒸溜
所も「すぐ近く」とは「4マイルほど」でして、すれ違いが出来な
い細い道を延々と走っていくのですから、人里はなれた岬の突端に
でも行く様子で、ウィスキーのウェアハウス(貯蔵庫)が見えてきて
もまだ「ブナハーブン蒸溜所 →」という看板があって、弱ったも
のです。

そうこうして海辺に出たところに蒸溜所はありました。

Bunnahabhain Distillery

ブナハーブン蒸溜所を訪れたのは、本日4ヶ所目にあたるので、す
でに夕刻となっており、最終の蒸溜所ツアーは出発した後。

ヴィジターセンターは既にクローズされていたため、オフィスに出
向くと、マネージャー氏が「今日はもう終わりだよ。次は明日だね」
と少し面倒くさそうに話しました。

仕方なく蒸溜所内をふらふらしていたら、ウェアハウスの中を見せ
てくれることになって反ってラッキーでした♪

Bunnahabhain Distillery

ウェアハウスのなかでは、あちこちの樽の底から染み出してくる
ウィスキーの匂いを嗅いで「これはまだ若いウィスキーだ」とか、
「これはワイン樽のやつだから赤ワインの香りがする」「これは
シェリーの11年物だから今飲んだら素晴らしいぞ」とか、他の
蒸溜所のお仕着せツアーでは決して経験できないレアな体験をさ
せてもらいました!

アイラ島のウィスキーは、ピートと呼ばれる泥炭を焚くので非常に
焦げ臭いウィスキーが多いのですが、このブナハーブンではまった
くピートを焚かないので、ピーティー度を表す指標では2PPMとのこ
とです。

ブナハーブンのもう一つの特徴は、その蒸溜したウィスキーのほと
んどをシェリー樽に仕込んでいること。

Bunnahabhain Distillery

こうして出来上がるウィスキーは、非常にリッチで華やかな特徴あ
るものになっています。

そうそう、最後に忘れてはいけないのは、昨今のシングルモルト・
ブームのなかで、多くの蒸溜所がマーケティング強化とともに積
極的な差別化の中でウィスキーラベルからイラストを消してしまっ
ているのですが、ブナハーブンでは頑固一徹ウィスキー自体の特徴
で勝負をしており、ラベルには大きなイラストが描かれています。

こういう細かいところも良心の表れ。

Bunnahabhain Distillery

ブナハーブンはアイラ島の隠れた秘宝ですね。

スコットランド・アイラ島にて。

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Caol Ila Distillery

2009-08-04 19:00:21 | グルメ

Port Askaig, Isle of Islay, PA46 7RL

ここの蒸溜所も発音が紛らわしい所のひとつで、そもそもの存在の
幻性も、その混乱に拍車を掛けているいるように思うことがありま
す。

ここの蒸溜所の読み方は「カリラ」が正解ですが、現地の人の発音
では「リ」にアクセントを置く「コリーラ」が一番近いです。

Caol Ila Distillery

私がこの蒸溜所の存在を知ったのは、かれこれ10年以上前のこと
で、ひょいと入ったバーで「珍しいものを」と言って出てきたのが、
ここの蒸溜所の15年物でした。

そのウィスキーは、アルコールの辛さがストレートのパンチのよう
に口の中を叩き、滝のようにスピーディー襲ってくる強力なウィス
キー。

その痺れるような強烈さと長くのこるフィニッシュに、大いに酔っ
払ったものでした(笑)。

近年では、ウィスキー大手のディアジオ社の傘下に入っており、
ジョニーウォーカーのメインモルトとして有名。

ジョニーウォーカーを飲んだときに、口の中でゆっくりと広がる陰
の立役者はここのモルトでしょう。

Caol Ila Distillery

ディアジオ社では、アイラ島に保有するカリラ蒸溜所とラガヴーリ
ン蒸溜所を巡る蒸溜所ツアーの企画を行っていて、どちらかの蒸溜
所でチケットにスタンプをもらって別の蒸溜所に行くと、2箇所め
では無料になります。

ここの蒸溜所でユニークというか素敵だなと思ったのは、蒸留釜が
あるスチルハウスが海に向かってガラス張りになっていること。

ウィスキーの蒸留中は、自然と海を眺めながらの仕事になりますか
ら、仕事の気持ちよさでは世界一ではないかと思います。羨ましい
ですね♪

Caol Ila Distillery

カリラ蒸溜所は、どちらかといえば、小さい規模の蒸溜所になると
思いますが、アイラ島では一番の生産量を誇り、それは上記の通り
ジョニーウォーカーに使われるようです。

現代のカリラ蒸溜所は、ディアジオ社傘下にあってモルトウィスキー
の供給工場の性格が強いように思いますが、日本でも購入できるカ
スクストレングスは、今でもかつての15年物を思い起こさせる
とても良いウィスキーです。

蒸溜所ツアーでは、例によって(笑)蒸溜所限定のカスクストレング
スが提供されて、それはそれは悩ましい素晴らしいウィスキーで
した(笑)。

Caol Ila Distillery

スコットランド・アイラ島にて。


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Kilchoman Distillery

2009-08-03 18:58:26 | グルメ

Rockside farm, Bruichladdich, Isle of Islay,
Argyll PA49 7UT

ブルックラディ蒸溜所を訪れた後は、近くにあるキルホーマン蒸溜
所を訪れました。

ここの蒸溜所は2005年に創業ですので、まだ市販の製品がありませ
ん。現在はただ黙々とウィスキーを蒸留している段階です。

Kilchoman Distillery

アイラ島の地図をみると、確かに近くなのですが、実際に行ってみ
るとかなりの距離があります。

私はアイラ島はもちろん、イギリスも初めてなのですが、この国の
田舎道はみんなこうなのかと思うくらい細くて狭い一本道。それも
直線ならいいのにほどほどに曲がっていたり、アップダウンがあっ
たりで「本当にこの道で合っているのかな?」と不安になってくる
ような道中です。

案の定、本当に申し訳ない程度に掲げられていた看板を2回も見逃
して道に迷い、行ったり来たりしながら、ようやく辿り着いた蒸溜
所は農場の装い(笑)。これではいくらキルン塔を頼りに探していて
もなかなか辿り着けないわけです。

Kilchoman Distillery

蒸溜所側もそれを売りにしているようで、「アイラのファーマー's
蒸溜所」というキャッチコピーを使っていました。

ここで、よい機会ですので少しウィスキーの蒸溜所について触れて
おきましょう。

シングルモルトに代表されるスコットランドのウィスキー蒸溜所の
名称は、ほとんどの場合その村や地区の名前が付いています。

これはそもそも村毎にウィスキーを蒸留した名残のようで、このこ
とから原始的な蒸溜所は大麦を収穫して格納する貯蔵庫の近くに
あるのが普通だったようです。

キルホーマン蒸溜所をみると、およそウィスキーの製造工場には思
えないような外観で驚きましたが、上記のような歴史を考えれてみ
れば寧ろこの方が本来的。

このことをして、キルホーマン蒸溜所は「100%アイラ島の原料にこ
だわる」と違いをアピールしていますから、非常に高い志を感じそ
れはフロアモルティングを行う(?)モルトハウスにも表れていまし
た。

Kilchoman Distillery

ポットスチルは2器。小さくてかわいいといった表現が適切な蒸留
釜は、真夏でもフル稼働の最中です。

Kilchoman Distillery

あと数年もすれば、この蒸溜所のウィスキーが出荷されるようにな
ります。

アイラ島の原料にこだわったアイラ島最新のウィスキーが飲める日
まで、あと数年心待ちにしていましょう。

スコットランド・アイラ島にて。


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Bruichladdich Distillery

2009-08-02 18:56:29 | グルメ

Bruichladdich, Isle of Islay, PA49 7UN

いよいよといいますか、ようやくといいますか、モルト・マニア垂
涎のアイラ島にやってきました。

アイラ島は「Islay」と書くので、日本ではよく「アイレイ島」と
呼ばれたりしていますが、「アイラ」と発音するのが正解。今回の
蒸溜所も「Bruichraddich」と書いて「ブルックラディ」と発音する
のが正解です。

Bruichraddich Distillery

さて、このブルックラディ。私の中では世界で2番目のウィスキー
で、以前にブログでも取り上げたことがあります。

10年ほど前から盛り上がっている現在のウィスキー・ブームの前
は、長らくスコッチウィスキーの冬の時代で、アイラ島の蒸溜所も
長期的に数が減少傾向にあったため、この蒸溜所も長らく閉鎖され
ていました。

良質のウィスキーを作れるのに、出口が冷えているので供給が成立
しない、というのは商業の世界にはままあることで、この蒸溜所も
そういった状態だったのでしょう。

そこに情熱と行動を注いだのがジム・マーキュワン氏。

氏は、かつてボウモア蒸溜所や日本の山崎蒸溜所で働いた経験を持
つ一級のスチルマンで、数年前に私財や賛同者の資本とともにこの
蒸溜所の買収に成功。

「Appaaloosa」という種類のオーガニック大麦をメインに、100%
のトレーサビリティを保障するウィスキー製造をされています。

こういったことが評価されてか、2001年、2003年、2006年、2007年
の蒸溜所・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。

Bruichraddich Distillery

ここの蒸溜所が評価されているのは、何も21世紀的なアプローチを
先んじて導入しているからという理由だけではありません。

6器あるウォッシュバックと呼ばれる発酵タンクは、一番古いもの
で1881年製のもの。閉鎖されていた間はカビだらけだったものを、
お湯とスチームの洗浄で蘇らせたそうです(ちなみに、ウォッシュ
バックは直径約5mで2階建ての建物くらいの高さがあります!)。

Bruichraddich Distillery

ツアーの最後はウェアハウス(貯蔵庫)。奥のほうで何人かのオジサ
ンが樽の入替作業をしていました。

ガイドのお嬢さんが一通りの説明を終えるころ、奥から人懐っこい
オジサンが我々に声を掛けてきて色々と説明を加えてくれます。

そのうちに「今回は特別ですよ」と言って、すぐ近くにある樽から
ウィスキーを取り出し、少しずつ皆に試飲させてくれました♪

ウィスキーの飲み方から味わい方、加水の仕方など、随分と細かく
「おいおい、そんなこと話してしまっていいのかい!」というよう
なことまで飛び出し、とても充実した蒸溜所訪問だなあと思ってい
たら、なんとこのオジサンがジム・マーキュワン氏その人だという
ことが判明!

つまり、筆頭株主兼代表取締役が自ら貯蔵庫の奥で樽の入替作業を
していたのです。


-キミは日本から来たのかい?
「はい。」

-キミはバーテンダーか?
「いいえ、違います。ただのウィスキーファンです。」

-なんてこった!遠いところを遥々ありがとう!

という具合でお話ができたので、よもや現代の蒸溜所でこんなことが
あるとは思ってもいなかったのと、この蒸溜所のファンの立場から
したら夢のような出来事のため、すっかり我を失って舞い上がって
しまいました。

別れ際にある秘密のお話をしたら、「キミはこの蒸溜所のスーパー
スターだ。サポートありがとう」とサインをして下さいました。

「また来ますよ。」
-また会おう!

と言ってくださって、穏やかなアイラ島の朝に虹がかかるような一
時を過ごしました。

Bruichraddich Distillery

ジム・マーキュワン氏の情熱に乾杯。

スコットランド・アイラ島にて。

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Scapa Distillery

2009-08-01 18:54:17 | グルメ

St.Ola kirkwall, Orkney, KW15 1SE

オークニー島は、ハイランドパーク蒸留所があるカークウォールの
街のところで窪んだ形をしており、北側の窪んだ湾がWide Firth、
南側の窪んだ湾がScapa Bayといいます。

かつて非常にピーティーなウィスキーを製造することで有名だった
スキャパ蒸留所は、このスキャパ湾沿いに立てられていて、ハイラ
ンドパークからも歩いていかれる距離だというので、閉鎖後はどの
ようになっているのだろう、と足を運んでみました。

ハイランドパーク蒸留所は、カークウォールの街外れの丘の途中に
あるので、街のほうへ向かって北に少し引き返し、再度南に向かっ
て田舎道を歩いていきます。

ハイランドパークが最北の蒸留所で評価されているのならば、スキャ
パ蒸留所はほんの数百メートル南に位置していて、また現在のピー
ティーなシングルモルトがブームになっていることを併せ考えると、
なぜこの蒸留所だけが閉鎖されてしまったのだろうと思わずにはい
られません。

スキャパ湾に向かう「NEW SCAPA ROAD」(新スキャパ道)というのは、
両側が放牧地になっており、牛や羊が生活を謳歌しているところ。

そんなところにひょんな外国の人間がやってきたものですから、
彼らは彼らなりに興味津々のようです(笑)。

Scapa Distillery

まるで日本の晩秋を思わせる強風が吹く中を延々1マイルほど歩く
と、ようやくスキャパ湾にでました。

Scapa Distillery

スキャパ湾は、湾といっても砂浜になっていて、夕暮れに散歩を
する人や自転車で走っている人、犬を連れてウォーキング(と言う
のか?)をしている人など、様々な人が集う場所でした。

そのスキャパ湾をぐるっと一望すると、さらに1Kmくらい離れた
右手の小高い丘の上に煙突と貯蔵庫と思われる建物があり、白壁
に「SCAPA」と書かれています。

その白壁を目指して歩いていき、砂利道に入って少し進んだとこ
ろで、立入禁止の柵があってその先は原野に戻りつつありました。

Scapa Distillery

残念ながら、蒸留所の500mほど手前までやってきてスキャパ蒸留
所の訪問は叶わず。このまま朽ちていってしまうのでしょうか。







と残念に思って一日が過ぎ、スキャパ蒸溜所はあったことだけ確
認できたのだからそれで由としようと思っていたところ、翌日オー
クニーの世界遺産巡りに出掛けたタクシーの運転手さんに前日の
一件を話したところ、「ああ、スキャパ蒸溜所なら行かれるよ。
別の道が目の前まで通じているんだよ」と教えてくれて、そのま
ま世界遺産巡りの後に乗せていってもらえることになりました!

結論的には、スキャパ蒸溜所は確かにスキャパ湾岸に建てられて
いるのですけれども、蒸溜所にアクセスするメイン道路は先の
道ではなく、「OLD SCAPA ROAD」(旧スキャパ道)と呼ばれる一級
規格の道路の方で、この道をカークウォール市街から進んでいく
と、蒸溜所に向かっていく「B9053」という小さな道に接続します。

この道の分岐点にスキャパ蒸溜所の看板が立っていました。

「あ、看板がある!」と思って近づくと、シーバス・リーガルで
有名なシーバス・ブラザーズが現在は所有している様子です。

Scapa Distillery

そのまま進んでいくと、ちょうどスキャパ湾からみた方向とは反
対から蒸溜所に入っていくことができました。

現在、スキャパ蒸溜所は稼動再開に向けて各設備の整備中。私が
訪れた日には電気工事のお兄ちゃんが配線工事をしていました。

「ちょっと入って写真を撮らせてくれる?」と言ったら、いいよ
いいよと言うので、貴重なウェアハウス(貯蔵庫)の中をパチリ。

Scapa Distillery

このウェアハウスだけが大きくて、あとは一般的な規模のものが
10前後あったように思います。

カークウォールの街に戻って昼食のために入ったバーでは、日本
では既に幻になってしまっている、スキャパのオフィシャルボト
ルが「ここはオークニーよ。当然でしょ」とばかりに置いてあり、
さっそくニートで頼んでみたら、スィートでリッチでバランスの
よいドン・ペリニヨンのようなウィスキーであったと書き記して
おきます。

蒸溜所はもちろんまだ稼動していませんが、訪れたときにはスター
チの甘い香りがプーンとして、この蒸溜所はまだ生きていると思
いました。

オークニー島スキャパにて。

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