マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

OLD MALT CASK JURA 21yo

2014-04-30 13:44:38 | グルメ

さて、スコットランドのメインランドから一つ島を渡って、
アイラ島の手前にやってきます。その名はジュラ島。

ジュラ島は、アラン島と同じく島には一つしかウィスキー蒸溜
所がないため、蒸溜所の名前には島の名前がつけられています。
その名もジュラ蒸溜所。

maltclub-spring12.jpg

そのジュラですが、アイラ島と本当にすぐ近くで、アイラ島の
カリラ蒸溜所に行くと真正面に見える島ですが、ウィスキーの
個性はアイラと明確に異なり、アイラのウィスキーはクセの
強さが特徴であるところ、ジュラは同じクセがあるとしても
より穏やかなテイストが特徴です。

この特徴により、クセの強さが特徴として挙げられるアイランズ
モルトのなかでさらにアイラの隣りと解説されるためか、多くの
日本人の期待を裏切ってしまっているのでしょうか。どうも
正当な評価がなされていないように感じます。

しかしながら、ジュラのウィスキーは枯れて落ち着いた臭み
とも言うべきマイルドなテイストを持っており、これは他の
アイランズモルトにはない唯一無二の特徴ですから、例えば
マイルドなアイラモルトが飲みたいなどというときには、
アイラではなくジュラを選んでみると正解ということがよく
あります。

そういう意味で、ジュラは隠れた秘宝ではないでしょうか。この
カスクも安心して飲める、モルトの会の良心のようなウィスキー
でした。

テイストは、スモーキーでかつフルーティー。シュガーの甘さ
と塩っぽさがありアルコールドライ。塩飴を舐めながらオラン
ジーナを飲んでいるような午後の紅茶。

1989年4月蒸溜、2010年6月瓶詰、49.3%

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白州蒸溜所樽出原酒 15yo

2014-04-28 11:59:07 | グルメ
サントリーの最高傑作

これはハッキリ言って事件だと思う。サントリー白州蒸溜所の
15年カスクストレングスだが、リフィルホッグズヘッド&
ウェアハウス中段とまで裏ラベルに印字されている。しかも、
それが極上の美味しさなのだ。

maltclub-spring08.jpg

昨今のウィスキー飲料市場は、ハイボール人気を受けて市場が
成長し、会社は山崎/白州ともに追加投資を決定しているが、
同じウィスキーでもこの追い風を受けている種類ものとは異なる、
いわば「純モルト」製品の方が美味しく本物なのである。

例えば、国内でライバル視されているニッカ・ウヰスキーの製品
には、ホッグズヘッド新樽のバニリックな個性が認められる
けれども、一般に樽の風味を色濃く出したければバーボン樽を
使うことが一般的であるし、ホッグズヘッドは熟成にばらつきが
大きいから、当たればカスクで陽の目を浴びるけれども、外れ
ればブレンド原酒として姿を見せることはなくなってしまうこと
が多い。

そういうなかで、リフィルホッグズヘッドを中段で熟成させたと
ラベルに印字することは、サントリーの製造技術に対する自信の
裏付け以外のなにものでもないだろう。これこそ国内トップメー
カのプライドというものだろう。素晴らしい!

肝心の味の方も充実していて、程よく樽香が出ながらも熟成感が
それを上回り、ピートを思わせるようなクセの強いドライなアル
コールとソルティなジリジリ感が、ストレートパンチを応酬し
ながらフィニッシュしていく、じつに味わい深くブレンドとは
異なるバランスの良さを構築している。

もし、これが完全に生産技術として管理されて、再現性を保証
できるのであれば、白州蒸溜所だけ独立して別ブランドを立ち
上げるべき、あるいは既存の白州の竹炭濾過を廃止して、真正
面から白州の実力を世に問うべき事態だと思われる。

なぜ、この素晴らしい商品を、もっと世に知らしめないのだろう?

本当にコンテストに出品する製品というのは、むしろこれでは
ないのだろうか?そういう奇跡の一本だと思う。

願わくば、メーカの意思決定者が本当に正しいディレクションを、
勇気を持って下してほしいと願わんばかりだ。
 

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白州蒸溜所樽出原酒 12yo

2014-04-25 18:32:13 | グルメ
日本のウィスキーに触れたので、ではそのまま場面が変わって
続けようという趣向です。

前回は同じ山奥の八ヶ岳でしたが、今回は少し手前の白州です。
サントリーでは珍しいカスクストレングス。たしか蒸溜所限定
だったのではないかと思います。

maltclub-spring06.jpg

私自身はサントリーのウィスキーに対して、ひそかに山崎より
白州の方が美味しい(というか、白州の方がスコッチに近くて
自分好み)と思っているのですが、それを証明するかのような
シェリーとホッグズヘッドのそれぞれ12年物をバッティング
したカスクストレングスです。

アルコール度は57度ですから、熟成年数から考えるとウェア
ハウスの中段から下段あたりにあった樽ではないかと思います。

その推理が当たるかのように、12年にしてはニューポットの
ピリピリ感が残る刺激の強いウィスキーで、サントリーのモルト
製品ポートフォリオのうちでは唯一の個性かもしれません。

そういう意味で、白州蒸溜所の実力を嘘偽りなく正直に表現して
いる貴重な一本だと思います。

ウィスキーメーカとしてのサントリーの秘密に触れたい方に、
静かに小さな扉を開けてくれている、モルトファンだけの特権
として大切にしたい製品ですね。
 

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イチローズモルト THE FIRST

2014-04-24 18:16:05 | グルメ
美味しい中熟、長塾のモルトが並ぶなかで、蒸溜所開設第1号
のボトルがあるというのは、奇異なことに違いないのですが、
されど、それが我らが日本の蒸留所となれば例外も許される
ものでしょう。

ご存知ベンチャーウィスキー秩父蒸溜所の第1号モルトです。

だから比較をすることが野暮なことを承知で、あえて比較して
みましょう。なぜなら比較することが、いちばんよく理解でき
る近道だからです。

maltclub-spring04.jpg

このウィスキーは2008年蒸溜で2011年に瓶詰された
ものです。

秩父のウィスキーは、そのポットスチルの小ささから、よく
蒸溜された味がする素晴らしいものですが、これはいやはや
どうしてもアルコールがピリピリし、熟成感より蒸溜感の方
が強い荒削りなウィスキーです。

しかし、これは悪いことではなく、わずか3年でニューポット
の味ではなくウィスキーの味に進化しているということです
から、しっかりと丁寧に作っていることの証左といっても
いいのではないでしょうか。

創業当初の秩父では、ノンピートのバレル仕込みばかりだった
はずですので、我々飲み手はいわば素のウィスキーを作って
実力を高める、そのプロセスに立ち会う歴史の証人になって
いるということです。

これから時間が経過して、あの頃の秩父は荒削りでさぁ、と
いう話ができるようになったら、それはそれで我々みんなの
人生が豊かだということになります。

だって、それがウィスキーを飲む理由じゃないですか。
 

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Alutmore 1992 20yo

2014-04-23 14:19:04 | グルメ
2本目はAlutmore。Alutmoreと書いて「オルトモア」と読みます。

maltclub-spring03.jpg

なんとなく想像がつくと思われますが、オルトモアとは大きな
小川という意味だそうで、蒸溜所近くにはオーヒンデラン川と
いう川が流れているからのようです。

このボトルは、アルコール度51.6%の20年物。

典型的なスペイサイドよろしくバレル仕込みの、ナッティでバニ
リックな味が全体を構成していますが、アップノートはとても
フルーティでジャスミンやレンゲの爽やかな風味が同時に流れる、
まさに「大きな小川」の味がします。

バレル仕込みという点では、とうもろこしの甘みも感じられて、
麦が原料だということを一瞬忘れますが、辛めに長く続くフィー
リングは、間違いなくモルト原酒だということを主張します。

スペイサイドのカスクにしては、バニラが強すぎないため、どん
な食事にも合う万能酒といってもいいでしょう。ちょっと気合を
入れた夕食が食べたい、といったときに最適なパートナーとなっ
てくれると思います。

アナザーサイドのスペイサイドを覗いてみたい方におすすめです。
 
 
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BUNNAHABHAIN 40yo

2014-04-22 16:12:43 | グルメ

春のモルト会1杯目は、さてどうしよう?と少し思案した挙句、
BUNNAHABHAINにしました。BUNNAHABHAINと書いてブナハーブン
と読みます。アイラ島です。熟成年数は40年、アルコール40
度のシングルカスク。

maltclub-spring02.jpg

アイラ島ですが、一般に認識されているアイラらしいピーティ
でスモーキーなテイストはほとんどありません。この蒸溜所は
ノン・ピーテッドが基本だからです。

これに決める前にノージングはしませんでしたが、蒸溜所の名を
冠して40年の長期熟成を売りにしているのならば、ノンピート
だろうという読みがあったからでもあります。そしてアルコール
度も40度とスタートには丁度良いと判断しました。

結果として大当たりで、メロウで麦の味がしっかり伝わってくる
本来の意味での「ウィスキー」でした。

ウィスキーというと、クセの強さがウリだったり、シェリー熟
成を高級化の指標に使ったり、はたまたハイボールがなんとか
とか、オヤジの酒とか、素人がいろいろ言う雑音があるわけです
が、密造酒の物語で出てくる洞窟に隠した密造酒を飲んでみたら
熟成が進んでまろやかになっていた、というウィスキーの美味し
さはここにあるわけです。

それが、今や雑音の象徴のようになってしまったアイラモルトの
なかから本当の本物が静かに姿を現したことに感謝して、モルト
の会が始まりました。

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春のモルト会

2014-04-21 14:24:40 | グルメ

いつも仲良くさせていただいているDJ TOKYOさんにお声
掛けいただきまして、春のモルト会に参加してきました。

maltclub-spring01.jpg

今回は、フルーティなタイプを中心にアイラ島のモルトが多く、
前回よりもスペイサイドが少なくなりました。オーナー曰く
「好みが変わってきたかなあ」とのこと。

これだけのボトル数があるので、味の順番を考えて飲まないと
もし濃い味のあとで薄い味あるいは強力なパンチのあるあとで
マイルドなものを飲んだりすると、細かい味わいが分からなく
なってしまいます。

しかし美味しいことが分かっていると、酔ってしまわないよう
に気をつけなくてはいけないと思いながらも、ついつい多めに
注いでしまいまして、今回はすっかり飲みすぎてしまいました。

とはいえ、今回も十種類以上テイスティングしてきましたので、
これからノートをご披露させていただきます♪

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アイラ空港

2014-04-18 14:03:26 | グルメ
スコットランド・グラスゴーからプロペラ機で西へ1時間弱。
ISLAYと書いてアイラと読む島唯一の空港に着陸する。

islay-airport01.jpg

空港は島の西端にあり、海風を受けながらのランディングは
エキサイティングを通り越して若干恐怖でもある。

しかし、一度降り立って空港ビル(本当にビルか?笑)に入ると、
雰囲気は正反対で、穏やかで時間が止まったかのような村の
集会所の様子そのままだ。なんだ?ここはスーパー銭湯か?

islay-airport02.jpg

出掛けていく前に日本でいろいろ調べたら、島の面積は日本の
淡路島とほぼ同じ。交通手段は郵便配達を兼ねたバスだそうで、
一日1本だけ。

いざとなったらヒッチハイクでもするかな?と思えば、島の
人口より牛や羊の方が多いとの記述をみつけて、十勝の大地の
イメージが脳裏をよぎる。これは、何があっても素直にレンタ
カーを借りた方がよさそうだ。

そのレンタカー屋さんは、空港内に出店していた。といっても
カウンターだけ(笑)。名前を言ってライセンスを提示したら、
キミのクルマはこれだよ、といって案内してくれた。ポロの
5MT。十分十分。

5ナンバーのマニュアルなら楽勝楽勝と思うけど、そこは、
やはり勝手の違う外国だからとちょっと緊張する。

と思ったら、心配が必要だったのは公道に出るまでのわずか
20mだった。なにしろ目の前の道路は一直線。前にも後ろ
にもクルマは影一台も見られないのだから!

islay-airport03.jpg

どこから行こうか?と思いつつ、見学の予約を入れてある
ブルックラディに向かう。なんだ、無意識のうちに遠いところ
から攻めてたんじゃないか(笑)。

プリントした地図を見ながらドライブするけど、あまりにも道が
ないので、思わず通り過ぎたのではないか?と疑心暗鬼になる。
まだ多少テンパってるらしい。

走りながら深呼吸してから、落ち着いて周囲を見渡すと、何も
ないと思っていた土地がヘザーの草原だということに気がついた。

よくみると、ところどころがピートベッドになっていて、ピー
トの手掘りをしてクルマに積み込んでいる。

islay-airport04.jpg

クルマから降りて写真を1枚収め、改めて新鮮な空気を吸って
みると、ピートの炭臭い匂いが鼻腔から脳天まで突き抜けた。

そうだ、ここはアイラ島だったんだ。

そして、自分は確かにアイラ島に立っていたのだった。

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