マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

余市原酒の秘密が判明しました

2013-07-29 13:02:32 | グルメ

以前、余市20年原酒という表題でシングルカスクのことを
書きました。

そのときに、熟成年数10年と20年のウィスキーを比較して、

10年では、樽香 > ピート香 > エステル香 のところ、
20年になると、エステル香 > ピート香 > 樽香

に変化が認められ、+10年熟成でアルコール度は低下する
にも拘らず、エステル香が強く前面に出てきて、もうひとつ
より多く原酒に溶け込むであろう樽香の主張が弱くなっている
現象を不思議に感じて、「こういうのは、ブレンダーとか
工場の蒸溜長に聞かないと分からないこと。もしその原理が
分かったら、ブレンド技術に関して、色々とブレイクスルー
しそう」と書きました。

それで、先日いよいよそのチャンスに恵まれることになり
ましたので、メーカのプロのブレンダー(しかも当該メーカ!)
にお尋ねすることができましたので、ここで正解をご披露
させていただきます。

yoichigenshu-20yo.jpg

まず最初のエステル香については、エステルは水に溶け込む
成分であり、熟成年数の経過によって水分が蒸発して減ると、
溶け切れなくなったエステルが出てくるために濃く(強く)
感じるのだろう、とのこと。

素晴らしい。

もうひとつ、樽香については、これは単純に樽毎による個性
(製造的には誤差、ばらつき)の話なのだそうで、同じタイプの
原酒造りを目指して、同じようにオークの新樽を作っても、
ひと樽ずつ表れる熟成スピードの違いや樽成分の溶け込み量の
違いがあって、よく云われる「厳密には、ひと樽ひと樽味が
違います」という、まさにそれに当たったことだそうです。

ですから、今回の問題はシンプルですが奥行きの深いテーマを
湛えていて、熟成が進むにつれて変わる味の変化ということ、
同じように作っても樽ごとに味は異なるという味の違いと、
シングルカスクの味わいの本質に触れる出来事でありました。

となれば、原酒の秘密が判明したというタイトルも、あながち
大げさではないとご理解いただけるでしょうか。

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ブレンダー・トークライブ

2013-07-25 17:23:46 | グルメ

我らがブレンダーズ・バーで、ニッカのブレンダーが来店して
トークライブを行なうイベントが開かれましたので、喜んで
参加してきました。

blender-talk-live01.jpg

この企画は、今月2日にブレンダーズ・バーが開業9周年を
迎えたことで開かれたもので、普段とは趣向が違いました。

メーカのバーとはいえ、普段ブレンダーが来店するときは、
新製品の紹介やウィスキーセミナーといった啓蒙的プロモー
ションとなるのが通例ですけれども、今回はブレンダーの
お気に入りウイスキー、思い出のウイスキーの試飲がメイン
という、ちょっとプライベート色のある興味深い企画でした。

佐久間チーフブレンダーは、現代ニッカのキーモルトのひとつ
に育った、ノン・ピートの余市とノン・ピートの宮城峡を
ブレンドしたバッティング原酒を、綿貫主任ブレンダーは
ブラックニッカ・リッチブレンドの原酒を、それぞれノージ
ングしながら解説し、さながら普段ブレンダー室で行なわ
れている作業を再現するような、様々なキーワードが出て
くる楽しいテイスティングとなりました。

私が参加したのには、もうひとつ目的があり、もちろんウィ
スキーのブレンドに関して常日頃抱えている疑問質問を
プロにぶつけて解明しようというものです(笑)。

それこそ、束になるような数の質問を次々とぶつけてみました
ら、素人が製品に触れて感じる疑問と、ブレンダーが製品開発
にあたって意識していることとのあいだには、大きな距離が
あって、それぞれ一般的に使われている言葉は、非常に抽象的
であるということが判明しました。

それに加えて、自分のブレンドに関する質問を重ねていきました
ところ、酒質が違う原酒をブレンドする方法や、スタートの
ところから立ち位置が異なることなどを教えていただき、
「(あなたは)もう出来ているんじゃないですか」と言ってもら
えて有頂天。メーカのプロのブレンダーから、ブレンダー認定を
していただいてしまいました。

考えてみれば、素人があれこれ混ぜる場合、いわゆる経験だけ
でなく原酒に関する情報も絶対的に不足していて推測でスタート
していますので、まずはそこを掘り下げる必要があるということ
です。

その掘り下げ作業に多くの言葉を身につけたことは、理論+実践
の両面で、間違いなくワン・ステージ分ステップアップできた
素晴らしい経験となりました。

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笛吹郷1983

2013-07-24 16:31:59 | グルメ

先日麻布へ行ったときに、ふと寄り道したお店で見つけた
珍しいものです。

usuikyo1983.jpg

この珍しいボトルの正体は、山梨・笛吹市にあるモンデ酒造が
製造したモルト・ウィスキーで、購入店舗のボン・ルパさんが
樽買い瓶詰めしたプライベート・カスクです。1983年蒸溜
で25年熟成というので、かれこれ4年前に瓶詰めされたもの。

タグの説明をみると、次のようにあります。

「1983年から四季を重ねて秘蔵モルト樽から生(き)で味わ
うにふさわしい円熟モルトを吟味・厳選。酒齢25年の希少な
逸品です。洗練された甘い樽熟成香と穏やかなピートの香りの
絶妙なバランス。力強く重厚なコクと豊かな味わい、いつまで
も続くなめらかな余韻をお楽しみ下さい。

カスクストレングスとは、熟成のピークに達した時点で直接瓶
詰めした希少な原酒です。数量限定品。」

色をみると、シェリー樽熟成のようでしたので、念のため確認
したいと思い(私はシェリー樽熟成ウィスキーを好まないため)、
販売していた店舗のお兄さんに尋ねてみましたが、「さあ、
ちょっと分かりません」との弁。

シェリー樽でも他の樽でも、瓶詰め本数を逆算したくて(残在庫
数を把握するため)尋ねたのですが、4年前の瓶詰めと店員さん
の反応からすると、まだ多少は残っていそうです。

珍しいものがお好きな方は是非。

私はまだ飲んでいないですよ(笑)

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