マックいのまたのMalt Whisky Distillery

モルト好きで株式公開/上場(IPO)の経営戦略,マーケティング,M&Aを支援する経営コンサルタントのプライベートブログ

ブレンド失敗?

2013-06-04 14:00:44 | グルメ

私がブレンドするというときは、いくつかの対象が考えられる
のですが、今日はウィスキーです。

先日の夜に、ちょっとウィスキーが飲みたいなと思って、ニッカ
竹鶴12年を飲んでいました。


ニッカ 竹鶴12年 ピュアモルト

その日の気分か体調か、これが飲みたいというときには、これぞ
と思うのですが、この日は甘過ぎて途中で飲めなくなってしまい
ました。

ただ、ウィスキーそのものはもう少し飲みたかったので、別の
ウィスキーを足して味のバランスをとりたいと、近くにあった
江井ヶ嶋酒造のホワイトオークあかしを加えました。


ホワイトオーク あかし

そうすると、残念なことに両方のウィスキーは相性がよろしく
ないようで、悪いブレンドによくある味の焦点がボヤけただけ
ではなく、味が濁り苦味が出て、まったく飲めない別のウィス
キーになってしまいました。

もちろん、両ウィスキーの名誉のために書いておくと、両ウィ
スキーとも、単独で飲むとバランスよく美味しいウィスキーで
あり、たまたま両者をいい加減なバランスで混ぜた結果を捉え
ているだけの話です。

しかしながら、ここで発見したことがひとつありました。

竹鶴にあかしを混ぜる前、ブレンドしてみようと考えた動機は、
両ウィスキーともシェリー樽の原酒を一定割合使っていて、
味のベースになるウィスキーをシェアできるだろうと考えた
ことです。

それに加え、その日たまたま甘過ぎて感じた竹鶴に対し、甘さ
よりも新樽の尖った若さを感じさせてくれるあかしを加えれば、
甘さと尖った刺激が中和して、飲みやすいまろやかさを作り
だしてくれるのではないか?という期待と抱きました。

この2つの理由を受けての結果です。ですから、結果は美味しく
なかったことで失敗なのですが、失敗する組み合わせを見つけた
とエジソンのように考えれば、発見をしたのだと解釈することも
できます。

というのは、美味しいウィスキーを評して言う「まろやかさ」とは
ウィスキー全体の評価でよく出てくる「香り」「風味」「味」
「アルコール」などを、全体感を基準にブレンドして美味しさを
作るのではなく、「味」だけを切り取って部分感を基準にブレ
ンドして作り出すものだと判明したからです。

これが判明したということは、次回からのブレンド機会の際に、
意図に反するブレンド結果に対する選択肢を明確にできたという、
いわば引き出しを増やすことができ、ワザを磨いたことになり
ますので、ブレンダーとして一歩先に進むことができたと解釈
して良いのではないかと、少しだけ達成感をもっています。

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余市20年原酒

2013-06-03 15:00:57 | グルメ

北海道・余市蒸溜所のウィスキーが「飲みたい!」となった
ので、どれにしようか考えて、これにしました。

yoichigenshu-20yo.jpg

ラベルの印字では余市蒸溜所限定となっていますが、仙台に
ある宮城峡蒸溜所でも手に入るでしょう。もっと近くだと、
千葉・柏にある製樽・保存工場でも可能かもしれません(すみ
ません、行ったことがありません)。

ニッカの「原酒」と呼ばれるシングルカスク・シリーズは、
10年、15年、20年、25年の4種類があり、これらの
うち10年と20年はヘヴィーピートのホッグズヘッド新樽、
15年と25年はシェリー樽だと思われますので、本日の1本は
「ピートの効いた新樽モノ」20年熟成です。

ニッカの余市というウィスキーは、このピートの効いた新樽
モノが基本ですが、10年熟成と20年熟成とでは、ピートと
樽香とエステル香のバランスが大きく変わるのが特徴で、

10年では、樽香 > ピート香 > エステル香 (味覚含む)が、
20年では、エステル香 > ピート香 > 樽香 (味覚含む)に
変わります。

両者とも、オーク新樽のウッディでヴァニラな風味がボディの
骨格を作っているのは共通ですけれども、経年によるアルコー
ル度低下にもかかわらず、+10年の熟成で樽風味が後退し
エステル香が前面に出てくるのが興味深いです。

これは、熟成によって樽成分が減る?のか、アルコールが
強くなる?のか、アルコールとエステル香とは全く無関係?
なのか、人間が考える常識的な仮説と実際との大きな乖離が
熟成のひと言で片付けられているし、ロマンティックにいえ
ばマジックだと表現できるし、実際のところ説明が難しい
ポイントです。

こういうのは、ブレンダーとか工場の蒸溜長に聞かないと
分からないことですね。もしその原理が分かったら、ブレ
ンド技術に関して、色々とブレイクスルーしそうです。

個人的には、余市ならヘヴィピート×リフィルカスクの
20年熟成がいいなあ。

あ、間違いなく最高に美味しいですよ♪

感謝!