環境エネルギー視察2日目
今日は「核燃料サイクル工学研究所」と「三菱原子燃料」を訪問しました。
核燃料サイクル工学研究所
この施設は大きく軽水炉再処理技術の開発、プルトニウム燃料製造技術開発、
福島廃止措置へ向けた技術開発、放射性廃棄物処理、処分技術研究開発などを行っています。
福島原発の廃止処置などに向けた研究開発では汚水水処理で発生する2次廃棄物をはじめとした
固体廃棄物の性状把握、長期保管、廃棄物化及び処理に関する試験検討の実施や福島原発の事故で
生成したデブリの取り出し、安定保管、分析処置方策等の検討に反映するために模擬デブリなど作製し
その性状把握に関する試験検討を実施しています。
同施設の中には地層処分基盤研究施設があります。地層処理とは、原子力発電所の使用済み
燃料から有用なウランとプルトニウムを回収した後に残る高レベル放射性廃棄物はガラス固体化にして
30年から50年間程度地上で貯蔵した後、地下300メートル以深に処分することになっています。
この地下深い地層に埋設処分することを「地層処分」といいます。
ここでは高レベル放射性廃棄物を地層処分した場合に地下水に対するシステムの長期的な安全機能
(ガラス固化体と金属製の包蔵容器、年度充填層及び天然の地層を含めた「多重バリア」の働きや
性能を研究していました。
三菱原子燃料株式会社
代表取締役副社長執行役員の池内英男様からご挨拶と原子力燃料の現状やその製造過程等を
説明して頂きました。
三菱原子燃料株式会社では全国のPWR型原子力発電所に安全で高品質の原子燃料集合体を
提供しています。訪問した当日は原子力発電所の操業停止を受けて工場は稼働していませんでしたが、
それによって、ペレット製造や燃料集合体製造する現場を直に見学することが出来ました。
この施設では大きく次の4過程(再転換工程やペレット成形工程、燃料棒組立工程、燃料集合体組み立て工程)の
順番で製品化され出荷されます。
因みに、ペレット1つで4人家族の家庭半年から1年使用する電気量になるそうです。
出荷先 : 関西電力(美浜・高浜・大飯)、九州電力(玄海・川内)
四国電力(伊方)北海道電力(泊)、日本原子力発電(敦賀)
【総論】
『仮に候補地が決まった場合、すぐに地層処分ができる技術が日本では確立されているのか。
それとも、候補地が決まっても、地層処分するまでに技術的に数年かかるものか。』という質問を
日本原子力研究開発機構で行いました。すると「現段階では、技術は完全に確立しているとは
言い切れない」との回答でした。
廃棄物の搬入・埋設の遠隔操作技術、埋設後、安定した状態にあることを確認する技術、万一、
不具合があった時に回収する技術など、まだ残された課題があるそうです。
候補地を決めていく間に、このような技術開発を並行して行っていくことが不可避。
このような技術が一応確立した段階で候補地が決まったとして、処分事業者は、その候補地において
確実に処分ができることを示し、規制機関から安全審査を受ける必要がありますので、その段階でも
調査やデータ取得は必要であり、創業開始までに年月を要すると考えますというお答えでした。
資源の乏しい我が国において原子力発電の活用には安全対策とその処理対応が重要です。
放射性廃棄物の処理には10万年という途方もない月日が必要であり、その実現には数十年単位の時間と
膨大な実験検証が更に必要であるという事が分かりました。
将来日本の何処かでこの問題に結論を出さなくてはいけません。