この10日あまりは怒涛の日々だった。
休みをもらい、小さな車で母を施設に迎えに行き、退去手続きや荷物の片づけ(その数日前は母の体調が悪く救急搬送に付き添うなどのアクシデントもあり連日市内から市外を往復)。
母をS病院に入院させてから、介護保険でお世話になったサービス事業所へのお礼や転出転入の役所関係の手続き。入院の準備や病院での話し合いなどなど・・・。
入院先のS病院緩和ケア病棟。
ここは何かと費用がかかることで知られているが、医療スタッフの対応が迅速で温かく、母が療養するにはとても良い場所だと判断した。
緩和ケアというと、癌患者などをイメージするが、母のような老衰の人も対象となることを知り、救われる思いだった。
母の部屋は、ナースステーションから近い個室をお願いした。
部屋からは遠く山が見え、ベランダには美しい花が植えられている。
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最後の場所になるかもしれないのだから、出来るだけ快適な空間を整えてあげたい。
そのためには支払いが高くなっても仕方がないと覚悟を決めた。
食事は無理強いせず、好きなものを好きな時にとってもらいます、という看護師さんの言葉にも安心する。
そのおかげか、入院して以来、母は穏やかな表情だ。
食欲が出て、もう一度元気になるといいという思いと、これ以上無理やり長生きさせて本人は幸せなのかという思いが、交互に押し寄せてきて戸惑う。
いずれにしても人間の寿命。自然に任せて見守るほかないとは思う。
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