明日死ねたら楽なのにと夢見ていた。
その明日がついにやってきた。
なのに今になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている。
後悔じゃない、もっとやわらかい眩しい気持ちだ。
これを希望と呼ぶのはおかしいだろうか。
降ってくる光をにらみつけ、あたしは声を張り上げる。
もうすぐ海のほうから立ち上がるなにかが、あたしたちを飲みこもうとやってくる。それは今まで散々にあたしを照らし、めちゃくちゃにした神さまにも悪魔にも思える。
逃れようのないそれに怯えながら、どうしようもなく愛していたことに気づく。
だから、あたしは、それに向かってすべてを開け放つ。
一か月後に、小惑星が衝突して地球が滅びる・・・。大きすぎるテーマだけれど、荒唐無稽な話ではない。ここに登場するのは、理想の家庭から程遠いところで生きてきた5人。重たい荷物を背負いながら辛い日常をおくってきた。
避けられない滅亡のカウントダウンの日々。荒廃する世界。恐怖と悲しみの洪水。でも最後に彼らが手にしたものは闇ではなかった。
もし私なら?その日までをどう生きて、その瞬間をどう迎えるだろうか。
読み終わってもずっと考え続けている。