どこにも見えない鯉のぼり
今日はこどもの日である。以前は5月5日が近づくと鯉のぼりが見られた。でもこの数年我が家のまわりでは見られない。マンションのベランダに見かけたが泳がない鯉たち。子供も見かけない。わたしの町はシルバータウンだ。35年連続で子供は減少していると、朝刊の記事も淋しい。現在、日本の15歳未満の子供は1605万人。少子化の影響で年齢が低いほど少ない。男子のほうが女子より若干多い。総人口に占める子供の割合も12.6%。
子どもよ、子どもよ 松井多絵子
あかねさす日高内科を素通りし五歳にもどりたく公園へ
滑る子を待つすべり台のスロープの急なる傾斜を微風がすべる
跳ねる子も転ぶ子もいない公園の幼女はママとお手々つないで
アザラシの母がその子と暮らすのは生後半月そして別れる
寄りゆけば我を見上げる蕾蓮そんな感じだ見知らぬ少女
のぼったことないけど富士山好きなボク、のぼったことがないからでしょう
ボクたちの富士山の高さはアバウトで二千、三千、五千メートル
海よりも山の好きな子二人いてあとの一人は「どっちでもいい」
公園のジャングルジムに上る子と上る子を見上げる男の子一人
その頬にえくぼのある子に会えぬまま我は若葉の公園を去る
☀ 窓には光が満ちあふれ、今日が黄金休暇最後の日 ☀
5月5日 松井多絵子