・・・ 『エフーディ』を愉しむ
昨日頂いた✿『エフーディ』vo1.2<隠しキリシタン>編の頁を繰りながら「あゝ五月だ」と思う。いま日本の文芸界で活躍している八人の合唱『エフーディ』は。短歌と俳句の秘密結社かも、という人もいる。作家の三浦しをんも短歌、俳句、エッセイ等を発表している。6人の俳句を1人2句のみ抄出。まず読売新聞「KODOMO俳句」選者・高柳克弘から、、。
♥ 高柳克弘
大いなる旅の始めの鰻飯
をみならの分け合ふ秋のアイスかな
♥ 石川美南
芒もて両手を縛る遊びかな
仲秋やバチカン大使来て帰る
♥ 東直子
空井戸の観音像や鵯(ひよ)の声
ゆうらりと風をゆるして松虫草
♥ 平岡直子
紅葉あり日付変更線あらず
椎茸があなたの舌を噛みました
♥ 三浦しをん
牛糞の香に息とめて風の色
かげろうの死骸は十字架の形
♥ 平田俊子
人間はだあれもいない冬の城
絵を踏めば助かる命冬菫
※ 以上六人の俳句は、私の好きな句を一人約十句の中から選ばせていただきました。川野里子と小島なおは俳句はなく詩やエッセイなので、短歌のなかからそれぞれ2首を。
♥ 川野里子
蓮根町どのトンネルも風かよひここに育ちぬ燕のやうに
走つても走つても逃げる白狐とほくゐるなり岡城登る
♥ 小島なお
風吹けば土が匂うよ穂芒の実りのなかの豊後街道
穂芒は柔く重たき死者の腕 此方(こちら)参れと手招いている
※ 8名の作家、歌人、俳人の✿『エフーディ』の作品のほんの一部をご紹介しました。今後も書かせていただくつもりです。 5月20日 松井多絵子