えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

ようこそ☀オバマ

2016-05-23 09:27:04 | 歌う

             ・・・ ようこそ☀オバマ ・・・

 オバマ米大統領はベトナムと日本歴訪に出発、世界初の原子爆弾被災地である広島
を、現職のアメリカの大統領として初めて訪問することになる。毎日のようにテレビでオバマを見ているので私の親しい人が日本に来るような気がする。

 

                ようこそ☀オバマ 十首    松井多絵子

      左右とも指紋をとられいて気づくこのグアム島は米国なのだ

      なんとなくオバマに似ている何ゆえにグアムに来たかと問う審査官

      終戦を知らずに日本兵ひとり隠れし穴へのツアーは百ドル

      そこかしこ戦いの傷跡ありながらグアムとう島は厚き化粧を

      ハンバーガーを買うとき思うアメリカという国もしもなかったならば

      アメリカが鼻かぜひけばニッポンは肺炎になるらし大寒が来る

      べラフォンテのさくらの歌が聞こえ来る島田修二の御歌とともに

      竹林を上りてゆけば銅像の吉田茂がどんと佇む

      銅像はわれを見下ろし大磯の海を太平洋を見渡す

      アメリカと日本をへだて地球儀のライトブルーの海はなめらか

                                                          

                       5月23日  松井多絵子


~東直子の風~

2016-05-22 09:32:02 | 歌う

             ~ 東直子の風 ~

 私の知る東直子は歌人である、が小説家でもあり脚本家でもあるらしい。5月1日発行された♦『エフーディ』には短歌、エッセイ、俳句、詩も。そのなかの{詩}をとりあげてみる。

              風のフレーバー  東直子

          風を案内する人がいるのだ
          わたしたちは風の人についていく
          草が生い茂る、広くてうつくしい丘には
          いつも気持ちのよい風がふいている
          風を浴びながら自慢の風を存分に語ってもらう

          ありゃあ、
          だったか
          ううむ、
          だったか
          二年に一度の、まあなんという日だ
          わたしたちは、そのフレーバーの意味を知る

          さて昨日はまいったばっかりだな

 ※ この詩はまだまだ続く。この後に60行余も。此処まで短歌なら12首を掲載できる。   詩の頁は空白が多い。この空白は読者に与えられている。でもこの贅沢な白い空間を私は有効に使えない。東直子がこの詩を書いたのは昨年の秋のはじめ、晴天の大分県久住高原、そこで風を味わっているらしい。風は目に見えない、草木や髪、服の揺れで風を知ったり、窓を打つ音で感じたり、もし風が吹かなかったら、短歌も俳句もほとんどできないのではないか。東直子は「ありゃあ」「ううむ」など短歌では詠みにくい言葉を詩のなかに入れている、神話の高原を歩きながら食べる微風は甘さ控えめのババロアの味だろうか。

          ♥ ゆうらりと風をゆるして松虫草

      この句は『エフーディ』のなかの東直子の俳句である。、

                 5月27日 松井多絵子


駅をテーマにした短歌 ③

2016-05-21 09:24:38 | 歌う

             駅をテーマにした短歌 ③

 この4月の或る日、私は地下鉄の駅で知人に呼び止められた。以前、歌会で何度か会った女性、でも彼女は私と違う方面のホームへ行くため急いでいた。もし新宿御苑のさくらを見ている時に彼女と出会ったら、いろいろ語り合えただろうに。私が知人などに出会うのは駅が多い。大勢の人の通過する駅は出会いの確率が高い。同名短歌ユニット誌♦『太朗』の「駅」をテーマにした投稿歌から「会う」の詠まれた作品を取り上げてみる。

♥ 「パパに会うの!」一際高く金の声淡いグレーの駅のホームに  安西大樹

 単身赴任か、長期出張か、パパを出迎えに来たらしい子共の声が光るように響く。駅のホームを淡いグレーに、子のはしゃぐ声を金色に、視覚で捉えたイキイキした一首である。

♥ あの人に一目会いたい通過駅四股を踏んでる乙女の気迫   高木啓

 会いたい人がいるのは急行の止まらない駅なのか。テンションの高い恋の歌だ。

♥ きっときみにいつかラスボスとして逢う。PASMOはずっと貸しておこうね。

                                          山中千太朗、、

 「僕はいづれ君のボスになるよ」という意味なのか。逞しいのか厚かましいのか千太朗は。

♥ お別れと出会いの数を書き留めて駅長は今日も駅を育てる  (田中ましろ)

 地方の小さな駅の初老の駅長さんが手帳にメモしている、そんなドラマのシーンが広がる
この駅が「湯河原」だったら、美しくないドラマになるかもしれない。

 投稿歌「駅」には「会う」より「別れ」の歌が多い。会うは別れの始めか。「待つ」もかなりある。「待つ」ために生まれたのか私たちは。千年も前から「待つ」は詠まれ続けている。

                      5月21日  松井多絵子

 


『エフーディ』を愉しむ

2016-05-20 09:23:34 | 歌う

            ・・・ 『エフーディ』を愉しむ 

 昨日頂いた✿『エフーディ』vo1.2<隠しキリシタン>編の頁を繰りながら「あゝ五月だ」と思う。いま日本の文芸界で活躍している八人の合唱『エフーディ』は。短歌と俳句の秘密結社かも、という人もいる。作家の三浦しをんも短歌、俳句、エッセイ等を発表している。6人の俳句を1人2句のみ抄出。まず読売新聞「KODOMO俳句」選者・高柳克弘から、、。

       ♥ 高柳克弘

           大いなる旅の始めの鰻飯 

           をみならの分け合ふ秋のアイスかな

       ♥ 石川美南

           芒もて両手を縛る遊びかな

           仲秋やバチカン大使来て帰る

       ♥ 東直子

           空井戸の観音像や鵯(ひよ)の声

           ゆうらりと風をゆるして松虫草

       ♥ 平岡直子

           紅葉あり日付変更線あらず 

           椎茸があなたの舌を噛みました

       ♥ 三浦しをん

           牛糞の香に息とめて風の色 

           かげろうの死骸は十字架の形

       ♥ 平田俊子

           人間はだあれもいない冬の城

           絵を踏めば助かる命冬菫

 ※ 以上六人の俳句は、私の好きな句を一人約十句の中から選ばせていただきました。川野里子と小島なおは俳句はなく詩やエッセイなので、短歌のなかからそれぞれ2首を。

  ♥ 川野里子 

      蓮根町どのトンネルも風かよひここに育ちぬ燕のやうに

      走つても走つても逃げる白狐とほくゐるなり岡城登る

  ♥ 小島なお                                                  

       風吹けば土が匂うよ穂芒の実りのなかの豊後街道

       穂芒は柔く重たき死者の腕 此方(こちら)参れと手招いている

 

 ※ 8名の作家、歌人、俳人の✿『エフーディ』の作品のほんの一部をご紹介しました。今後も書かせていただくつもりです。   5月20日   松井多絵子       


夢に切符が、改札が

2016-05-19 09:30:35 | 歌う

            ・・・ 夢に切符が、改札が ・・・

 5月10日と14日、このブログで「駅をテーマにした歌」について書いた。書きながら切符という小さな紙切れ、改札という狭い場所が大きな景になる短歌の力を感じる。✿穂村弘著『短歌ください』 にも切符や改札が詠まれた歌が何首もある。次のようなコワイ歌も。

♦ 自動改札機に挟まれ死ぬ夢を見た日の切符に異国の文字が  (やましろひでゆき)

 この作品に穂村弘は次のようなコメントを。 「胸騒ぎのするような 「夢」 から覚めて、現実の駅で「切符」を買ったらそこに異国の文字が、という二段のオチの歌として読みました。
<私>はあのとき本当に一度死んでいたのかもしれません。

 やましろひでゆき氏の1首に穂村弘氏のコメントが加わると、この歌から小説がはじまりそうな気配がする。いつからか自動改札に慣れてしまったが、不思議な機械である。人間は人間が造った機械のおかげで快適に過ごしている。しかし近い将来。私たちは機械に支配され、機械から逃げ出したくなるのではないか。人間よりも優れた知能を持つロボットの活躍が騒がれている。そのロボットが更に優れた知能を造るとしたらコワイ、その知能が故障したらさらにコワイ。

 公園の自販機にお金を入れても出て来ないことがあった。5年位前、旅先の町はずれの飲み物の自動販売機に120円入れたがお茶のボトルが出て来ない。百円硬貨1個と10円玉2個も返却されないまま。やはり旅先で自販機に500円のコインを入れたのに飲み物も出ず、コインも返却されなかった人もいた。3年ほど前の旅先でのこと。

 優秀な某知事の頭脳といえども信じられず、機械も信じられなくなったら、何を信じて何に頼ればいいのだろうか、とにかく私はボケるわけにはいかない。認知症の予防は歩くことらしい。晴天より少し曇ったほうが歩きやすいのに。 今日はよく晴れた日。

                     5月19日  松井多絵子