サムエル記下13章
15節「そして、アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった」(新共同訳)
1節「その後、こういうことがあった。ダビデの子アブサロムにタマルという美しい妹がいた。ダビデの子アムノンはタマルを愛していた」。小見出し「アムノンとタマル」。ダビデの息子については3章2~5節に出ている。アムノンは王位継承者であった(3章2節)。彼が異母姉妹タマルを恋慕し身の細る思いをしている時、従兄弟ヨナダブから事情を聞かれた(2~4節)。ヨナダブは、偽装工作で願望を充たすという策略でアムノンを唆した。それは仮病をつかって王と恋慕しているタマルをだまし、彼女を目の前で料理させ、手づから食べる、その時情交を果たすというのである(5~6節)。事はうまく運び、タマルはレビボット(「心」という菓子)二つ作り、傍にいた者を皆出て行かせたアムノンの部屋に運んだ時、「わたしと寝てくれ」と言って拒む彼女を力ずくで辱めた(7~14節)。この時タマルは冷静にアムノンに許されないことだと抗議している。親近相姦はイスラエルの律法の禁止令である(レビ記18章9、11節、20章17節、申命記27章22節)。日本の民法でも同じである。王に話せば拒まないであろう(13節)から、11章であったバト・シェバ事件で親族に与えた倫理的規範性の問題を読み取ることができる。
15節「そして、アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった。アムノンは彼女に言った。『立て。出て行け』」。何故激しい憎しみを起こしタマルを追い出したのか不明だが、我が侭で未成熟、無責任な王子として描かれる。憎愛は紙一重というのがある。アムノンの従者によって追い出されたタマルは灰を頭にかぶり、未婚の王女の上着を引裂き、手を頭に当てて嘆きを叫びながら歩いて行った(16~19節)。このことでアブサロムはアムノンを憎悪した。これに王ダビデは激しく怒ったが、断罪しない優柔不断(盲目的寛容)の態度が、更に悪い結果を招いた(20~22節)。
23節「それから二年たった。エフライムに接するバアル・ハツォルにアブサロムの羊の毛を刈る者が集まった。アブサロムは王子全員を招待し~」小見出し「アブサロムの復讐」。王のもとに行って、家臣を率いてお出かけくださいと言ったが、重荷になってはいけないと断りの理由をのべたが、更にアブサロムは懇願してアムノンの同行を求めたので一緒に出かせた(26~28節)。酒で上機嫌になったアムノンは従者に命じられていた通り、殺された。他の王子らは全員逃げたが、帰り着かないうちに一人残らず打ち殺されたという知らせがダビデのもとに届いた。これを聞いた王は立ち上がると、衣を裂き、地面に身を投げ出した。家臣たちも皆、衣を裂いて傍らに立った(29~31節)。ここで再び「悪賢い」(3節・新改訳)ヨナダブは、若い王子たちが皆殺しになったのではなく、殺されたのはアムノン一人で、アブサロムが予ねてより決めていたのだと伝えた(32節)。
34節「アブサロムは逃亡した。見張りの若者が目を上げて眺めると、大勢の人が山腹のホロナイムの道をやって来るのが見えた」。「御覧下さい、僕が申し上げた通りです」とヨナダブが言い終えた時、王子たちが到着した。彼らは声をあげて泣き、王も家臣もみな、激しく泣いた(36節)。ダビデはアムノンを悼み続けた。アブサロムはゲシュルに逃げ三年間そこにいた。やがてアムノンを諦めた王の心はアブサロムを求めていた(37~39節)。ここで王位継承について神の聖意を求めない王ダビデの揺れ動く人間性が問われるであろう。ヤコブ1章15節「欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます」が示される。
15節「そして、アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった」(新共同訳)
1節「その後、こういうことがあった。ダビデの子アブサロムにタマルという美しい妹がいた。ダビデの子アムノンはタマルを愛していた」。小見出し「アムノンとタマル」。ダビデの息子については3章2~5節に出ている。アムノンは王位継承者であった(3章2節)。彼が異母姉妹タマルを恋慕し身の細る思いをしている時、従兄弟ヨナダブから事情を聞かれた(2~4節)。ヨナダブは、偽装工作で願望を充たすという策略でアムノンを唆した。それは仮病をつかって王と恋慕しているタマルをだまし、彼女を目の前で料理させ、手づから食べる、その時情交を果たすというのである(5~6節)。事はうまく運び、タマルはレビボット(「心」という菓子)二つ作り、傍にいた者を皆出て行かせたアムノンの部屋に運んだ時、「わたしと寝てくれ」と言って拒む彼女を力ずくで辱めた(7~14節)。この時タマルは冷静にアムノンに許されないことだと抗議している。親近相姦はイスラエルの律法の禁止令である(レビ記18章9、11節、20章17節、申命記27章22節)。日本の民法でも同じである。王に話せば拒まないであろう(13節)から、11章であったバト・シェバ事件で親族に与えた倫理的規範性の問題を読み取ることができる。
15節「そして、アムノンは激しい憎しみを彼女に覚えた。その憎しみは、彼女を愛したその愛よりも激しかった。アムノンは彼女に言った。『立て。出て行け』」。何故激しい憎しみを起こしタマルを追い出したのか不明だが、我が侭で未成熟、無責任な王子として描かれる。憎愛は紙一重というのがある。アムノンの従者によって追い出されたタマルは灰を頭にかぶり、未婚の王女の上着を引裂き、手を頭に当てて嘆きを叫びながら歩いて行った(16~19節)。このことでアブサロムはアムノンを憎悪した。これに王ダビデは激しく怒ったが、断罪しない優柔不断(盲目的寛容)の態度が、更に悪い結果を招いた(20~22節)。
23節「それから二年たった。エフライムに接するバアル・ハツォルにアブサロムの羊の毛を刈る者が集まった。アブサロムは王子全員を招待し~」小見出し「アブサロムの復讐」。王のもとに行って、家臣を率いてお出かけくださいと言ったが、重荷になってはいけないと断りの理由をのべたが、更にアブサロムは懇願してアムノンの同行を求めたので一緒に出かせた(26~28節)。酒で上機嫌になったアムノンは従者に命じられていた通り、殺された。他の王子らは全員逃げたが、帰り着かないうちに一人残らず打ち殺されたという知らせがダビデのもとに届いた。これを聞いた王は立ち上がると、衣を裂き、地面に身を投げ出した。家臣たちも皆、衣を裂いて傍らに立った(29~31節)。ここで再び「悪賢い」(3節・新改訳)ヨナダブは、若い王子たちが皆殺しになったのではなく、殺されたのはアムノン一人で、アブサロムが予ねてより決めていたのだと伝えた(32節)。
34節「アブサロムは逃亡した。見張りの若者が目を上げて眺めると、大勢の人が山腹のホロナイムの道をやって来るのが見えた」。「御覧下さい、僕が申し上げた通りです」とヨナダブが言い終えた時、王子たちが到着した。彼らは声をあげて泣き、王も家臣もみな、激しく泣いた(36節)。ダビデはアムノンを悼み続けた。アブサロムはゲシュルに逃げ三年間そこにいた。やがてアムノンを諦めた王の心はアブサロムを求めていた(37~39節)。ここで王位継承について神の聖意を求めない王ダビデの揺れ動く人間性が問われるであろう。ヤコブ1章15節「欲望ははらんで罪を生み、罪が熟して死を生みます」が示される。