日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

密林の餌食になった者

2018-05-25 | Weblog
 サムエル記下18章 

 8節「戦いはその地の全面に広がり、その日密林の餌食になった者は剣が餌食にした者よりも多かった」(新共同訳)

  1節「ダビデは彼に従う兵を調べ、千人隊の長と百人隊の長を任命した」。迎え撃つダビデは続いて、マハナイムで食料を調達してきた傭兵の指導者三人(17章27節)を千人隊長、百人隊長に任命し、更に戦列に加わる部隊を三つに編成し、司令官にヨアブ、アビシャイ、ガド陣イタイを立てた(2節)。兵士たちの進言で、ダビデは前戦でなく後方支援に徹することになる(3節)。町の城門の傍らに立ち、王はヨアブ、アビシャイ、イタイに若者アブサロムを手荒には扱わないでくれと命じた。この指示が将軍たちに伝えられたことを兵士らはみな聞いたのである(4~5節)。
  6節「兵士たちはイスラエル軍と戦うために野に出て行った。戦いはエフライムの森で起こり~」小見出し「戦闘とアブサロムの死」。戦場は、密林地帯でイスラエル軍は、ダビデの家臣に敗れ、大敗北で、その日に二万人を失った。戦いはその地の全面に広がり「密林の餌食になった者」(口語訳「森の滅ぼした者」)は剣で死んだ者より多かった(7~8節)。「樹海」を想像させる。ダビデの戦略だったのか。2~3節にあるように組織的攻撃でなければ戦えない状況が伺える。そのような中で、騾馬(らば)に乗っていたイスラエル軍の総司令官アブサロムが茂る樫の蜜林に迷い込んで遭った災難が、勝敗を決する出来事になってしまう(9節)。
 10節「兵の一人がこれを見て、ヨアブに知らせた。「アブサロムが樫の木に宙づりになっているのを見ました」。イスラエル軍は大敗し、陣頭指揮を取っていたアブサロムの頭髪が樫の大木に懸かり、宙づりになって動けなくなった。自慢の頭髪(14章26節)が邪魔した。これを目撃した兵士は司令官ヨアブに報告した。ダビデの告げた言葉(5節)を知っていたので、だれも彼を殺すことが出来なかった。その兵士は手のひらに銀千枚の重みを感じるとしても、手にかけることはできませんとヨアブに言っている(12節)。まだ宙づりで生きていたアブサロムの心臓をヨアブは突き刺し、10人の兵卒がとどめを刺すという残忍な殺害方法が14~17節に記される。10人の兵卒が加担したのは、ダビデの禁制を解く意味があった。ヨアブの人物像は、3章26~30節(和解工作をしようとしたアブネルを殺害)、14章21~24節(アブサロムを逃亡先から連れ戻す)などから伺える。ダビデの片腕的存在であるが、この後にも色々な問題となる。
  19節「ツァドクの子アヒマアツは言った。『走って行って、主が王を敵の手から救ってくださったという良い知らせを王に伝えます』」。アヒマアツは17章15~21節に出ている秘密連絡員であった人物だが、ここで戦勝連絡員として志願した。ヨアブはダビデの心情を察知していたので、彼の激怒に巻き込まれるのを避けて、クシュ人を伝令に選んだ。しかしこの二人は競争して城門の間に坐っているダビデももとに走った(20~23節)。見張りは順次走ってくる様子を王に伝えると「良い知らせだろう」と二度も言っている。早く着いたのがアヒマアツだと知ると王は「良い男だ。良い知らなので来たのだろう」と言った(24~27節)。これは事実を知ることになるダビデの予期しない知らせに驚愕する心情を強調させる。アブサロムの予想もしない最期が、ダビデとアブサロム対戦の結末であった。しかし二万人の戦死と共に、指揮官ヨアブの取った刺殺は最悪の悲劇となった。新改訳、口語訳その他の翻訳では、33節があり、ダビデがアブサロムの死を激しく嘆く場面を続けている。ここでダビデの異常なまでの心情を伝えている。
戦争は何時の時代でも神の聖意に沿うものではないから。ローマ3章15~17節(イザヤ59章7~8節引用)。