植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

日々すこしだけ成長すればよし では足りないか

2022年05月24日 | 篆刻
ヤフオクはこのところ全敗で、一つも落札出来ておりません。真正の田黄石や、中国の著名な書家さんの篆刻印などに狙いをつけて入札しているせいです。美術商・蒐集家が目につける逸品になると、夜10時前後に高値更新が相次ぎ、もはやワタシは起きていられないので、途中でギブアップして就寝いたします。朝目覚めると、ワタシが最初の頃に札を入れて、瞬間的には最高値になった金額の5~10倍の落札価格で終了か、あるいは出品者側の都合による「出品取り消し」で終わっております。自分の一件当たりの上限としている1万円、時には意を決して2万円以上の札を入れることもありますが、案ずるまでも無く10万円前後で落札されています。

恐らく、ヤフオクを2,3年書道専門で落札しているうち、ワタシもだんだんと見る目が出来てきて、値打ちものかどうかは分かるようになっているのです。だいぶ授業料を払い、数千もの印材を集め、1000個ほど彫りました。その分、他の専門家同様に骨董価値や希少価値のある銘品に目が行くのですが、ヒートアップして入札合戦に参戦するリスクは避けたい、その前に眠気に勝てない、予算も乏しいために、幸か不幸か高額物品に手を出さずに済んでいるのであります。

お宝が欲しくても落札出来ないのは、ワタシの仕事場に無駄に物品を増やしお金を失うことを回避したことになるので、入手できなくてもそれでいいのです。

さて、相変わらず徐三庚さんの印譜集にある200以上の印影を残さず摸刻しております。だいたい80%ほど終わりました。徐三庚は100年ちょっと前の中国の名高い篆刻家ですが、技巧的・装飾的な技法がやや芸術的に劣るなどといって、呉昌碩・鄧石如・趙之謙さんなどより下に見られることもあるようです。

しかし、卓越した細密な刀法、独自の修辞法とも言えるような章法が、伝統的で閉鎖的な書芸の世界では嫉妬され、疎まれたのではないかと思います。なので、趙之謙・呉熙載 さんの摸刻を一通り終えて、その精緻な技法を学ぼうと思っております。

全く先生に付かず我流独習なので、正解か上達の近道かはわかりません。しかしながら、自分が以前彫ったものと見比べれば違いは歴然で、かつての稚拙な彫り、雑な出来栄えを恥ずかしく思います。ヤフオク同様篆刻印を観る時の技術や美しさを測る基準が、少しづつ上がって目が肥えてきているのでしょうか。

ここのところで制作したものであります。徐三庚は「朱文(陽刻)」を得意としています。勿論陰刻も比類ない腕前なのです。ワタシは以前は字の部分だけを彫る白文が楽でいい、と思っておりました。字の部分だけを残して周りを彫る陽刻より、はるかに短時間で簡単であったのです。

しかし最近、一巡してみると簡単に思えた白文が、とても奥深くわずかな彫りミスも許さないのだ、ということに気づきました。彫っていく線の太さを出来るだけ均等にし、縦線横線が並行に等間隔に走る、完全な直線では無く緩やかな曲線であったり、わずかに凸凹をつけるといった細かな抑揚を表すテクニックが必要なのです。

篆刻に本格的に取り組んで1年半、印の出来栄えや完成度は素人同然であります。プロになるような篆刻家さんは、一流の師に学び、十年二十年と研鑽を積んで一人前になるそうな。してみると、人の倍以上、相当頑張らねばそんなレベルに達し得ません。少しだけの成長で満足しているようでは、先にこちらがお陀仏になってしまいます。

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