植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

弘法さんだって書き間違うのだもの

2020年04月07日 | 書道
相変わらず下手な字を書いてはため息であります。
お習字というものは上達して、いっぱしの書道家や指導者になるのはごく少数、その下にマチュアの有段の上級者さんが山ほどいるのです。そういう方は(想像ですが)書けばたちどころに、ほとんど思うように書けるのでしょう。少なくとも素人から見て、「おー達筆!!」と声を出すような書をさっと書くのだと思います。

 その点、ワタシらレベルだと、ちょっと納得できる程度(おっ、上達したかなと思える位)の出来は、大体3,4日に1枚ですね。半紙100枚に一枚くらいでしょうか。一時間程度稽古して、ちょっと筆が乗ってきたなと思ったら、とっておきの手漉き半紙を使うというのがコツ、それでも満足がいくわけではありません。

 そんな習字の練習の中、もっとも重要な作業が、書き終わった後の筆の掃除とお手入れであります。どんな高級な筆でもきちんと洗わないと数か月でダメになるのです。空海さんあたりだと知りませんが、ヘボから高段者共通だと思いますな。

 ちょっとお習字をやった人ならピンときます。筆が割れるのです。穂の根元に洗い残しの墨が付き固まり、更に、その上に墨が付着するを繰り返すと、段々根元が膨らんできます。髪の毛ならナントカ増毛法ですな。すると、たっぷり墨を含んだ時には穂先まで揃っても、何文字か書き進んでいくと、穂先がばらけてまとまらなくなります。こうなると、字になりません。もっと根元に墨が固まってくると墨継して、穂先を均しても、その根元は割れたままになります。そんな筆で書くと「わーっ、いやー」と声が出ます。きちんと、手入れをすれば、何十年も使えるのだそうです。

 ですから、使うたびに徹底的に根元まで墨を落とすのが肝要です。古い書道の指導書やらネットやらで、洗い方が書かれていますが、なかなか容易ではないのです。ある人は、ひたすらそっと筆を指でもんで黒い汁が出なくなるまで水で洗いなさいとおっしゃいます。お湯の方が断然綺麗に落ちるのですが、筆の毛をまとめている膠が落ちて抜け毛が増えるというのです。大体は、筆を長持ちさせることに力点を置いているようです。汚れがひどい時だけ、石鹸を使え、とか流水はダメとか、筆洗いに根元を押し付けない、などと注文が多いですね。

 ワタシの師事する藤原先生から教わったのは、「筆は、髪の毛と同じ、シャンプーとリンスを使って丁寧に洗ってね」。シャンプーで3,4回揉み洗いしたら、すすいで」リンスすると、汚れを落として最後に毛の表面に栄養を与えてコーティングするのでサラサラになります。
 実際、筆を傷めないように優しく揉んで洗っていると、いつまでたっても黒い墨が染み出てきます。昔の偉い書家センセイなら、お弟子さんに「水で手洗いせい!」とか言って一時間も筆洗いさせるのでしょう(あくまで想像ですが)
 
 そんな暇はありません。体温程度のお湯で洗い、シャンプーをつけ、柄をしっかりと持って、穂の根元をぐりぐり回して洗います。どんどん黒い墨が出てきます。これを繰り返すと相当短時間できれいになります。この方式になってから、穂先や筆のが割れる筆が傷むのかどうかは現時点では不明ですが、いいんです、ヤフオクでいっぱいありますから万一傷んでも替えがきくのです。だんだん、筆の寿命を考えるよりコッチの寿命を逆算して、時間惜しみをいたします。

なにしろメンテナンスが大事。手入れがちゃんとしていれば、少なくとも自分の実力は発揮できます。

 ここで、勘違いがあります。小筆、つまり仮名書き用の筆は全く手入れの方法が異なるのです。小筆は、中筆・大筆と違って根元まで糊を落として下ろすことはいたしません。穂先の数ミリのみを使って、繊細な字を書くのです。先生によれば、小筆は消耗品で、一晩で使えなくなることもあると言います。命毛がすり減ったらおしまいなのです。凄いです「一晩」!、、、夜中に書いてるんだぁ

 それなので、ティッシュペーパーを湿らせて、そっと筆先の墨を拭うというのがお手入れ、非常に簡単なのです。ワタシは知らないもんだから、ざーっと水洗いし、小筆全体がいっぺんに根元までサラサラになり、仮名書きには使えなくなりました。

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