4日前に懸案であった「ジベレリン処理第一回目」を実施しました。突発の旅行やアクシデントによって、この作業が出来ずいささか遅くなっていました。
手間がかかるブドウ栽培には欠かせない、最も重要な作業であります。
通常、果実に限らず開花した植物は受粉によって結実します。種子植物にとっては子孫を残すためには必須であります。ほとんどの植物はおしべとめしべが同じ花・個体に付くのですが、中には雄木と雌木別々のもの、あるいは雄花と雌花と分かれて咲く植物もあります。子房の先にある雌蕊に雄花(雄蕊)の花粉が付着することによって合体!ならぬ受粉をし、植物はそこではじめて栄養を送って大きく実を育てることになります。実を大きくするということは受粉によってできた「核」を育てて将来の種を形成するのです。
受粉できなければ当然子房は花ごと枯れ落ちてしまいます。そこに登場したのが「ジベレリン」であります。この薬剤は、植物に受粉した、と勘違いさせる効能があります。いわば想像妊娠でありますな。このジベレリンに浸された子房は、受粉したものとして植物は大きく育てるためにせっせと養分を送ります。しかし受粉しなければ核は生じない「無核化」になり、これが種なしの果実となるのです。
更に、ジベレリンはもう一つ大事な役目があります。それは栄養剤・ホルモン剤として果実の肥大化促進効果であります。人間で言うなら「ユンケル」をもっと強くしたようなものであります。これでお父さんは元気になる(かもしれません)が、ジベレリンを塗ったブドウは、通常より大きく育つ(果粒肥大化)のであります。勿論ジベレリンを人間が飲んではなりません笑。
道具はこれ
左の容器は大型のもので、人気のシャインマスカットなどには大きすぎます。粉末を25~50PPMに希釈して使います。だいたい一袋(小袋1.5g=ジベレリンは50㎎含有)ならば1Lくらいというところですが、難点は作り置きが出来ないこと。いったん水溶液にしたら半日ほどで分解して効能が無くなるようです。上のカップは300㎖入りなので、小袋3回に使えます。
ワタシのブドウ栽培のメインは「甲斐路」であります。豊産性で粒も大きく甘くなりますが、「雨に弱く」雨ざらしになると病気になり、ブドウ自体はすべて腐ってしまいます。ハウスや屋根付きの棚にしなければ収穫は見込めません。処理前はこんな状態で、これを先から10㎝ほど残して切り取ります。ワタシは基本ずぼら農法なので、ジベレリン水溶液に浸しながら房作りで元側の数本の蕾をカットしております(笑)
今朝の様子はこんな感じで、あきらかにぷっくり大きく膨らんできました。
これに、保険として育てているのが「藤稔」と「黄玉」であります。ワタシのブドウ栽培は、初代が「シャインマスカット」二代目が「ロザリオビアンコ」というマスカット系・欧州系のブドウでありました。しかし、粗末なビニール屋根では雨風が防ぎきれず病気になり、だんだん弱って実がつかなくなりました。
「甲斐路」も欧州系なので、雨は厳禁、今のところはなんとか直接雨が当たらないようにしているので毎年元気に育っておりますが、いつ具合が悪くなるかわからないので、もしもに備えて「黄玉」を大きな鉢で栽培し、雨には比較的強い(はず)の黒紫色雑種「藤稔」をシャインマスカットの後釜に、地植え露地栽培を始めているのです。
これが藤稔一房だけ花がついておりました
あと2週間もしたらもう一度ジベレリン処理をいたします。開花が遅くやりそこなったものの無核化と、肥粒促進のためであります。
そこで、ジベレリン処理が終わって、まだ7割がたの溶液が残るのです。前述のように明日には使えなくなるのです。そこでピンと来たのがフェイジョアです。フェイジョアは「自家受粉」出来る、異種を混植しなくていいとされていますが、もともと蜜を持たない花なので虫が花粉を運んでくれません。ミツバチ自体当地では滅多に見なくなりました。そこで「アポロ」「クーリッジ」と2種類を植え、今の時期は毎朝花をとっては別の木の花にこすりつける「人工授粉」をしてきたのです。今開花の盛りなので、これはいけるかもしれないと思いました。残ったカップの溶液をスプレーに入れ替え噴霧したのであります。
更に、勝手に地面から生えてきた棗(なつめ)の木、これはおそらく以前マイガーデンの隅に地植えしていたものの実がつかず、つくのは害虫ばかり、ということから伐採したなつめの末裔であろうと思います。これを鉢植えしたものに一杯花が咲いていました。
これにもジベレリン液をふりかけました。
これで受粉してくれたら、種なしナツメが出来るのではなかろうかと思うのです。
物は試し、なんでも挑戦であります。
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