国境を越えたBABYMETAL現象のキーワードは、「萌え」である(補遺) (美津島明)
当シリーズは、私の想定を超えた反響を呼んでいるようです。おかげさまで、当ブログのアクセス数の最高記録を更新しました。またコメント欄にも、BABYMETALへの熱い思いを率直に語る、多くの声をいただいています。当音楽ユニットへの、ファンの思いが、どれほど深くて激しいものであるのかを再認識しました。ヘタなことは言えないな、と思います。私自身、知人から「神バンドがすごいのは認めるけどね」などと言われると、思わず、「あの三人の少女が、 少なくともお前の100万倍はすごいことを認めたうえで言え」という激語が、年甲斐もなくせりあがってくるのですからね。もちろん相手に面と向かっては言いませんよ。あれ?なんだか、いつのまにかメタラーのノリになってきたような・・・
それはそれとして、私は、当論考において口走ったひとことを訂正しなければなりません。それが言いたくて、この文章を書きました。
当シリーズ「その3」で、私は次のように言いました。それは、2008年、小林啓氏がメタル系の仕事からキッズ担当に異動し、気分を腐らせていた(にちがいない)ころのことをめぐってです。
そんな失意の日々のなかで、小林氏はPerfumeのライヴを観て感動し、キッズへの観方を変えます。そうして、自分なりのPerfumeを作ろうとしてできたのが、アニメ番組『絶対可憐チルドレン』の主題歌を歌う 可憐Girl'sでした。
(中略)
忘れてならないのは、MIKIKO氏が、可憐Girl'sの振付を担当していることです。つまり、ここで、小林氏とMIKIKO氏と中元すず香というBABYMETALの核となるトライアングルの三つの頂点が出会っているのです。
この記述に関して、コメント欄に投稿なさったある方から、次のようなご指摘をいただきました。すなわち、「自分は、小林啓氏が仕事として可憐Girl'sプロジェクトに関わったことは一切ないと聞いている。その情報と、筆者の上記の記述とはつじつまがあわない」と。
少し言い訳をさせていただくと、私としても、あてずっぽうで物を言っているわけではなくて、これだったら信用できるという情報ソースを思い定めたうえで、上記のようなことを言ったのではありますが、そういうことにふんぞりかえっているわけにはいかないと思って、その後自分なりにいろいろと調べてみました。
そのなかで浮かび上がってきたのは、この件に関する小林氏のはっきりとした言明はないということでした(いや、彼はこのようにはっきりと言っている、という耳寄りな情報をキャッチなさっている方は、どうか教えていただきたい)。
また、私の調査能力の限界を物語っているのでしょうが、可憐Girl'sのプロデューサーが誰なのかも、また小林氏が(かりに仕事上のつながりがなかったとして)可憐Girl'sに所属していたころの中元すず香にじかに接触したのかどうかも、はっきりしたことはついに分かりませんでした。
そうである以上、「自分なりのPerfumeを作ろうとしてできたのが、アニメ番組『絶対可憐チルドレン』の主題歌を歌う 可憐Girl'sでした」という言い方をするのはいまのところ無理がある、というよりほかはない、という結論に至りました。
そのあたりの事情に、ぼんやりとでもふれているのは、管見によれば、小林氏の次のふたつの言葉だけです。
例えば、Perfumeというテクノとアイドルを組み合わせた成功例がある。これを自分が新しく作るならば、アイドルに組み合わせるのはメタル以外にはないと思っていたところ、メインボーカルのSU‐METAL(さくら学院の中元すず香)に出会った。
BABYMETALは、さくら学院の重音部という位置付けだが、企画自体はメインボーカルのSU-METAL(中元すず香)が所属していた可憐Girl'sが09年に解散となった辺りから構想していた。
(異色メタルアイドル「ベビーメタル」はなぜ人気?“仕掛け人”を直撃! 日経トレンディ・ネット 2012年10月31日)
明言はしていませんが、もしも仕事のうえで可憐Girl'sと関わりがあるのなら、こういう言い方にはならないだろう、とは言えるような気がします(もっと前にそのことに気づくべきでした。迂闊でした)。上のふたつをつなげて理解するならば、アイドルとテクノポップを組み合わせたPerfumeという成功例が念頭にあった小林氏が、アイドルとメタルの組み合わせというはっきりとした構想を抱いたのは、SU-METALが、可憐Girl'sの解散によってフリーになった前後である、となります。とするならば、小林氏と中元すず香とMIKIKO氏の出会いはもう少し先、となりますね。
そのように訂正したうえで、BABYMETALの核となる三角形の3つの頂点は、小林啓氏と中元すず香と振付師MIKIKOである、という主張に変わりはないと申し上げておきたいと思います。また、その三角形から、入れ子のような形で、SUとYUIとMOAを頂点とするもうひとつの三角形が浮かび上がってくるということも付け加えておきたいと思います。このふたつの三角形がBABYMETALの神話構造の核を成しているのではないでしょうか。それらが、神バンドによる、超絶演奏と特異なヴィジュアルのサポートによって、深みを増していることはいうまでもありません。
余談ながら、「その1」から「その4」までで、言いそびれたことをふたつ言っておきたいと思います。
ひとつめ。「その4」で、私は、2014年3月1日と2日の武道館ライブで、YUI-METALが舞台から転落したときのMOAMETALの健闘ぶりを強調しましたが、考えてみれば、一心不乱に踊っているときに舞台の2メートル下に転がり落ちたYUI-METALの心理的パニックのはなはだしさと痛さは察するにあまりあります。それを乗り越えて、その数分後に舞台に姿を見せ、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の激しいダンスを最後まで踊り抜いた彼女のプロ根性もまた見上げたものであります。
ふたつめ。「その3」で、SU-METALとともに可憐Girl'sのメンバーだった武藤彩未のことに触れ、「武藤彩未が、なにゆえいまだにブレイクしていないのか、私は不思議でなりません。歌と踊りの才能にめぐまれた、利発で愛くるしい一八歳のアイドル歌手です」と申し上げました。それで、彼女の歌をひとつアップしておきたいと思います。振り付けは、あのMIKIKO氏です。武藤彩未の、見ているものをわくわくさせる、ゆらぐような清潔感のあるコケティが嫌味なくアピールされた出色の振り付けであると、素人ながらに思います。この高水準でも売れないのですから、アイドル戦線の現状は想像を絶した熾烈さなのでしょうね。
武藤彩未 「パラレルワールド」 | Ayami Muto "Parallel World" - Welcome to Japanese Little Red's dream world
当シリーズは、私の想定を超えた反響を呼んでいるようです。おかげさまで、当ブログのアクセス数の最高記録を更新しました。またコメント欄にも、BABYMETALへの熱い思いを率直に語る、多くの声をいただいています。当音楽ユニットへの、ファンの思いが、どれほど深くて激しいものであるのかを再認識しました。ヘタなことは言えないな、と思います。私自身、知人から「神バンドがすごいのは認めるけどね」などと言われると、思わず、「あの三人の少女が、 少なくともお前の100万倍はすごいことを認めたうえで言え」という激語が、年甲斐もなくせりあがってくるのですからね。もちろん相手に面と向かっては言いませんよ。あれ?なんだか、いつのまにかメタラーのノリになってきたような・・・
それはそれとして、私は、当論考において口走ったひとことを訂正しなければなりません。それが言いたくて、この文章を書きました。
当シリーズ「その3」で、私は次のように言いました。それは、2008年、小林啓氏がメタル系の仕事からキッズ担当に異動し、気分を腐らせていた(にちがいない)ころのことをめぐってです。
そんな失意の日々のなかで、小林氏はPerfumeのライヴを観て感動し、キッズへの観方を変えます。そうして、自分なりのPerfumeを作ろうとしてできたのが、アニメ番組『絶対可憐チルドレン』の主題歌を歌う 可憐Girl'sでした。
(中略)
忘れてならないのは、MIKIKO氏が、可憐Girl'sの振付を担当していることです。つまり、ここで、小林氏とMIKIKO氏と中元すず香というBABYMETALの核となるトライアングルの三つの頂点が出会っているのです。
この記述に関して、コメント欄に投稿なさったある方から、次のようなご指摘をいただきました。すなわち、「自分は、小林啓氏が仕事として可憐Girl'sプロジェクトに関わったことは一切ないと聞いている。その情報と、筆者の上記の記述とはつじつまがあわない」と。
少し言い訳をさせていただくと、私としても、あてずっぽうで物を言っているわけではなくて、これだったら信用できるという情報ソースを思い定めたうえで、上記のようなことを言ったのではありますが、そういうことにふんぞりかえっているわけにはいかないと思って、その後自分なりにいろいろと調べてみました。
そのなかで浮かび上がってきたのは、この件に関する小林氏のはっきりとした言明はないということでした(いや、彼はこのようにはっきりと言っている、という耳寄りな情報をキャッチなさっている方は、どうか教えていただきたい)。
また、私の調査能力の限界を物語っているのでしょうが、可憐Girl'sのプロデューサーが誰なのかも、また小林氏が(かりに仕事上のつながりがなかったとして)可憐Girl'sに所属していたころの中元すず香にじかに接触したのかどうかも、はっきりしたことはついに分かりませんでした。
そうである以上、「自分なりのPerfumeを作ろうとしてできたのが、アニメ番組『絶対可憐チルドレン』の主題歌を歌う 可憐Girl'sでした」という言い方をするのはいまのところ無理がある、というよりほかはない、という結論に至りました。
そのあたりの事情に、ぼんやりとでもふれているのは、管見によれば、小林氏の次のふたつの言葉だけです。
例えば、Perfumeというテクノとアイドルを組み合わせた成功例がある。これを自分が新しく作るならば、アイドルに組み合わせるのはメタル以外にはないと思っていたところ、メインボーカルのSU‐METAL(さくら学院の中元すず香)に出会った。
BABYMETALは、さくら学院の重音部という位置付けだが、企画自体はメインボーカルのSU-METAL(中元すず香)が所属していた可憐Girl'sが09年に解散となった辺りから構想していた。
(異色メタルアイドル「ベビーメタル」はなぜ人気?“仕掛け人”を直撃! 日経トレンディ・ネット 2012年10月31日)
明言はしていませんが、もしも仕事のうえで可憐Girl'sと関わりがあるのなら、こういう言い方にはならないだろう、とは言えるような気がします(もっと前にそのことに気づくべきでした。迂闊でした)。上のふたつをつなげて理解するならば、アイドルとテクノポップを組み合わせたPerfumeという成功例が念頭にあった小林氏が、アイドルとメタルの組み合わせというはっきりとした構想を抱いたのは、SU-METALが、可憐Girl'sの解散によってフリーになった前後である、となります。とするならば、小林氏と中元すず香とMIKIKO氏の出会いはもう少し先、となりますね。
そのように訂正したうえで、BABYMETALの核となる三角形の3つの頂点は、小林啓氏と中元すず香と振付師MIKIKOである、という主張に変わりはないと申し上げておきたいと思います。また、その三角形から、入れ子のような形で、SUとYUIとMOAを頂点とするもうひとつの三角形が浮かび上がってくるということも付け加えておきたいと思います。このふたつの三角形がBABYMETALの神話構造の核を成しているのではないでしょうか。それらが、神バンドによる、超絶演奏と特異なヴィジュアルのサポートによって、深みを増していることはいうまでもありません。
余談ながら、「その1」から「その4」までで、言いそびれたことをふたつ言っておきたいと思います。
ひとつめ。「その4」で、私は、2014年3月1日と2日の武道館ライブで、YUI-METALが舞台から転落したときのMOAMETALの健闘ぶりを強調しましたが、考えてみれば、一心不乱に踊っているときに舞台の2メートル下に転がり落ちたYUI-METALの心理的パニックのはなはだしさと痛さは察するにあまりあります。それを乗り越えて、その数分後に舞台に姿を見せ、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」の激しいダンスを最後まで踊り抜いた彼女のプロ根性もまた見上げたものであります。
ふたつめ。「その3」で、SU-METALとともに可憐Girl'sのメンバーだった武藤彩未のことに触れ、「武藤彩未が、なにゆえいまだにブレイクしていないのか、私は不思議でなりません。歌と踊りの才能にめぐまれた、利発で愛くるしい一八歳のアイドル歌手です」と申し上げました。それで、彼女の歌をひとつアップしておきたいと思います。振り付けは、あのMIKIKO氏です。武藤彩未の、見ているものをわくわくさせる、ゆらぐような清潔感のあるコケティが嫌味なくアピールされた出色の振り付けであると、素人ながらに思います。この高水準でも売れないのですから、アイドル戦線の現状は想像を絶した熾烈さなのでしょうね。
武藤彩未 「パラレルワールド」 | Ayami Muto "Parallel World" - Welcome to Japanese Little Red's dream world