台湾海峡がきな臭くなってきた。
中国が虎視眈々と台湾侵攻を狙っているという動きと共に、半導体をめぐる争いが絡んできているからだ。
半導体の覇権をアメリカが取るのか中国が取るのかで世界の様相は大きく変わる。
米国のバイデン大統領の動きは「戦略的」である。
中国との関係は、「対立的」ではなく「競争的」と位置付けてじわじわと締め付けていくスタイルだ。
そのためには同盟国との連携強化を求める。
しかしアジアで頼りになるのは、日本とオーストラリアしか残らない。
そこで、日本がどう動くかということが重要になるのだ。
世界観の無い菅義偉と、空想的世界観の持ち主の安倍晋三がタッグを組んで、さらにこの国を仕切ろうと考えている。
それに対して日本国民が「お墨付き」を与えると、この国の前途には破滅が待っているだろう。
1977年東南アジアを歴訪し、マニラで演説を行った首相がいる。福田赳夫だ。
「我が国は、諸国民の公正と信義に信頼してその安全と生存を保持しようという歴史上かって例を見ない理想を掲げ、軍事大国への道を選ばないことを決意いたしました。そして、核兵器をつくる経済的、技術的能力を持ちながらも、かかる兵器を持つことをあえて拒否しているのであります。これは、史上類例を見ない実験への挑戦であります。
同時に人口稠密で資源に乏しく、海外諸国との交流と協調を必要とする我が国にとってこれ以外の選択はあり得ないのであります。
私は、このような日本の選択こそはアジアの地域、ひいては世界全体の基本的な利益にも資するものであると信じます。
ーー
すべての国は、国際社会の中で、互いに助け合い、補い合い、責任を分かち合い、世界全体が良くなるその中で自国の繁栄をはからなければなりません」
きわめて格調の高い、世界観のある演説である。
自民党はこの時でも権力闘争の激しい政党であった。所謂「角福戦争」ーー田中角栄対福田赳夫
しかし日本としてどう動くべきかという「自主外交」の主張は揺るぎがない。
当時と今では環境が違うという意見はあるだろう。
だが「武を以て武に対する」の策は最悪。
百戦百勝は善の善なるものに非ず。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。 孫子