一国のリーダーはこの国をどの方向に導きたいのかという「思い」がまず最初にあるべきだ。
そして安倍政権の良かった点、悪かった点を十分に検証したうえで、具体的な施策を打つべきである。
しかし所信表明で菅首相から聞こえてくるものは、部長・課長クラスのレベルの施策をただ並べただけ。
何とも高揚感のない新政権のスタートである。
「温室効果ガス2050年ゼロ」を打ち出したが、本音は原発の温存にある
2019年度原発は6,6%だが、2030年度は20~22%を政府目標にしている。
どうせ目標などできないから華々しく花火を打ち上げておけばよい、という魂胆が丸見え。
再生エネルギーに本腰を入れる気迫が感じられない。
「縦割り打破」や「規制改革」を叫ぶのみでは、この国はますます強者総どりの社会になる
国鉄改革や郵政改革は当時は非常にもてはやされたが、今は逆に負の面が目立ってきている。
北海道JRは民間企業としてはもう成り立たない。一定程度の政府支援が必要だ。
日本郵便にしても民間並みの収益目標を掲げたために、従業員への過大なノルマを押し付けで不正営業が蔓延。
「官から民へ」のスローガンはもう時代遅れだ。
学問や科学への軽視がこの国を3流国に貶める
「日本学術会議」任命問題にみられるような政府による統制強化は、自由な学問研究を劣化させる。
菅首相は、国会や記者会見できっちりした説明がないままNHKに出演して、明らかに間違った問題発言をした。
日本学術会議の会員が、「結果的に一部の大学に偏っている」と発言。
おそらく東大や京大が多いことを念頭に発言したのだろう。
しかし学術会議法17条は、「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考しーー内閣総理大臣に推薦する」と定めている。
大学の偏りなど持ち出すのは、法の立て付けを理解しない己の無知を反省すべし。
秋田の農家から出てきた「たたき上げ」が政権を獲ったということは、自民党の劣化を物語っている。
自民党の政治家のたいがいは2世3世議員で、努力しないで果実を得ているリーダーたちだ。
石破、岸田などはなすすべなく敗れてしまった。
結局安倍晋三の恥部のすべてを握った菅義偉が二階俊博と組んで権力を絡めとったのだ。
国民は心してこの政権と対峙しなければ、薄暗い警察国家の時代を過ごすことになる。