メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

キャンター…サプライポンプ交換。

2017-02-15 01:01:41 | ふそう
PA-FE83キャンター


走行中に突然エンジンチェックランプが点灯して、エンジンが吹けなくなった…との事。


現在は点灯しておらず、故障コードを確認すると…


これまた色々と入っておりますが、現在故障は無くエンジンの調子も良好。

一過性の不具合かとも思いましたが、同時に入ったのかどうかは分からないので何とも言えません…


ただまあ気になるのはやはりレール圧制御(ポンプ過圧送)…

ファイターの4M50でも何度か経験ありますが…レール圧制御の場合、サクションバルブ不良の可能性が高いです…

ただ、残念ながらフソウさんはSCV単品では供給が無いため交換出来ません…


で、お客様に現状の説明をすると、もうやっちゃって下さい…と即答。

なるべく早く使いたい様なので、必要な部品を頼んだ所でその日は終了。

翌日から作業を開始…

エンジンは4M50…
ファイターと同じエンジンですが、補機類の仕様が異なります。

どんどんバラして…


ここまでバラしてようやくサプライポンプの取り外し…


その前に、1番を圧縮上死点へ…
コレも整備書には取り外す時は特に指定はありませんが、組み付ける時には1番を圧縮上死点にする…との記載があります。

で、基本的には1番の圧縮上死点を出す場合はフライホイールの合いマークだけでは判断出来ないので、本来ならヘッドカバーを取り外して、ロッカーアームの遊びで圧縮上死点かどうかを判断するのが整備書通りの確認方法なんですが…

作業した事がある方なら分かると思いますが、この4M50のヘッドカバーの取り外しは正直、クソ面倒くせぇレベルなんです…

分かってはいるものの、何とか外さずに確認出来ないかな⁉︎…と思うもので、今回も悪あがきをしてたら、ふと思いついたんです…笑

この方法はフライホイールのマークが確認できる場合に限りますが…
まず、1、4番の上死点を出します。




まだ何とか確認出来ますが、もう消えそう…
このマークも打刻にして欲しいですが…

とりあえず分かりやすくペイントを…


この位置で1番と4番が上死点になります。
本来ならヘッドカバーを外した状態で1番のロッカーアームの遊びでどちらが圧縮上死点かを確認するんですが…

このエンジンはオイルフィラーキャップを外すと2番と3番のインテーク側のロッカーアームが確認出来ます。


コレは2番の吸気側ロッカーアーム。


こちらが3番の吸気側ロッカーアーム。


こちらがバルブクリアランス時に参考にするバルブの位置関係の図…





この表を見ても分かる通り、1番が圧縮上死点の時は2番のインテーク側も調整可能…つまりロッカーアームに遊びがある状態…という事。
逆に4番が圧縮上死点の時は3番のロッカーアームに遊びがあります…

という事は…


フライホイールの1、4番の合いマークを合わせて、フィラーから見える2番のインテーク側ロッカーアームに遊びがあればその位置が1番の圧縮上死点だと判断出来る事になります…


ドライバー等でロッカーアームが動くか確認…





2番のインテーク側ロッカーアームが動くので…
この位置が1番の圧縮上死点と判断出来ます。

逆に4番の圧縮上死点の場合は2番のロッカーアームは動かず3番のロッカーアームが動きます。

この方法ならヘッドカバーを取り外さなくても1番の圧縮上死点を確認出来ます…

まあオイルフィラーが運良くこの位置にあるからこそ出来る方法ですが…笑


1番の圧縮上死点も出たのでサプライポンプの取り外し…





外したポンプからギヤやハウジングを取り外し。



で、稀にこのサプライポンプのメインギヤが異常に固い個体が存在しており…
今回のポンプもギヤプーラーではびくともしない程…
そんな時はプレスで…


やはりプレスのパワーは素晴らしい…
ギヤプーラーでは何ともならないレベルの固さでもプレスなら瞬殺です…笑
勿論、位置合わせは重要ですが。

取り外したハウジングやギヤをリビルトポンプに組み付け…







エンジンに組み付けていきます。
サプライポンプギヤとアイドルギヤのマークを合わせてハウジングの当たり面にはボンドを…




ゴーズフィルター付きボルトも新品に交換。


ブリーザ、プーリー、ファンなどもどんどん組んで…






冷却水を注入してエンジン始動。
ちなみに本来なら燃料フィルターも交換する作業ですが、1月に車検で交換済みの為、今回はそのままです。


後は各データーを確認…


特におかしな数字も無く良好なので…

明日の朝各部の漏れと冷却水の量を再度確認して完了です。


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ファイター原因不明…⁉︎

2016-11-17 23:41:40 | ふそう
4M50エンジン…

題名通り、今のところ原因不明です…


以前、こちらの記事で書いたファイター…


もともと水温が上がる…という話で入庫してたんですが、実際は冷却水量の警告灯が点く…という事で、その時は色々と調べるとラジエーターのロアタンクのカシメ部やホースの編み込み部からの微量の漏れがありラジエーターやホース類を交換したんです…

コレは交換後の画像


交換後はもちろんエア抜きに漏れ確認、試運転後の冷間時の冷却水量などを確認して問題無かったので納車したんです…
作業自体は内容的にも特に記事にする事も無いな〜って感じだったので記事にしませんでしたが…


ところが先週末にお客様からまた警告灯が点灯する…と連絡があり引き取る事に。
乗って帰ってくる途中に確かに警告灯が点灯。


この警告灯は紛らわしいですがオーバーヒートランプでは無く、冷却水量の警告灯です…

で、会社に着きラジエーターキャップを外してみると…


確かに減っており…
どれ位入るのか確認してみると、コップ一杯分ほどで…
吹き返しを点検するも無し。
かなり念入りにエア抜きを行い試運転に行くと30分くらい走るとまた警告灯が点灯…

マジか…

会社に戻り再度冷却系統に圧力をかけて数値をチェック…


30分後…

微妙に圧が下がっています…

更に1時間後…


更に低下…
外部に漏れは見当たらないので、内部のどこかで漏れてる可能性を考え調べる事に…

まずは経験上何度か漏れた事のあるEGRクーラー内部の点検。
EGRバルブを取り外して再度圧力をかけて、その状態でファイバースコープで内部を確認。


あちこち見渡しても漏れてるような形跡は無し…
EGRクーラーじゃ無いのか…⁉︎

他にも色んな可能性を疑いタービンのウォータージャケットなどを点検するも特に問題無さそう。


その日は一旦組み付けて少し高めの回転数でアイドリングさせて翌朝冷却水の量を点検…

するとエンジン側はやっぱり昨日と同じくらい減っており…
リザーバー側は…

青の線が温間時で赤の線が冷間時…
この差も正常とは言えない程ですが…

温間時の水温が78〜80℃と若干低めな気もするので…
サーモスタットも良くないのかもしれませんが、冷却水が減ったり、エアが噛む原因とは直接関係無いだろうし。

他にもヘッドガスケットの不良も考えたけど、吹き返しが無いのでヘッドガスケットが原因だとはどうしても思えない。

このまま何もしないのも時間だけがかかってしまうので何かアクションを起こさねば…という事でお客様の了解を得て、どうしても疑わしいEGRクーラー(過去に何度か経験してるので…)を交換させてもらう事に。

EGRクーラー交換






取り外したEGRクーラー


EGRクーラー単体で排気経路に圧力をかけて漏れを点検するも、圧力に変化無し…

マジっすか…

外して単体点検すれば何か判明するかも…と思い外しましたが特に不具合は無し…
お客様の了解も得ているのでとりあえず新品に交換。




交換後もかなり念入りにエア抜きを行い試運転に…




距離にして150kmぐらいは試運転しましたが、警告灯は点きませんでした…

お…直った⁇

イヤ、でもEGRクーラーに漏れは無かったし…
エア抜きがうまくいってなかっただけ⁉︎
コレで翌日の朝にエンジン側の冷却水が減ってなければ…と思い翌朝確認してみると…


やっぱり減ってる…(*_*)


どれだけ入るか確認するとコップ半分程…

昨日よりは減る量が少なくなってる…



減ってるのは確かなんだけど、エアが噛んでるだけとはどうしても思えず…

その日も一日中エンジンをかけておき、更に150km近い試運転を行うも水温は安定しており、警告灯も点かず…



翌日の朝に水面を確認すると、昨日よりも更に減る量は少なくなったけど確かに減っており…
でも液面は確認出来る程…


その日は午前中の間、プレッシャーテストを…


1時間後…


下がってない…


更に2時間後…



下がらないので漏れは無いと判断出来ると思うんですが…
やっぱりEGRクーラーが原因だったのか…⁇
それともエアが噛んでただけなのか…

正直、原因が分かってないので直ったかどうかの判断は難しいですが…




とりあえず明日の朝、再度、冷却水量の確認です…









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終…キャンターオーバーヒート。

2016-02-25 22:35:45 | ふそう
前回の続きです。


本日は朝から、かかりっきりで作業が出来たのではかどりました…


シリンダーヘッドにマニホールドとカムアイドルギヤを取り付け。



ヘッドを乗せる準備をしていきます…

まずはブロック上面をオイルストーンにて研磨。

40万キロ走行してる車両ですが薄っすらですが、クロスハッチも残ってます…


毎度毎度のカムシャフト曲がり測定。

EXカムは0.03mmの振れ…

INカムは0.01mm…

どちらも問題無いですね…


ブロック側をキレイにしてヘッドガスケットを乗せて…

シールガスケットを塗ってある箇所があるのでさっさとヘッドを乗せてヘッドボルトを締め付け。

カムシャフトも乗せていきます…


更にカムシャフトフレームにロッカーシャフトも組み付け。

バルブクリアランスもキッチリ調整して…
ヘッドカバーを乗せます。



インジェクター…
左から1番~4番ですが、4番はインジェクターホールに水が溜まる為に錆が…


どんどん組み付けて…

完成です。



エア抜きをキッチリ行って、試運転。
再度漏れの確認をしたら…明日の朝、冷却水の量を確認して納車です。


これでキャンターは完了ですが…




他にも2台がオーバーヒートにて…
ヘッド作業待ちです…





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続…キャンターオーバーヒート。

2016-02-24 00:21:54 | ふそう
先週のキャンターの続きです。

先週取り外したヘッドを昨日エンジン屋さんに出して、本日の15時頃に戻ってきました…

結果としては水圧テストは問題ナシ…
修正研磨は0.05mm削ってもらいました。



とりあえず研磨も終わったので、先日測定しておいた全ピストン突出量の平均値から修正研磨した0.05mmを計算に入れたうえで最適なサイズのヘッドガスケットを注文します…
今回は今までのサイズより1サイズ上のBサイズ。

4m50は修正研磨してもヘッドガスケットのサイズが3種類あるので助かります。
細かい事を言えば研磨したのにガスケットが同じ厚みだと圧縮比も変わってきますから…
エンジンにとって最良の状態にするのも大事な事です。
まあ、その精度の違いを分かってくれるお客さんは今の会社では居ませんけどね…笑



ヘッドガスケットが来るまで細かい仕事をこなしておきます…
ウォーターポンプやらホースにサーモスタットを交換したり…
今は悪くありませんがEGRクーラーも交換します。
以前、ヘッドガスケットを交換した1ヶ月後にEGRクーラーから水漏れした経験があるので…それ以来ヘッド作業する時はEGRクーラーも交換するようにしてます。

ヘッドが乗った状態だと非常にやりにくいので…


外す時にズルむけたエキマニのスタッドも交換します。



次にヘッドを…
バルブをラッピングして…



次にステムシールを打ち込んで…


バルブスプリングを取り付けていきます。






インマニを取り付けたところで…別の車両が入庫。

デュトロなんですが、どうやらこちらも吹き返しがある…との事。

サブタンクを見ると…

あらら…

まだ新しい車なのに…
見積もりを出します。


キャンターが終わっても…(まだ終わってませんが
)

またヘッド作業が続きそうです…


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キャンター…オーバーヒート。

2016-02-20 22:52:41 | ふそう
16年式のFE82キャンター…エンジンは4M50。

同業者さんからの依頼で、話を聞くと…どうやらオーバーヒートした…との事。

ディーラーに頼むと2週間かかる…と言われたそうで、冷凍車の為、よく使うのでなるべく早く直して欲しい…という事で当工場に依頼が来ました…


早速、吹き返しを点検していきます…


画像では分かりづらいかもしれませんが、吹き返しております…


が、しかし…キャンターに限らずファイターもそうなんですが、この4M50エンジンの吹き返しは気を付けないと誤診します…

というのも、4M50はEGRクーラーのコアがよくパンクします…
冷却水が外部に漏れる事もあるし、逆に中でパンクしてEGRクーラー経由で排気ガスが冷却系統に混入する事があるんです…

EGRクーラーのコアで内部リークすると、まるでヘッドガスケットが抜けた時とそっくりな吹き返し状態になります…
そのため、ヘッドガスケット不良と判断して交換するも吹き返しが直らない…って事例もいくつか見てきました…

EGRクーラーの交換とヘッドオーバーホール作業とでは修理の金額がまるで違います…
なのでこの車、この事例に限った事ではありませんが、どんな修理も不具合箇所を正確に見極める事が大事です…


で、この4M50ではエンジン後方にあるEGRパイプを外すと、EGRクーラー内部を見る事が出来ます…
その状態で冷却系統に圧力をかけてEGRクーラー内にクーラントが漏れてくるかどうか…で判断出来ます。
ファイバースコープなんかがあればより詳細に見る事が出来ると思います…

が、今回の車はコア内部の漏れはありませんでした…


という事で…作業を進めていきます…



エキゾースト周りの焼き付いてカチカチになったボルトは酸素で炙り取り外し…

スタッドが…


いいんです…どうせ換えるから…想定内。笑


今度はインテーク側を…


冷凍車なので冷凍機用のでかいコンプレッサーを外さなきゃなりません…
ホースを切り離すわけにはいかないので本体を邪魔にならない所にズラすんですが…それでも邪魔です…



キャンターの4M50はブローバイのフィルターケースやバキュームパイプがエンジンのフロントにまたがるように付いてるので、ファンやらクランクプーリー(正確に言うとクランクではないですが…)も外さなきゃならないので手間がかかります…
ファイターの方がまだやりやすいですね…


ここからようやく本体をバラせます。

まずはインジェクター…
これ…絶対に設計ミスですよね…インジェクターホールに水やゴミがたまる設計になってます…笑
特に4番。

このインジェクター…Oリングが固着して抜けてこないんですよね…
そこで役に立つのが当ブログにも度々登場するコレ…

マルチポジションプライバー

角度を変えて…

インジェクターボディーにかけます…

間違ってもコネクター部にかけないように…笑

後はテコの原理で…


サビサビですね…


次にトップカバーを外してロッカーシャフトを外します…
が、外す前にロッカーアームの保持。
SSTは持ってないので針金で…
これをしないとビヨーンってなって組む時にイライラします…笑



ロッカーケースを外して残るはカムシャフト…


この4M50はカムアイドルギヤはただのヘリカルギヤですが…
ファイターなどの4M50はカムアイドルギヤがシザースギヤになっており、カムシャフトを外す前にロックしておかないとコレまた後でイライラします。
ただ、外すだけじゃなく外していく段階でバックラッシュやエンドプレーも手の感覚で確認してます…
少しでも違和感を感じたら測定します。



次にヘッドボルトを緩めてシリンダーヘッドを取り外します。



外したシリンダーヘッド。


更にインマニやエキマニを外して、バルブも取り外していきます。




今度、時間がある時にバルブラックを作ろう…笑


と、本日はここまで…

後は休み明けにエンジン屋さんにヘッドの面研、水圧をお願いします。


















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スーパーグレート車間距離システム異常。

2015-10-01 22:00:03 | ふそう
三菱ふそうスーパーグレート、23年式6M10
LKG-FU54VZ…

この車両、新車時からトラブル続き…
まだ10万キロしか走ってない時にウォーターポンプがパンクしたり…エンジンオイル量も適正なのにオイル量異常と出たり…
MDASのトラブルやその他いろいろ…


そして本日お客様から、『また車間距離システム異常とメーターに表示されるから見てくれ!
コンピューター(診断機の事)も持っとるやろ⁉︎』…と

現車を確認すると…

現在故障中です…

実は2ヶ月くらい前にも同じ依頼があったんですが、その時は過去故障のみでどこも異常が無かったので一過性の不具合として対応してたんです…


早速G-SCAN繋いでみるも…

LKGは対応してません…もちろん6M10も…
ある程度予想してましたが…だって前回の時からアップデートしてないもん…

で、最近お気に入りのTPM。
接続してみると…

…通信してる…

そして…


きたー‼︎‼︎‼︎
バッチリ対応してます。さすが…

問題の車間距離システムも見れます。

車間距離設定スイッチの現在故障。
ここでデータモニターにて確認。
こちらも対応してる‼︎

ここで写真を撮り損ねたんですが、初めデータモニターを見た時、設定車間距離の項目が
"NON"と表示されてたんです。

で、スイッチをパチパチしてみるとL,M,Sと3段階表示になり…

この真ん中にあるスイッチなんですがL(ロング)にすると…

ちゃんとデータ上も


S(ショート)にしてみても

ちゃんと

となります…

意図的にスイッチを中途半端な位置にしてもNONとは表示されません…
なので恐らく、何かの拍子にスイッチの接点がどこにも触れない時があると…つまりスイッチの接触不良が原因だろうと…

実際、それ以降不具合も出ないし現状では故障コードも拾わないので車間距離設定スイッチの接触不良でまず間違いないでしょう。
明日には部品が入るので、交換したら問題のスイッチを詳しく調べてみます…

ただ、NONと表示されてるのをたまたま確認出来たのは運が良かったです…
それに気づかなかったりスイッチを先に触ってたりしたらまたどこも異常無し…となりまた一過性の不具合と判断してたかもしれません…


この手のトラブルで自分がいつもお客様さんに言うのは出来れば不具合が起きてる状態で診させて下さいと…
過去故障コードだけでは当然判断しきれないので…

でもお客さんの中にはスキャンツールを繋ぐだけで原因が分かると思ってる人もいるんですよね…

スキャンツールはあくまでもサポート的な物で最終的にはやっぱりメカニックがあれこれ調べて初めて原因を判断出来る訳で…
そのあたりの苦労や経験がノウハウになるのは間違いないんですが…

まあ今回は二回目の入庫ですが、原因が特定出来たので良しとします…






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