メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

ギガ…キャブサス異常。

2017-10-15 16:12:52 | いすゞ
PDG-EXZ52ギガ…

運転中にメーター内のキャブサスランプが点灯した…という事で入庫しました。

詳しく話を聞くと警告灯が点いたり点かなかったりという事らしいですが…


通常、キャブサスの警告灯はキーオン時点灯して3秒後に消灯…が正常な状態。
現車を確認するとキーオン後点灯後に1度消灯するんですが、その数秒後に再度点灯状態に。


因みにこのキャブサス警告灯はエアー不足の時は点滅しますが異常ではありません。
エアーが溜まれば消灯します。

今現在点灯中という事は現在故障として認識してます。

で、本来ならスキャンツールを接続して故障コード呼び出せれば確認は簡単なんですが、残念ながらウチにある診断機ではキャブサスは未対応。

なのでOBDコネクター端子を短絡させて問題の故障コードを確認します。
キーオン状態で16ピンコネクタの11番と4番を短絡させます。


ところが短絡させても一向に故障コードを表示せず点灯しっぱなし…

アレ⁇

何で…⁉︎

何度か挑戦しましたが表示せず…


その後、何度かキーをON、OFFしたりしてるとチェックランプが消灯し正常な状態に戻り…

その時に自己診断をかけると見事に故障コードを表示し始めました…

もしかして現在点灯中は自己診断が出来ないとか…⁉︎

整備書読んでもそんな事書いてないけど…


ま、そんな事は後で考えればいいとしてとりあえず表示している故障コードを確認。

すると、522キャブエアサスペンションフロント側異常のコード。

かなりザックリな故障コードですが…

対応したスキャンツールがあれば各部のデータ表示も可能なのでトラブルシュートも効率的なんだろうな…と思いながらも無い物をねだっても仕方ないので、自力で調べるしかありません。

このコードの検出条件はキャブサスコンピュータがフロントのキャブ高が高いと判断してフロントキャブ高を下げる指示を出しているにもかかわらずキャブ高が下がらないとこのコードを記憶するようです。

この条件から考えればある程度不具合の原因となる箇所は絞られますが…

まずこのギガのキャブサス制御は前後ハイトセンサーから入力される数値を元にコンピュータが現在のキャブ高を認識、常に最適なキャブ高になるように調整を繰り返しています。
そのベローズにエアーを入れたり抜いたりという動作を行なっているのがマグネットバルブ。

なので可能性として考えられるのがフロントハイトセンサー不良かマグネットバルブ不良…またはそれに関係する配線。
それに確率的には低いですが無くはないのがコンピュータ不良…
この辺りに絞れます。



インパネをバラして…


キャブサスコンピュータ側で各センサーの電源電圧を測定…




コンピュータの電源電圧やアースに不具合は無し…
更にマグネットバルブの電圧も問題ありませんでした。


ハイトセンサーの電圧変化も安定しておりこちらも問題ナシと判断。
各部の配線を揺すってみても症状は出ないので配線が原因でも無さそうです。

各部に問題がない事、それに症状が出たり出なかったりする事を考えると恐らく原因はコイツかな…⁉︎

フロントキャブサスの排気側マグネットバルブ…



それ以降症状が出ていないので推測になっちゃいますが、恐らく通電されてるのにマグネットバルブが機械的に作動してないんでしょう…
その為キャブ高が下がらずチェックランプ点灯…といったトコでしょうか。

ま、いすゞさんのマグネットバルブはよく壊れますしね…笑

その辺りの可能性も含めた判断という事もお客様には伝えて見積りを出す事にします…


とりあえず故障コードを一旦消去します…


メモリークリアコネクタを接続して消去。



後はお客様の返事待ちです…






それから話は変わりますが前から気になっていたモノを買ってしまった…


コレ…




その名もサーマルイメージャー…


もう名前からもお分かりかと思いますが、このサーマルイメージャーは温度差を画像として表示する事が出来ます…




自動車整備には温度を管理したい時って少なからずあるんですよね…
物の温度変化でトラブルの原因が分かる事も多いです…
例えばDPF…
再生時に昇温不良トラブルの場合でもエキゾーストパイプや酸化触媒の温度変化を見ればインジェクター不良なのかシャッターバルブ不良なのかはたまた触媒不良なのか…などが判断出来ます。

こちらは事例集の一例


その他にもサーモスタットトラブルやヒーターコア、挙げたらキリが無いですが可能性はホント使い方次第でどんどん広がりますね…

キャプチャーショット機能もあり画像をSDカードに保存も出来ます…

自分の手を見るとこんな感じ…



エンジンルームはラジエーターが熱を持ってるのが分かりますね。



どんな事に役立つかまだまだ未知数なので楽しみです…
これからどんどん活用していきたいと思います…


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クラッチO/H…2台。

2017-08-07 21:31:55 | いすゞ
最近はクラッチの作業がたて続けに入庫。



まずはXZU301ダイナ…
よく電線を整備してるタイプの高所作業車です。

このサイズの車両のミッション脱着は苦労します…
車両のサイズもさる事ながら上物の仕様も相まってスペースに余裕はありません。

DPFやEXパイプも取り外さないといけないんですが…
年数が経てば経つほどボルト類は酸化してまともに緩みません。




もうこのタイプはあえて緩めようとはせず酸素で切断した方が早いですね…




後々の事を考えて錆びついた固定ナットは切断して取り外しに困らないボルトナットによる取り付けに変更するのがベストです…



で、余談ですが以前コメントにあったショートボディーのダイナ、デュトロのプロペラシャフトの取り外し…

このタイプはプロペラシャフトのデフ側の取り付けボルトが圧入されてるんですが…


交換前提で圧入されたボルトを叩いて抜いてプロペラシャフトを取り外すのも方法としてはありですが…

ミッション側フランジのスライドヨークを目一杯押し込めばボルトの長さ分の逃げがギリギリ確保出来るので圧入ボルトは抜かなくてもプロペラシャフトは外す事が出来ます。

ゴミや塗料が噛み込まないようにワイヤーブラシでスライド部を掃除して…




スライドヨークを押し込めばギリギリではありますがプロペラシャフトは外れます…


で、ミッションも降ろして…


クラッチはズルズルです。



アレコレ換えてミッションも載せて…
DPFも取り付け…


シャッターバルブの取り付け部はボルトナットに変更。



なんだかんだで終了です。


それから次の車両は以前クラッチ不調でマスターを交換して欲しいとの依頼を受けたフォワード…


結論から言うとやはり症状は改善されていないようです…(^_^;)

やっぱりね…笑


と言う事でこちらもクラッチのO/Hを行う事に。

部品を発注して早速作業を。

4トン車クラスが何をするにしてもサイズ的にはやり易いですよね…

大型だと各部品がデカくて重いし、小型だと狭くて作業性は悪いですから…


ミッションを降ろして…


やはりこちらもクラッチはズルズルです…


まああれだけ調整が詰められていたので予想通りですが…


フライホイールにも若干の歪みが出ておりましたが今回はお客様の意向で再使用していきます。


で、問題のミッション…

グリスの類は一切注入出来ない構造となっております。
レリーズベアリングのスラスト部はまさかの無給脂…

整備書にもグリスを塗るなって書いてあるんですが…
キズだらけ…
当然ですが動きも渋くなります。


レリーズベアリングのハブがエンプラ製⁉︎…と言うことも無給脂の理由でしょうか…



更にはフォークシャフトのニードルベアリング部もニップルがない為、通常のメンテナンスではグリスアップは不可能です。


なのでウチではこのタイプのミッションを降ろした場合はフォークやシャフトも取り外してここぞとばかりに徹底的にグリスアップします…

取り外したフォークやシャフト。





洗浄、点検、給脂をして新品のレリーズベアリングも組み付け…
ニードルベアリング部にもグリスをたっぷり給脂しておきます。


実際ニードルベアリング再使用でもグリスアップするだけでフォークシャフトの動きは劇的に変わります…
やはりグリスアップ出来ない構造は理解出来ませんね。

それから整備書には塗るな…と書いてあるスラスト部ですが、これ以上の傷を増やさない為にもウチでは薄くグリスを塗布してます。


実際当社ではグリスを塗った事による不具合は出ておりませんし、グリスを塗る事でレリーズベアリングの動きは確実にスムーズになります。
因みに近くのいすゞさんも塗ってるそうです…笑



パイロットベアリングを交換して…





クラッチディスクをセット…


カバーも取り付け。



更にミッションも載せて…


後はクラッチの調整をして完成です。

因みにこれがクラッチO/H前の調整ロッドの状態…


調整しろは既にありませんでした…


で、こちらがO/H後に調整したロッドの位置。


クラッチディスクの減り具合は外部からでは直接判断出来ないので調整ロッドの詰め具合で判断するんですが…

クラッチに関しては早めの対応が基本です。

出先で滑ったら走行不能になりかねませんからね…



それにグリスアップってメンテナンスの基本中の基本だと思うんですけど…

どう考えてもそれが出来ない設計にする時点で意味不明ですよね…




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ギガ…SCR異常。その3

2017-08-02 23:41:44 | いすゞ
24年式のLKG-EXD52ギガ…


以前、記事にした2台のギガと同じ運送会社さんの車両で、ここのお客様は基本いすゞ車が多いんですが…


以前修理した車両とは別の車がまたアドブルーのチェックランプが点いた…という事でとりあえず現地で確認する事に。



確認すると現在は点いて無いようですが…



故障履歴を見てみると…


これまた色々と入っておりますが…

現在故障は無いのでとりあえず問題のSCRシステムのコードを確認。


尿素水品質異常のコードが…


一旦消去するとその後は拾いません。
データも確認…
濃度は概ね問題無さそうです。


ちなみに1台目はNOxセンサー、2台目は尿素水品質センサー信号異常…
3台目は尿素水品質異常と3台ともSCR系のトラブルではありますが故障コードはそれぞれ違います…


で、この品質異常とはそのまんまで尿素水の品質が異常とDCUが判断しており、可能性としては指定外の尿素水を入れたりタンク内のヒーターラインからクーラントが混入、また外部から水が混入したりすると品質異常となる場合はあります…
が、仮に本当に品質が悪くなったとしたら基本的には抜き替えたりしない限り品質が改善される事はありません…
なので今現在はチェックランプも点かず正常な事からおそらく一過性の不具合か尿素水センサーのバグでしょう…
ただ、このコードには再始動禁止制御も絡んでくるので注意が必要です。

こういう場合やっぱりフリーズフレームデータ機能は欲しいよなぁ…
フリーズフレームがあればもう少し深く調べられるんだよな…



とりあえず他のシステムの故障コードも過去履歴なので記録だけして一旦消去…


お客様にはこれで1度様子を見てもらい…
またチェックランプが点くようなら改めて調べる事に。

まあ疑わしいのはよく壊れる尿素水センサーなんですけどね…



その後説明も含め担当者の方とお話ししてると最近の車は本当によく壊れるのでもう勘弁して欲しい…という事を仰ってました。

普通に乗ってるだけなのに壊れるんですから…
お客様はたまったもんじゃありません。

こうも同じ車種の同じシステムがたて続けに壊れてはお客様が不信感を抱くのは無理もありませんよね…

その担当者さんは『メーカーは壊れる車を作ってるとしか思えないよな。壊れては高額な部品代を請求してくる…それで潤うのは部品メーカーやディーラーだろ⁉︎』…とお怒りになられてましたが…


正直…多くのユーザーさんが思ってる事でしょう。

勿論、自動車メーカーがわざと壊れる車を作ってるとまでは言いませんが、そう思われても仕方ないほど壊れるのは事実です。

その壊れる殆どが環境対策の為に付けられた機構やそれを起因とするもの。


以前、何かで読んだ自動車評論家の記事で…

国の官僚やお偉いさん達が自らの成果を残そうと机上で決めたNOx PM法…
技術も確立されてないのに決めるだけ決めて後は放ったらかし…

その副作用として起きた不利益などの代償を末端ユーザーだけが背負わされたんではたまったもんじゃない…

といった内容の記事。

正にそんな状況ですよね…


環境保護も確かに大事かもしれませんが…
キレイ事で決められた規制によりユーザーだけが代償を払う現状は到底納得出来るものではありません。

今のご時世の運送会社さんは本当に大変だと思います…

そういう負担を少しでも減らす為にもメーカーには早急に対策をしてもらわなければなりません。






で、会社に戻る途中に別のお客様から水が漏れるので見て欲しい…との事で依頼があり…

一旦会社に戻り必要な工具を積んで出発。

現地に着いて早速点検。
車はKL-FRプロフィア…

冷却系統に圧力をかけて漏れる箇所を調べます…


すると直ぐに圧力が下がりどこからともなくポタポタと…

調べるとサージタンクの合わせ面付近から漏れてました。


その場で部品を問い合わせると近くのディーラーに在庫がある…との事なので取りに行って現地で交換する事に。


で、特に苦労する事もなく交換を終え…
冷却水を入れてエンジンをかける前に再度プレッシャーテスト。



後はエンジンを始動して吹き返しの点検。


問題無さそうです…
外したサージタンクをよく見てみると、合わせ面の下にクラックが入ってました。


原因は例のこいつでしょう…


プレッシャーキャップのパッキンが劣化して圧力が上がっても開けなかった為に内圧が規定値以上に上がり、これまた劣化していたサージタンクが割れた…という事。

メンテナンスで防げたトラブルですね。

ラジエーターキャップなどは毎年交換しておいてもバチは当たりません…


なんだかんだで終了。




それから今まで使ってた溶接面が壊れたので新しく購入…
これは今まで使ってたメイドインチャイナの溶接面。


ネットで4、5000円で買ったやつなんですが…

まあ満足いく物ではなかったですね…笑

自動遮光のセンシングがアホでスパークする前から遮光してましたから…
騙し騙し使ってましたが今度は遮光しなくなったので買い替える事にしました。

実はこの溶接面も2個目で流石に同じ轍を3度も踏む訳にはいかない…という事で今度はちゃんとした溶接面を買う事に。

で、買ったのが…


スナップオンの溶接面。

価格はメイドインチャイナの10倍以上です…笑

今後はいい物を永く使いたいので。

これでも地味な方を選んだんですが…
他にはファイヤーパターンとかガイコツとかのデザインばかりでそれは流石に年齢的に恥ずかしいので…

なるべく地味なやつが良かったんですが…


反応速度は1/25000秒で4センサーで遮光度も#5〜#13までの調整がありスペック的には申し分ありませんが…


ただやっぱり派手なんだよなぁ…笑


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続・ギガ…SCR異常。その2

2017-06-19 23:17:09 | いすゞ
以前のギガ…


チェックランプが点くとの事で預かったものの、現在故障は無くデータリセットにて様子を見てもらってたギガですが…

結論から言うと…



ダメでした。



その後数日は問題なく運行してたらしいのですが、数日前に再度チェックランプが点灯した…との事なので…

車両を預かり調べる事に。


点いてますね…アドブルー噴射異常。



問題のコードは前回と同じく尿素水センサー信号異常なので…


交換決定です。



交換作業はさほど苦労する事もありません…



尿素水の送り側、戻り側のホースにヒーターホース2本を外せば簡単に外れます…



こちらが新品の尿素水センサー



尿素水の濃度を測定する超音波センサー。

緑の矢印の部分から超音波を発生させて赤色の矢印部のプレートに反射…再度センサー部に戻るまでの送受信時間で濃度を測定してます。


タンクに尿素水センサーを取り付けてホース類も接続して…


完成。



念入りに試運転をしてもチェックランプは点灯せず…


ただ、試運転後にデータを確認すると…


尿素水濃度が今現在は32.5%を表示してますが、最小値は23.4%に最大値は34.3%にまで振れてます…
結構バラついてますが、こんなもんなんですかね…

超音波センサーの特徴を調べてみると、測定対象物の温度により少なからず誤差が出るようですが…
そこはさすがに補正されてるでしょう…

あとは振動による対象物の揺れで数値が前後する事はありそうです…
まあ、濃度が異常であれば濃度異常のコードを拾うはずでしょうし、とりあえずこれで大丈夫でしょう。


DPDもついでに燃焼しておきます…







後は納車して終了です。


で、取り外した尿素水センサを少し拝見。


ストレーナー…


この尿素水センサもDCUとはCAN通信をしているのでコントローラを内蔵してるんですが…
なんとか覗けないものか?とカバーを外してみるも…




このコントローラが不具合の原因なんでしょうけど、シリコン⁉︎が充填してあり目視不可でした。





次はオイル漏れで入庫したNSP160プロボックス…


まだ登録から1年の新車ですけど…⁉︎

エンジンは1NR



こんな新車のオイル漏れは問答無用でメーカー保証でしょ…なんて考えながら下廻りを覗き込むと…
汚れてますね…


スチームで洗浄…


すると何やらキズがあるんですけど…



おまけにその先にボンドらしき白い物体が塗ってあり、そこからオイルが垂れてます。



いや…これは保証がどうとかって話でも無いですね。
下廻りをぶつけてオイルパンが割れたんでしょうけど…
どうやらぶつけた人間は状況を分かっていてボンドを塗って漏れを止めようとしたようですが…

残念ながら漏れは止まっておりません。

これまた厄介なのはこのプロボックスの1NRはオイルパンとロアブロックが一体型なんですよね…
つまり、フロントケース含めタイミングチェーンなども外さないと交換出来ません。
ミッションも絡んでくるので、すんなり外れるのかも微妙だし…
作業性を考えるといっそのことエンジンを降ろした方が早そうな気もするし…

一番の問題はお客様の会社の誰かが運転してオイルパンを当てて、それを隠そうとした跡がある事…
担当者さんはそれを知らないんですよねぇ…






こりゃモメるな〜笑








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ギガ…SCR異常。その2

2017-06-05 21:59:38 | いすゞ
気が付けば2017年も…

もう6月です。



時間ばかりあっという間に過ぎて行きますね(;´д`)




またまたQKG-EXD52ギガ…


前回のギガと同じお客様で年式、型式も全く同じですが、別車両です。


こちらの車もアドブルーのチェックランプが点灯した…という事で入庫。

現在はチェックランプは点灯しておらず…

これもNOxセンサーだったりして…⁉︎なんて考えながら診断機を繋いで確認すると…




履歴にはP1466 尿素水品質センサー信号異常…



全然違った…笑


尿素SCRシステムは排ガスに含まれるNOxを還元させる為に尿素水(AdBlue)を使用しています…

正確に言うと、NOxを還元するのはアンモニアなんですが、アンモニアは劇物なのでそのまま車両に搭載するのは危険な為、尿素水を搭載してるんです…
尿素水を高温下のマフラー内に噴射する事で加水分解されアンモニアが生成されます…
そのアンモニアがNOxと科学反応を起こし、無害な窒素と水に分解する事でNOxを浄化します。

更には生成したアンモニアが全てNOxと反応する訳じゃなく余剰分が出てきてしまうんですが、そのアンモニアを大気に放出する訳にはいかないので余剰アンモニアを還元する為の触媒まであります。


近年の厳しい排ガス規制に対応する為、ディーゼル車を扱う各メーカーは多くが尿素SCRシステムを採用してますが…
この尿素水はその名の通り、尿素を水に溶かした物で…
AdBlueという商標で流通してます。

で、この尿素水の品質はかなりシビアな為に尿素タンクに尿素水温度や濃度、充填量などをモニターする尿素水センサーが付いてるんですが…

このコードは尿素水レベルセンサ、尿素水温度センサ、尿素水品質センサーいずれかからの異常信号をDCUが受信するとチェックランプを点灯させるようです。
尿素水センサはレベルセンサ、温度センサ、品質センサが一体で構成されて尿素水タンクに付いてます…


ただ、汎用診断機には尿素SCRシステムのフリーズフレームデータ機能が無いので現在故障が無い現状だと原因の特定は難しいですね…
フリーズフレームデータ機能があればもう少し深く原因を追求する事が出来るんですが…

まあ今回のケースでは実際に原因が分かった所で尿素水センサはASSY交換以外に方法は無いんでしょうけど…笑


で、この尿素水品質センサはどのような方法で品質をチェックしてるのか?…を調べると、タンク内の尿素水中で超音波を発生させてその信号の送受信時間で濃度を測定してるみたいです。

ちなみに尿素水の濃度は32.5%が基準なんですが…

最近チラッと聞いたのは市販の尿素水は高いから自分で尿素と水を混ぜて尿素水を作る…なんて話も聞きましたが、絶対に辞めましょう…
トラブルの元になるのは間違いないですから。



とりあえず、今現在のデータの確認をする限りだとおかしな点は見られず…
問題の尿素水濃度も基準値通りです。


しばらく試運転してみましたがチェックランプも点きません…

さあ、どうしたもんか…とデータを見てみると…


現在の尿素水濃度が32.2%になってる…

最大値に限っては32.9%…

薄くなったり濃くなったりしてます。

こちらのお客様が使用している尿素水は日産化学工業製の物なので品質に関しては疑う余地は無さそうです。

という事はやはりセンサーがおかしいのかな…

基本的には尿素水タンク内の尿素水濃度が変わる事自体が疑問ですが…
実際にはタンクに水が混入して濃度が薄まる事も無いとは言い切れませんが、濃くなるのはおかしいですよね…
尿素水残量も64%ある事から量が少ない為、正確な濃度が測定出来ない訳でも無さそうですし…

ただ、現在チェックランプも点灯してないし…DCUは濃度は問題無いと判断してるんでしょうか…

そもそも当初の故障コードは品質センサ信号異常で…
整備書を読む限りだとこのコードは決して濃度が異常で検出してる訳ではありませんし…


問題の尿素水センサASSYのお値段は約65000円と思ってたよりは全然安い…

一部フソウの尿素水識別センサーなんて25万しますからね…


ただ、今の所試運転してもチェックランプは点灯しないので…
お客様と相談の結果、このまま少し様子を見てもらい、またチェックランプが点灯するなら交換する事にします…

とりあえず結果待ちです…


ちなみに前回のギガはダメでした…笑

またチェックランプが点灯したので、先日出張でNOxセンサーを交換してきました。







キャリブレーションしてデータも確認…


コレで大丈夫でしょう…笑



それから空いた時間に3LD1のオーバーホールを開始…




これまたかかりきりでの作業は難しいので合間合間の仕事になりそうです…




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ギガ…SCR異常

2017-05-25 21:39:47 | いすゞ
QKG-EXD52ギガ…

お客様からアドブルーの警告が出た…と電話があり現地まで点検に…



エンジンは6WG1で走行距離は18万キロ程…
メーターを確認してみると確かに…




アドブルー噴射異常の警告が…



診断機を繋ぎ、故障コードを確認すると…


P2207 NOxセンサ ヒーターコントロール系統高電位…と出ております。

NOxセンサはコントローラ部とセンシング部に分かれており、排ガス中のNOx濃度をセンシング部で検出し、コントローラ部でデジタル処理してCANでDCUと通信します…
更にNOxセンサは高温下じゃないと正確なセンシングが出来ない為、ヒーター機能も備え付けられております…
センサー部に使われてるジルコニアはある一定の温度以上じゃないと反応しない性質があるのでヒーターで強制的に温度を上げる為です。
この辺りはNOxセンサに限らず、O2センサやA/Fセンサでも同様です。

で、このコードはNOxセンサコントローラが回路ショートエラーを検出…その信号をDCUが数秒間継続して受信すると異常と判断してチェックランプを点灯させます。

基本的にはこのコードを検出したらNOxセンサを交換するのが整備書通りの方法なんですが…

過去にも別車両で同様のコードを検出した事があり…消去後キャリブレーションしてその後問題無く走行してる車もあります…
なので今回もとりあえずは消去して様子を見てもらうことに。

それにNOxセンサはまあまあ高額なんです…笑

お客様も出来れば交換せずに済むならそれが理想でしょうし、これでも着くようなら交換しましょうか…となりました。

このお客様は一運行が長距離を走る車両じゃ無いので仮にチェックランプが着いても連絡してもらえばその日の運行終了後に対応可能です…

SCR系のチェックランプが点灯した後に300キロ以上走行すると気が狂いそうになる程のブザーが鳴るので…笑

とりあえず各データをチェック…


ついでにDPDの差圧もチェックしておきます…


差圧は2.5KPa以下が基準値なのに対し3.3KPaなので少々オーバーしております…

せっかくなので強制再生。








570度まで上がり昇温も問題ありません…
無事に終了。


落ち着いた頃に再度差圧チェック…


3.3KPaだったのが2.2KPaになり、基準値内には収まりました…

強制再生時に再生温度が問題無く昇温したにもかかわらず、差圧があまり改善されない場合はフィルター内にアッシュが溜まってる可能性があります…

今回はさほど気にする程でもありませんが、ここのお客様は早め早めの対処を希望されるトコなので今後のトラブル予防も含めフィルター清掃を提案する事にします…

各システムに故障コードがない事を確認して…


一旦様子見です。

ただ、来月頭に車検で入庫予定なのでついでに不具合箇所がないか?下見をしてたら…






オイル漏れを発見…

どうやらフロントギヤケースかギヤハウジング辺りからの漏れがロアホース上部まで伝ってきてるようです…⁉︎

マイナーチェンジこそありますが基本6WG1ですからね…

この年式での漏れは初めて見ましたがやっぱりフロントケース廻りはウィークポイントのままなのかな…

にしてもギヤハウジング側だったら厄介だなぁ…



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ギガ…クラッチO/H。

2017-05-03 14:02:35 | いすゞ

ゴールデンウィーク直前の先日、仕事も落ち着き工場の清掃をしてたら…

荷を積んだままクラッチが滑って走行不能になった、おまけにエンジンもかからん、ゴールデンウィーク中にも使いたいから何とかして‼︎…と電話があり…

何とかして…と言われても部品が間に合わなかったら何ともなりませんよ⁉︎…と釘を刺しつつとりあえずレッカー手配。
現車はトラクターなので、レッカー屋さんには台車は切り離してトラクターだけのレッカーをお願い。
荷を積んだトレーラーは別のトラクターで引っ張る段取りをお客様にとってもらい…


入庫準備と平行してクラッチ部品一式も注文。


それよりクラッチが滑ってもエンジンはかかるはずだよな…セルモーターでもイカれたかな⁉︎…なんて考えつつ、念のためセルモーターの在庫と納期も確認。

で、車両が入庫。
EXD52ギガ…





もう入庫した時点でクラッチの焼けた匂いがプンプンしてます…
クラッチはO/Hするとして問題はエンジンがかからない方…
調べてみるとセルは元気よく回りますが、確かにエンジンはかかりません…

ただ、クランキング音に違和感があり…
セルモーター不良とはまた違った音。

何の音だろう⁇…と、よくよく調べてみるとクランキング時にフライホイールのリングギヤが滑って空転しておりました…
コレではエンジンかからないのも納得。

恐らくクラッチが滑った摩擦熱でフライホイールが過熱され、その後暫くしてからセルモーターを回してしまったんでしょう…

エンジン始動用のリングギヤはフライホイールに焼き嵌めされてますが、フライホイールが摩擦熱で過熱されると当然リングギヤにも熱が伝わります…
その状態からフライホイールが先に温度が下がるとリングギヤとフライホイールの嵌合が甘くなり、そこでタイミング悪くセルモーターを回すとモーターの回転トルクに負けてリングギヤが滑る…といったレアなケース。

相当な熱がかかった事は間違い無さそうですが、何故、そんなに滑ったのか…⁇

実はこの車両1週間前にキャブサス修理で入庫しており、その時にお客様にクラッチが滑り気味だから調整もしといて!…と言われて調整したばかり。
その時は調整しろにはまだまだ余裕があり、クラッチの滑りも見受けられず納車したんですが…

まさか1週間で走行不能になるとは想像もしませんでした。


とりあえずリングギヤが滑ってしまっているのでフライホイールとリングギヤは要交換の為、追加で手配。

早速作業を…



接続されたホースや配線を切り離し…


ミッションを降ろします…


フェーシングの残骸が…




しかしこの臭い嫌い…笑
マスクしてても臭ってきます…


クラッチ側も当然…



更にクラッチカバーを取り外し…


ツインプレートクラッチなんですが、リヤ側のクラッチディスクがこんな事に…




フロント側のクラッチディスクは見事にズル剥け…



コレで謎が解けました。笑


リヤ側のクラッチディスクのダンパー部が先に破損…
シングルプレート状態でトレーラーを牽引した為、重量に対するクラッチのキャパが足りなくなり負荷に耐えられず滑った…というトコでしょう。

恐らく1週間前に入庫した時には既にリヤ側のディスクは破損していた可能性が高いです…
耳で聞いて分かるような異音は無かったんですが…

入庫時はトラクターヘッド単体なのでシングルプレート状態でもキャパは充分だった訳です。
それに加え、破損したクラッチディスクを見ても分かる通り残量はまだまだあります…
その為にクラッチの調整しろがまだあったのは当然です…

それ故に問題無し…と判断してしまいましたが…

結果的にその判断がお客様に迷惑をかけた事は間違いありません。

これは今後の課題ですね。
今回の様なケースの場合、ミッションを降ろさないと最終的な判断は出来ませんが…

今後は問診時の質問をもう少し工夫してみようと思います。


作業に戻り…
フライホイールのリングギヤも浮いてしまってます。




まずはクラッチのカスの掃除から…笑
掃除機で吸い取り…


レリーズベアリングを交換…


ハブは再使用、ベアリングだけ交換。




グリスホース類も交換してミッション側は完了。


フライホイールハウジングもキレイに掃除。


クランクシールも換えたいところですが部品が間に合わないし漏れてないのでそのままです。

で、いすゞさんはフライホイールASSYが無く、リングギヤとは別供給です。




つまり…現場での焼き嵌めが必要です…笑


まずはフライホイールに塗られた錆止めの除去…
シンナーとワイヤーブラシでゴシゴシと…




キレイになりました。



で、リングギヤ全体を酸素で加熱します…
だいたい180〜200度位まで炙れば手でスコン…と入ります。
革手してた為に完成後の写真しかありませんが…笑


当たり前ですがチャンファー面をセルモーター側に…

以前、これを逆にハメた人間がいました…

パイロットベアリングも圧入…


フライホイールを取り付け…


クラッチを組み付けていきます…
使用するクラッチはEXEDY製




ツインプレートなのでクラッチディスクも2枚になり、センターアライナーもツインプレート用になります。


まずはフロント側クラッチディスク…


次にインターミディエイトプレートの取り付け。


更にリヤ側のクラッチディスク…


で、クラッチカバーを取り付け。


スプラインの確認とレリーズレバーのセット位置確認などをして…



後はミッションを載せて…


プロペラシャフトも取り付け…


デッキパネルも取り付けて完成です…




無事に連休前に納車出来ました。



今日から連休です…

にしても2017年ももう5月かぁ…


早いですね〜(;´д`)







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ギガ…オイル漏れ修理。

2017-04-17 12:34:11 | いすゞ
EXZ52ギガトラクタ…

オイル漏れ修理での入庫です。




これまた3月には見積りと部品注文は終わってた車両で…4月に入り再入庫です…


エンジンは6WG1…

正直、6WG1でオイル漏れ…と聞くと、あぁ…多分あの辺でしょ⁉︎…なんて思うほどよく漏れる箇所があります…

エンジンのフロントケース廻り…


この車両も入庫時点で確認すると、やっぱり…という感じでした。

個人的な経験から言うと、エンジンのフロントケースカバーからの漏れが圧倒的に多いです…


作業的にはフロントケースなのでラジエーターやインタークーラーは邪魔になってくるので外します…
一部でラジエーターやインタークーラーは外さなくてもなんとか出来るよ…なんて事を聞きますが私は外します。
作業性の悪さはくだらないミスに繋がりますから…
もちろん過剰な作業性確保はよくないですけどね…笑

見積りの段階でラジエーターのアッパータンクの劣化も酷かったので同時に修理する提案をしてたんですが、この車はまだまだ使うからキッチリ治して…という事だったので水廻りの予防整備も同時に行う事になりました。


インタークーラーやラジエーターを取り外し…




コテコテです…


見積り段階で当然スチーム洗浄してるんですが、フロント周りには各部品が入り組んでいる為スチームのノズルが入らないので完全には汚れは除去出来ません…

クランクプーリーも取り外し…


クランクシールは滲み程度です。


で、漏れている箇所はやはりフロントギヤケースとカバーの合わせ面からでした…


矢印の部分が周りよりも汚れが付いてないのは現在も漏れが進行してる証拠です…

更にケースカバーを止めるボルト穴からも…
こちらは漏れてないボルト穴から…


これが漏れのあるアイドルプーリー取り付けと兼用のボルト穴です






ケースカバーも取り外し…



オイルパンの取り付けにボンドがベッタリと…


6WG1は本来固形ガスケットでシールしてるんです。

で、お客様には見積り段階でオイルパンを最近外されるような整備をしたか聞くと…

1年前に別の整備工場でオイル漏れ修理でオイルパン外してる…との事でした。

という事は…

おそらく以前作業したメカニックはフロントケースからの漏れをオイルパンからの漏れと誤診して修理してる可能性が高いですね…
フロントケースやクランクシールからの漏れでもオイルパンの合わせ面にオイルが伝っていきますから…

その判断も含め、こんな仕事をするメカニックはロクでも無いのは確かです…

見積り段階で間違った方法で整備されてる事は分かっていたので、お客様には正規の状態に戻す意味も含めてオイルパンの脱着作業もする事を伝え、了承を得てました。

問題のオイルパンを取り外すと…




とんでもないやり方です…
オイルパン全周にボンドをベッタリ塗ってその上に固形ガスケットを乗せ、更にその上から全周ボンドを塗ってあります…

いや、ガスケット要るコレ⁇…笑

コレならガスケット無い方がまだマシですよ…

こんな整備を放置しておくと今回フロントケースからの漏れをキッチリ治しても安心して納車出来ませんよね…

誰に見られても恥ずかしくない仕事を心掛けましょう…

塗りたくられたボンドの掃除に無駄に時間を取られながらもキレイになりました。


これが正規のガスケット…


オイルパンを取り付け…
ブロックとフロントケースやフライホイールハウジングなどの繋ぎ目はボンドが必要ですよ…笑








ボルトも規定トルクで締め付け。


フロントケースカバーも洗浄…


クランクシールも当然交換します。
いすゞエンジンに多いスリンガー付きオイルシール…

残ったスリンガーを抜き取り…


本来はスリンガー付きオイルシール専用の圧入SSTがあるんですが、頻度からもとても買えませんよねー笑
なので本来はイレギュラーな方法ですが…

スリンガーを単体で先に入れておき…


新品のガスケットを付けたケースカバーを取り付けた後、オイルシールを圧入します…


圧入位置だけは守ります…笑
クランクシャフト端面から7.0mm±0.3mm


コレでケースカバーは完了…
クランクプーリーを取り付け。
締め付けトルクは267Nm



ファンやベルト類も…




ラジエーターは初めはオーバーホールする予定でしたが、ラジエーター屋さんでカシメを解いたらコアに亀裂が入ってしまった為、社外新品に交換です…
これもラジエーター屋さんが悪い訳では無く、古くなってくるとコアも脆くなるのでオーバーホール出来ない事もあります。




インタークーラーも取り付け。



後はサーモスタットやウォーターポンプの交換。


ウォーターポンプは仕様変更されてるのでメクラプラグも追加で注文する必要があります。




ホースジョイントも新品のウォーターポンプには付属されてないので注文する必要があります。
古いウォーターポンプから取り外せなくはないですが、ポンプ新品なのにホースジョイント再使用ってのもねぇ…

にしてもこの辺がいすゞは不親切だよなぁ…

ウォーターポンプASSYで注文してるのにコレです…
どうせ必要になるんだからキットにすればイイのに。



サーモスタットも交換して…






ホース類を接続して完成。



最後にエンジン廻りをスチームで念入りに洗浄して漏れの確認です…




漏れがない事を確認してカバー類の取り付け。




無事に納期に間に合い完成です。

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ギガ…インプットシャフト交換 終

2016-12-10 01:52:34 | いすゞ
またまた前回の続きです。


まずはクラッチハウジング内の作業を…

メインシャフトやカウンターシャフトのフロントカバーの取付け。






更にクラッチフォークとシャフトも取付け…



インターロック機構の組み付け…


インターロックは二重噛み合い防止機構の事で…
このスチールボールやスプリングを入れ忘れたり、間違えたりするとミッション壊れます…







アッパーコードラントなども組みつけ…


パワーシフターのブーツも破れていたので交換。




パワーシフターと同時にクラッチブースターも取付け…


コレでミッション側の補記類の取付けも全て完了…







今度はクラッチディスクの交換。


ツインプレートクラッチでとにかく重いです…
この型のミッションもクラッチのO/Hは何度もしてますが、クラッチカバーは大の大人1人じゃ持てない程重いんです…

チェーンブロックでカバーを吊りながら降ろします。


降りたクラッチディスクとカバーASSY…


パイロットベアリングの交換など…




そしてクソ重たいクラッチを組んでいきます。


またまたチェーンブロックで吊り上げて…


取付け…


トルク締め…


このギガのツインプレートクラッチは正直なところセンター出しはあまり必要ありません…

クラッチカバー側に組み込まれた1枚目のディスクのスプラインによって2枚目のディスクの位置が決まってしまうので…


もちろん整備書にはセンターアライナーにて取付け…となっているんですが、ウチが持ってる汎用のアライナーは使えないし…
この車種の為だけにアライナー買うのもなんだか微妙だし…

ぶっちゃけ当工場ではアライナー無しで組み付けてますがキチンとインプットシャフトも入ります。

今回はインプットシャフトが余ってきてるのでセンター出し用に取っておいてもいいんですが、正直あんまり必要無いかな…笑

せっかくなので確認の為に交換したインプットシャフトを付けると…
バッチリ入ります。


いらないっちゃいらないんだけど…
一応、確認用で取っておこう…


クラッチが組み付けれたらようやくミッションのドッキング…



細かい作業やプロペラシャフトなどを取り付けたらいよいよ始動。
その前にミッションオイルの注入…
レンジケース真上にあるフィラーから先に2リットルだけ入れる必要があります…
この辺はスムーサーでも同じですね…


あとは横のフィラーから残りのギヤオイルを注入。


デッキパネルも取り付けて…



残るは漏れや作動確認&試運転です…
HI-LOWのレンジ切替やスプリッターはスムーズに切り替わるか?…や、シフトの入りに違和感は無いかなどの最終確認。







これにて全ての作業は完了です。

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ギガ…インプットシャフト交換 その2

2016-12-09 02:18:20 | いすゞ
前回の続きです…


まずはクラッチハウジング内にあるスプリッター変速用のエアシリンダーロッドのオイルシールの交換から…
シールリムーバーで抜き取り…




キレイにして…


新品のオイルシールを挿入。
整備書によると圧入位置に指定があるようで…
奥に当たるまで入れちゃうとエア漏れなどの原因となるようです…
挿入面から2.0〜3.0mmとの指定。
とりあえずこんなモンかなぁ…という所で確認。
デプスゲージが挿入面まで入らないので上面から挿入面までを計り…


そこでゼロリセット。


そして本測定…


おお〜ドンピシャ…笑

幸先良いスタートです。


部品が来るまでの間にメインシャフトとカウンターシャフトのベアリングを抜いておきます…
組む時に入れやすい様に。




ベアリングが抜けたら洗浄などを…




オーバーホールじゃないのでギヤ類にはノータッチです。

他にもベアリング類の洗浄やローラーの点検…
特に問題無さそうです。



そうこうしてるうちに追加で注文しておいた部品が届いたのでインプットシャフトの組み付け再開。


シンクロのプランジャーやスプリングも交換。


まずはインプットシャフトにギヤとシンクロのリングの片側をプレスで圧入。






更にベアリングも圧入…






ココからシンクロの組み付け…

インプットシャフトを立てて安定させたいんだけど、いいスタンドが無く…
ふと思いついたフレームジャッキのアダプターに入れてみたら、コレがまたドンピシャ…笑


プランジャーを入れてスリーブも入れて…
デュアルシンクロなのでもう片方のリングも。




完了。


コレでインプットシャフトの組み付けは完了…


ここからインプットシャフトをメインシャフトにドッキング…クラッチハウジングに組込み…


ところがコレ…整備書だとインプットシャフト、メインシャフト、カウンターシャフト、更にシフトフォークASSYを4本同時にハウジングに入れる…って書いてあるんですが…
今回実際に作業して思った事…







絶っっっ対に入りません…(*_*)

まずなんと言っても最大の問題はその重量…
とにかく重く、おまけに重心が不安定…そのうえ、シフトフォークASSYを同時に入れるのは至難の技で…
整備書通りにやろうとして一体何時間かかった事か…


なんとかセンターを出して入れてもメインシャフトとカウンターシャフトのベアリングがうまく入らないんです…
純正SSTでリフティングツールがあるらしいんですが、仮にそれを使っても入るのか疑問な程…


で、トライ&エラーを何度も繰り返した結果、最終的にSST無しでもインプットシャフト、メインシャフト、カウンターシャフト、シフトフォークASSYを比較的簡単に入れれる方法を発見。
コレに辿り着くまでに何時間費やした事やら…


上手くいくか分からなかったので写真はありませんが…笑
方法としてはインプットシャフト、メインシャフト、カウンターシャフトを別々に…しかも何もバラさずに入れる事が出来ます。
まあ知恵の輪みたいにちょっとしたコツと順番が要りますが…笑
整備書の記載もこの方法に変更した方がいいんじゃない⁉︎…ってくらい楽に入ります。



シャフトも無事入ったので今度はケースを組みつけ…
これまた整備書には合わせ面にはフランジシール剤を使用…って書いてありますがそんなモノは持ってないので普通の液体ガスケットで対応。


締め付け。





リヤのベアリングを圧入していきます。







新品のシールリングを入れて…


リテーナも取り付け。


リバースアイドルギヤやサンギヤも取り付け。






アウトプットシャフトASSYを天井クレーンにて取り付けていきます…


コレも整備書には分解するように記載されてますが分解しなくてもASSYで外れます…


このアウトプットシャフトの裏はプラネタリギヤになっており、ココでHI-LOWのレンジ切替を行なっています。
16速ミッション…と言ってもギヤが16個着いてる訳では無く、メインのギヤはたった4つなんですよね。
メインギヤ4つにレンジが2段の4×2で8速…
更にインプットシャフトにスプリッター変速が2段で、8×2で16速…という事なんです。


オイルポンプも取り付け…




レンジ切替用のロッドやフォークも。


レンジケースの取り付け…


と、切替用のエアシリンダーも。


更にエンドカバーにアウトプットフランジなどなど…




コレでミッションを立てての作業は終了。





ここからは天井クレーンとチェンブロを駆使してミッションを横にして、インターロック機構やアッパーコードラントや配管配線などの取り付けと、クラッチハウジング内の作業を行なっていきます…




が、今日は遅いし疲れたのでもう帰ります…笑

続きはまた明日。
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