去年の年末にESスタートが解除されない…との事で入庫した、BKG-FR1プロフィア。
ESスタートとは坂道発進補助装置の事でメーカーによってはEZGOやHSAなどと名称は変わりますが用途は同じで、坂道などでブレーキペダルを離しても制動力を保持して坂道発進を容易にする機構の事です。
年末に症状を確認した時はESスタートをONにした状態で発進しようとしても制動力が解除されず発進出来ない…といった状態。
調整スイッチを押しても変わらず…
かと思えば突然正常に解除するようになったりと症状がランダムに発生する状況でした。
で、トラブルシュートの結果ESスタートバルブの作動不良…もしくはソレノイドの不良という事で見積りを出してました。
ESスタートのメインスイッチをOFFにすれば制御は解除され、走行には支障が無いのでそのまま運行してもらい年明けに部品が入荷したのに合わせて入庫して頂きました…
作業はESスタートバルブのO/Hとソレノイドの交換。
早速ESスタートバルブを取り外し…

取り外したバルブ…

今回はお客様のご要望でASSY交換では無くオーバーホールで対応します。
ASSYで交換すれば早くは終わりますが値段が高い。
ちなみにASSYは数万円、リペアキットは数千円…
O/Hの工賃を加えてもASSYより安価に済みます。
日頃からASSY交換に慣れちゃうと、O/Hって聞くと時間がかかり効率が悪いように思えるかも知れませんが、実際にはバルブのO/H自体は30分程で終わります…
各部に異常が無いか点検しながら分解していきます。

リペアキット…

再使用部品はキレイに洗浄。


マグネットバルブは新品に交換します。

エアホースのコネクタも取り付けて…


後は車両に取り付けて完成。

で、作動テストの前にクラッチの調整とESスタートの初期設定を…
整備書にはESスタートバルブの交換時は初期設定は特に指定されていませんが経験上、やっておいた方がいいです。
最近は作業サポートで初期設定に対応した診断機もあるとか無いとか聞きますが…
今回は専用のダイアグモニターで行います。

慣れるとこっちの方が断然早いんですよね…笑
ハーネスを運転席足元にあるコネクターに接続…


ダイアグモニターをESスタートのタグが付いたコネクタに接続。


今回はESスタート解除位置の初期設定を。
ダイアグモニターを接続してエンジンを始動…
ESスタートの調整スイッチを"FAST"側に3秒以上押し続けます。

するとダイアグモニターのブザー音とランプの点滅が始まります…

その状態で、ギヤを3速に入れてクラッチをゆっくり繋いでいきエンジン回転が下がり始めた辺りでもう一度"FAST"ボタンを1回押します…
するとダイアグモニターのブザーが1回鳴った後止まります…
この位置が解除の初期設定位置となります。
後はダイアグモニターを取り外して試運転と調整スイッチがちゃんと作動するかなどを確認して完了です…