メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

ギガ…アドブルー噴射異常。その2

2018-01-25 12:48:14 | いすゞ


前回の記事の続きです。



注文して届いた尿素水サプライモジュール…



早速交換していきます…
これがまたトラクターヘッドなので取り外しにくい…
尿素水タンクの真裏に取り付けられてます。



ゴソゴソして…

取り外しました。








ヒーターホースや尿素水配管は取り外し、中を洗浄。
尿素水配管は温水を注入してエアブローすると綺麗になります。


さっさと取り付け…



更に今回は以前のトラブルもあったのでお客様と相談の結果、尿素水センサーも交換する事に。


こちらも取り付け…


ストレーナー部は汚れておらず…
ストレーナーは汚れてないのに尿素水フィルターは何故あんなに汚れてたんでしょう…


ホースやらカバーも取り付けて完成。
漏れ出たクーラントも補充…


サプライモジュールを交換したらデータのリセットが必要です。





リセット出来たらエンジンを始動して再度、SCR関係のデータを確認していきます…


まず制御前のデータで尿素水圧力が0kPa付近…


修理前はマイナス表示でしたからね…
この時点で違いは明らか。


で、スタートアップ制御が始まると…


最大値も960kPa…

現在値も900kPa前後を維持して良好です。


そのままエア抜きも兼ねて30分ほどアイドリング
させてましたが尿素水圧力はバッチリ900前後で安定…

当然チェックランプは点きませんし故障コードも拾いません。





その後、エンジン停止キーオフでアフターラン制御がキチンと行われるかも確認。
リバーティングバルブがオンになりポンプが駆動して供給ラインの充填率がジワジワ下がっていきます…


充填率が0%になったらリバーティングバルブもオフになりアフターラン制御も完了。


最後にシャットオフ制御も確認…


全て正常に終了したので…

これにて全ての作業が完了です。










そして原因追求の為、取り外したサプライモジュールを分解…


このサプライモジュール内に原因があります…


ウォータージャケット…


ダイヤフラムポンプやセンサーなどなど…


このダイヤフラムがモーターで回転する偏心ポンプシャフトと繋がっておりシュコシュコと尿素水を吸い上げ加圧します…






ポンプ裏には尿素水が内部で漏れた跡が…




少量なので今回の不具合とは関係無いのかな…

となると怪しいのはコイツか…
尿素水圧力センサー。


原因がポンプかセンサーなのは間違いないでしょう。

ただ基準値も分からないし、かといって新品をバラす訳にもいかないし…
(ホントはバラしてみたかったけど…)

ポンプの能力低下もなくはないですが…
フィードバック制御はセンサー命ですからね…

交換前と交換後でセンサーの数値は明らかに変わったので…
やっぱりセンサーが原因でしょうかねえ…



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ギガ…アドブルー噴射異常。その1

2018-01-25 07:20:50 | いすゞ
LKG-EXD52ギガ…
エンジンは6WG1。


エンジンとアドブルーのチェックランプが点灯、アドブルー噴射異常というモニターが出て、おまけにブザーまで鳴った…との事で入庫しました。


いすゞさんはアドブルーのチェックランプが点灯してから300キロ以上走ると耳障りな『ピー』という音が鳴り始めます。
現在故障であればエンジン切っても再始動するとブザーがなり続けます。

これは運転手に『もう勘弁してくれ…こんな不快な音は嫌だ! 早く修理してくれ‼︎』と言わす為のブザーで…笑
要は修理しないとメンタル的に乗り続けるのが困難な設定なんです。

これはお国が厳しく決めている排ガス規制…
その排ガス浄化機構であるSCRシステムが正常に機能しない状態では運行出来ないようにする必要がある為で、故障内容によっては1度エンジンを止めると再始動出来なくなる制御もあります。

SCRシステムが出始めた頃、某メーカーさんの車両はSCRが機能していなくても普通に走れちゃう設定、つまり保安基準不適合の状態でも公道を走れちゃう状況で、それを重く見た国が是正勧告…
自動車メーカー各社に徹底するように通達が出たとか出ないとか。

これも一般のユーザーさんは気にした事すら無いと思いますが排ガス規制値は年式別に法律で上限が決められており、その規制値を超えるような排ガスを排出する事は違法なんです…
そんな訳で今現在では各メーカー共々、SCR系のトラブル時にはチェックランプに加えブザー音、更には再始動禁止制御などの設定が必ずあります…

で、実はこの車両…
以前にもSCRシステムのトラブルで1度入庫した車両でその時は尿素水品質異常のコードでした。

その時の記事はこちら

その時は故障コードを消去して様子を見てもらってました。
それ以降チェックランプは点いてなかったんですが…

もしかしてまた同じコードかなぁ…と思いながら
診断機を繋げて故障コードを確認してみると…


P20E8 尿素水低圧異常…

全然違った…



通常、SCRシステムはエンジン停止時には凍結や結晶化による詰まりや破損を防ぐ為に配管内に残った尿素水をポンプで強制的にタンクに戻す制御をします…
その後エンジンを始動して各温度、凍結の有無、解凍制御などの所定の条件が満たされるとSCRシステムはスタートアップ制御に入り、ポンプを駆動させ尿素水を配管内に充填させいつでも噴射できまっせー…という状態になります。

その後、各センサーからの数値を見て通常制御に移行するんですが…

このP20E8の検出条件を調べてみるとスタートアップ制御時の尿素水圧力が650kPaを下回るか、もしくは通常制御時に750kPaを下回った状態を数十秒以上検知するとチェックランプを点灯させるようです。


原因を探る為に故障コードを一旦消去してデータ上の尿素水圧力を点検。

まずは各データを確認してみると、システムが起動していないにも関わらず尿素水圧力が6548kPa…⁉︎


そんな数字はシステム的にあり得ない数値ですが…
表示がバグってるだけかな⁉︎という事でTPMでも確認…

すると-4.9kPa…


なるほど、あのあり得ない数値はマイナスだった訳か…
どうやらG-SCANはマイナス表示に対応してないようですが…

それにしても圧力がマイナスってのは少々納得いきません…

念のため圧力センサーがキチンと反応するかどうか確認する為にドージングモジュール側でホースを取り外しプレッシャーテスターを接続…


圧力をかけるとデータ上の数値も動きます…




が、リニアには反応するものの、かけた圧と表示する圧に少々誤差があります…

ドージングモジュールの噴射口付近は結晶化してますがこれはどの車もこんなもんですね…


お湯でキレイにして再度組み付け…
ドージングモジュールのアクティブテストも指示値に対して実dutyは全域で良好…




次はエンジンを始動してスタートアップ制御時の各データを確認…
エンジンを始動してSCRシステムを起動するんですが、条件によっては一向に始まらないのでそんな時はDPDを再生させます。


これも作業サポートなんかでシステムテストや試運転があれば良いんですけど…
純正機ではきっと出来るんでしょうね…

再生させて…


しばらくするとスタートアップ制御が始まり、尿素水圧力がグングン上昇していきます。


ところが圧力の変化を見ているとどうも安定しない。
更に通常スタートアップ制御時は尿素水圧力は約900kPaまで昇圧されその後、圧力センサーのフィードバック制御で900kPaを維持します…
実際にはポンプがダイヤフラムポンプのせいか850〜950kPaで上下しますが…

ところが現在のデータでは最大値は811kPaで現在値は777kPa…


しばらく眺めていても現在値が400〜700kPa位で乱高下…


最大値からも分かる通りスタートアップ時には故障検出条件である650kPaを下回る事はありませんでしたが本来900kPaまで上がらないといけないのに811kPaなので若干低め。
その後、通常制御に移行しても上限700kPaよりも上がらない…

そうこうしてるうちにDPDの再生も終わったと思ったら…


点きました…笑


故障コードは…


なるほど…

という事で通常制御時に750kPa以下が数十秒以上続いた為にチェックランプを点灯させたようです。

これで症状の確認はオッケー。

ここから何故、尿素水の圧力が上がらないのか原因を調べていきます…

症状は確認出来たので後はこの不具合の原因となる可能性のある箇所を潰していきます。

まずは加圧部での尿素水の外部への漏れ…

こちらは見たところ外部には漏れは無く、ドージングモジュールの噴射口でのお漏らしもナシ…

他にも尿素水フィルターなどに詰まりが無いかを確認すると…
新旧比較…


こんな汚れてるフィルター始めて見た…

更にサプライモジュールの尿素水のインレットコネクタ部にもゴーズフィルターがあるのでそちらも点検しましたが詰まりは無さそう。

とりあえず、尿素水フィルターは新品に交換。
これが原因だったらいいなーなんて思いながら再度テスト…

ところがやっぱり圧は上がりきらず…




再度チェックランプ点灯し故障コードはやっぱり…


どうやらフィルターが原因ではないようです。

となると残る可能性は尿素水圧力センサーかサプライポンプ…

が、どちらも単体点検は不可能でセンサーもポンプもサプライモジュールの中に組み込まれています。


という事で…




注文しました…



お値段20万円…




と、記事が長いのでとりあえずここまで。

その2へ続きます…
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