本日は電王戦初日、9路盤で張豊猷八段と平田智也三段が最強コンピューターZenと対戦しました。
日本棋院の対局室、幽玄の間(ネット対局室ではなく深奥幽玄の掛け軸がかかってるほう)には沢山の報道陣の方がつめかけていました。
帰宅して、たくさんの記事や、ニュースでも報じられているのを見て、新鮮な驚きと嬉しさがあります。
私は前の対戦から続けて、コンピューターを使って9路盤を研究していたので、
今回はその研究を対局者に伝えたり、一緒にスパーリングしたりと、大分研究を進めることが出来ました。
今日このブログでは、「研究側として内部から見た電王戦」という視点で書いてみたいと思います。
一局目 平田三段 白
結果的にこの碁が一番Zenにチャンスがありました。
黒5手目までは、一応これで行こうとみんなで話していたオープニング(布石)ですが、その先は未開の地でした。
黒11手目は疑問で、白はっきり優勢だったはずですが、この後、白にちょっとしたミスがあり、二転三転しました。
平田君少し緊張していたかも。その一瞬の隙をZenが捉えられなかったということです。
二局目 張八段 黒
これは張八段の名局でした。
おおむね研究通りに進んでの黒半目勝ち。
予定されたコースの一つでした。
ここに至るまでの物語を書くと一冊の本が出来そうです(笑)
三局目 平田三段 黒
5手目までは二局目と一緒です。
白6で変わったのは、Zenのオープニングブック(布石データ)を変えたからという噂もありました。
黒7までは前のイベントでの蘇八段(白)とZen(黒)の実戦例があります。(リンク先の第6局)
黒11までとなれば黒有利でしょう。この模様はニュースで平田君が解説していましたね!
不利な局面は一度も無かったと思います。
四局目 張八段 白
黒11とポン抜かせたのはコンピューターらしい手ですが、流石にこの場合は敗着となってしまいました。
白12とポン抜き、白14が美しい決め手でした。
全4局をまとめて見ると、人間側の圧勝に見えますが、
ここに至るまでたくさんの図を作っては崩し、作っては崩しの繰り返しでした。
研究の流れとしては、私が今までに研究したオープニング(布石)を提示して、
使えそうなもの、コンピューターが打ってくる確率が高そうなものから煮詰めていきました。
そして、張八段がどんどん突き詰めて、終盤の妙手を数多く発見しました。
時として張さんが熱くなり過ぎて、どんどん局面を複雑にするのですが、
平田君はいつもクールに計算してるので、「これは白半目です。これなら黒半目です。」
と、効率的に研究を進めることができました。
対局者のお二人は、かなりプレッシャーがあったと思いますが、4連勝という素晴らしい結果でした。
お疲れ様です!
2月16日の電王戦2日目、13路盤、19路盤での対決も楽しみですね!
※追記 写真。
対局当日も研究に余念が無い和服姿の対局者とメイエン先生。
貫禄の張さん!控え室の画面です。